オンライン通訳とは?Zoom・Teamsで失敗しない法人向け完全ガイド
海外拠点との会議、外国人社員向けの研修、海外取引先との商談などで、ZoomやMicrosoft Teamsを使ったオンライン通訳はすっかり一般的になりました。ただし、オンライン会議に通訳者を入れれば自動的にうまくいくわけではありません。音声設定、通訳形式、参加人数、話者の交代、録画、会議資料の共有など、対面通訳とは違う準備が必要です。
この記事では、法人がオンライン通訳を依頼するときに押さえておきたい実務を、Zoom・Microsoft Teamsの機能、同時通訳と逐次通訳の使い分け、料金、音声トラブル、事前準備まで含めて詳しく解説します。

オンライン通訳とは
オンライン通訳とは、通訳者がZoom、Microsoft Teamsなどのオンライン会議システムに参加し、遠隔で通訳を行う方法です。通訳者と参加者が同じ会場にいる必要がないため、海外拠点を含む会議を組みやすく、移動時間や交通費を抑えられるという利点があります。
一方で、オンライン会議では通訳者が聞き取れる情報のほぼすべてを「マイクから入る音声」に頼ります。対面なら表情、口元、会場の雰囲気、誰が誰に向かって話しているかといった情報を補助的に使えますが、オンラインではそれらが限定されます。そのため、音声品質や会議運営が通訳品質に直接影響します。
オンラインでも「逐次通訳」と「同時通訳」は別物
オンライン通訳を依頼するとき、まず決めるべきなのが通訳形式です。
オンライン逐次通訳
逐次通訳では、話者が数十秒から数分程度話したところで区切り、通訳者がその内容を訳します。ZoomやTeamsの通常の音声機能だけで対応できることが多く、専用の言語チャンネルがなくても運用できます。
少人数の商談、面接、社内会議、ヒアリング、研修などでは使いやすい方法です。ただし、原文と訳文を順番に話すため、会議時間は長くなります。60分で終わる予定の内容でも、通訳を入れることで必要時間が増えることを前提にスケジュールを組む必要があります。
オンライン同時通訳
同時通訳では、通訳者が話者の発言を聞きながら、ほぼ同時に訳します。会議の進行を止めないため、多人数の会議、国際会議、ウェビナー、全社会議、長時間の説明会などに向いています。
Zoomには「Language Interpretation」機能があり、ホストが通訳者を指定し、参加者が希望する言語チャンネルを選択できます。参加者は通訳音声を聞きながら、元の音声を小さくしたりミュートしたりできます。Microsoft Teamsにも、人間の通訳者を会議に割り当てる「言語の通訳」機能があり、参加者は聞きたい言語と元音声・通訳音声のバランスを選べます。
通訳形式そのものの違いは、同時通訳・逐次通訳・ウィスパリング通訳の違いで詳しく解説しています。
Zoomでオンライン同時通訳を行う場合
ZoomのLanguage Interpretationでは、通訳者ごとに言語チャンネルを割り当てます。参加者は自分が聞きたい言語を選択し、その通訳音声を聞く仕組みです。
Zoom公式サポートによると、参加者は通訳音声を選択したうえで、元の音声を小さく残すか、ミュートすることができます。また、通訳を利用する参加者はコンピューター音声(VoIP)で参加する必要があり、電話によるダイヤルイン音声では言語通訳を聞けません。
この点は事前案内で非常に重要です。当日になって海外参加者が電話音声で接続し、「通訳チャンネルが聞こえない」という事態になると、会議開始が遅れる原因になります。
また、Zoomのクラウド録画では、設定によって通訳音声を含む録画が可能ですが、ローカル録画では録画者が実際に聞いている音声が対象となり、複数の言語チャンネルを一括で記録する用途には向きません。録画が必要な案件では、会議前に「どの言語の音声を残すのか」まで決めておく必要があります。
Microsoft Teamsでオンライン同時通訳を行う場合
Microsoft Teamsにも、人間の通訳者を割り当てる言語通訳機能があります。会議の主催者側で通訳者と言語を設定し、参加者は会議で聞きたい言語を選択します。
Teamsでは、元の音声と通訳音声の音量バランスを参加者側で調整できます。一方、Microsoftの公式情報では、言語通訳付き会議の録画には元の話者の音声のみが記録され、通訳者の音声は録画に含まれません。また、キャプションも基本的にメインスピーカー側を対象とします。
そのため、会議後に通訳音声そのものを記録として残したい場合は、Teams標準録画だけで要件を満たせるかを事前に確認する必要があります。
なお、Teamsには近年、AIで音声を翻訳する「Interpreter」機能も提供されていますが、これは人間のプロ通訳者を会議に割り当てる「言語の通訳」とは別の機能です。重要な商談や専門性の高い会議では、どちらを使うのかを混同しないことが大切です。
ZoomとTeams、どちらを選ぶべきか
「通訳を使うならZoomが正解」「Teamsの方が企業向けだから良い」と一概には言えません。重要なのは、通訳機能だけでなく、すでに社内で使っている環境、参加者のITリテラシー、セキュリティポリシー、録画要件、外部参加者の接続方法まで含めて選ぶことです。
すでに社内標準がTeamsなら、無理にZoomへ切り替えない
外部参加者が多いイベントでは、参加方法をできるだけ単純にする
録画が必要なら、通訳音声がどのように記録されるか事前確認する
複数言語が必要なら、言語チャンネルや通訳者人数を先に設計する
