【2026年度・東京都】院内文書・Web翻訳に使える補助金|対象条件と見積準備

2026年10月30日時点の公表情報に基づいています。追加募集の申請期限は2026年11月10日(火)です。
「外国人患者への対応を整えたい」を、具体的な計画にする
「外国人患者の受け入れ方針は決まった。けれど、患者さんに渡す案内や、ホームページの外国語対応はこれから。」
例えば、保険の確認方法や会計の流れを院内で整理できても、その内容を外国語で伝える資料がなければ、受付や会計の場面で、その都度説明する必要があります。
一方で、問診票、受診案内、検査の説明、費用・支払方法、院内掲示、ホームページと、翻訳したいものを並べると、「何から始めればよいのか」「どのくらい費用がかかるのか」と迷うかもしれません。
最初から、すべてを多言語化する計画にする必要はありません。 まずは、自院で必要な資料と対応言語を整理し、優先順位をつけるところから始めましょう。
その整備を後押しする制度として、東京都は「令和8年度東京都外国人患者受入れ体制整備支援事業」の追加募集を実施しています。所定の条件を満たす医療機関では、院内文書・案内表示・ホームページなどの翻訳・作成費も補助対象になります。(東京都・募集案内)
この記事では、制度の対象条件と、翻訳会社への見積依頼までに準備しておきたいことを紹介します。
医療費の未払い対策から確認したい方へ 支払保証、入院医療費保証サービス、前払金、帰国後の決済などの具体策は、別の記事で整理しています。 外国人観光客の医療費未払いにどう備える?病院・クリニックが使える具体策
補助上限は65万円。11月10日は「申請」の期限です
今回の追加募集の主な条件は、次のとおりです。
項目 | 内容 |
申請期限 | 2026年11月10日(火) |
対象期間 | 交付決定日以降~2027年3月31日 |
基準額 | 1医療機関当たり130万円 |
補助率・補助上限 | 2分の1・上限65万円 |
申請方法 | 原則としてjGrants |
見積書 | 申請する対象経費について、委託先・購入先の見積書の写しが必要 |
公募ページと事務手続の手引きでは、このように定められています。130万円は補助金として受け取れる上限額ではなく、計算に使う基準額です。(東京都・募集案内、補助金事務手続の手引)
計算の考え方は、対象経費と130万円のうち少ない方に、補助率2分の1を掛けるものです。例えば、補助対象として認められる経費が60万円なら補助額は30万円、150万円なら上限の65万円となります。これは制度の計算例であり、アシーマの翻訳料金を示すものではありません。(東京都・補助金事務手続の手引)
なお、申請すれば必ず採択されるわけではありません。受入実績や事業計画の内容などを東京都が審査します。(東京都・募集案内)
自院は対象になる?確認したい条件
対象は、東京都内の病院・診療所のうち、次のいずれかに該当する医療機関