大規模会議では、通訳者とは別に技術担当者を置く
最適なプラットフォームは、会議の目的によって変わります。
オンライン通訳で一番多い失敗は「音声」です
オンライン通訳では、映像よりも音声の方が重要です。通訳者は聞こえなければ訳せません。どれほど優秀な通訳者でも、話者のマイクが遠い、周囲の雑音が大きい、複数人が同時に話す、通信が途切れるといった状況では、正確な通訳が難しくなります。
実務上、特に注意したいのは次の点です。
話者は可能な限りヘッドセットまたは外付けマイクを使う
会議室の中央に置いた1台のPCマイクだけで複数人の声を拾わない
発言者以外はミュートする
同時に複数人が話さない
動画を再生する場合は画面共有だけでなくPC音声も共有する
通訳者に事前の接続テストへ参加してもらう
重要案件では有線LANなど安定した回線を優先する
オンライン会議で音声が悪いと、聞き返しが増え、会議時間も伸びます。これは品質だけでなく、参加者全員の時間コストにも影響します。
資料はいつ通訳者に渡すべきか
「通訳者なのだから、当日初めて聞いても訳せるだろう」と思われることがありますが、専門的な会議では事前資料が非常に重要です。会社名、製品名、人名、部署名、専門用語、略語、数字などは、事前に確認できるほど通訳精度が上がります。
特にオンライン会議では、画面に表示されている資料を通訳者が十分に確認できないこともあります。スライド、アジェンダ、参加者リスト、用語集、過去資料などは、可能な限り早めに共有するのが理想です。
資料に機密情報が含まれる場合は、通訳会社との秘密保持契約や資料の取り扱い方法も事前に確認しておくと安心です。
オンライン同時通訳は何人必要か
同時通訳では、オンラインでも通訳者への負荷がなくなるわけではありません。長時間の同時通訳を1名で担当し続けるのは現実的ではなく、通常は複数名で交代しながら対応します。
オンラインだから通訳者を減らせる、という考え方は危険です。必要人数は会議時間、専門性、言語方向、発言密度などによって決まります。短時間の会議と、数時間に及ぶ国際会議では必要な体制が異なります。
国際会議の準備については、国際会議の同時通訳を成功させる準備も参考にしてください。
オンライン通訳の料金は対面より安いのか
オンライン通訳では、交通費、宿泊費、会場の一部機材費などを削減できる可能性があります。しかし、通訳者の専門性や準備負担が下がるわけではないため、「オンラインだから通訳料金そのものが大幅に安くなる」とは限りません。
同時通訳では複数名の通訳者が必要になることもあり、案件によっては技術担当者、配信サポート、事前リハーサルなどの費用が加わります。
料金の考え方や見積書の見方については、法人向け通訳の料金相場と見積もりの見方で詳しく解説しています。
事前リハーサルは必要か
少人数の短い逐次通訳であれば、必ずしも大がかりなリハーサルは必要ありません。しかし、役員会議、国際会議、複数言語の同時通訳、数百人規模のイベントなどでは、本番前の接続テストを強くおすすめします。
確認するべきなのは、単に「Zoomにつながるか」だけではありません。
通訳者が正しい言語チャンネルに割り当てられているか
話者の音声が通訳者に明瞭に届くか
参加者が通訳チャンネルを選択できるか
画面共有とPC音声共有が正常に動くか
通訳者同士が交代しやすい運用になっているか
録画・配信が必要な場合、必要な音声が残るか
トラブル時に誰がホスト操作を担当するか
本番直前に初めて設定を確認するより、短時間でも事前テストを行う方が、結果的に会議全体のリスクを減らせます。
オンライン通訳を依頼するときに伝えるべき情報
通訳会社へ問い合わせる際は、次の情報があると、必要な通訳形式・人数・料金を判断しやすくなります。
日時と予定時間
使用するプラットフォーム(Zoom、Teamsなど)
逐次通訳か同時通訳か
使用言語と言語方向
参加人数
会議の目的と内容
発言者の人数
専門分野
録画・配信の有無
通訳チャンネルが必要な言語数
事前リハーサルの有無
資料を提供できる時期
形式が決まっていない場合でも問題ありません。「海外との役員会議で、日英、20名、Teamsを使う」といった情報があれば、通訳会社側から適切な方法を提案できます。
オンライン通訳だからこそ、通訳会社選びが重要
オンラインでは場所の制約が少ないため、通訳者を探しやすい反面、誰に依頼しても同じというわけではありません。企業会議では、通訳スキルだけでなく、ZoomやTeamsの通訳機能に慣れているか、トラブル時の対応方法を理解しているかも重要です。
また、専門分野との相性、機密情報の取り扱い、複数名体制の組み方、技術サポートの有無なども確認してください。
通訳会社を選ぶ際のチェックポイントは、通訳会社の選び方|法人が依頼前に確認すべき7つのポイントで整理しています。
アシーマのオンライン通訳サービス
アシーマでは、ZoomやMicrosoft Teamsを利用した法人向けオンライン通訳に対応しています。商談、社内会議、研修、海外拠点とのミーティング、国際会議など、会議の目的に応じて逐次通訳・同時通訳をご提案します。
「逐次と同時のどちらがよいか分からない」「Zoomの通訳機能を使うべきか判断できない」といった段階でも、会議の条件を確認しながら必要な体制を整理できます。
オンライン通訳をご検討の方は、法人向け通訳サービスをご覧ください。
参考情報
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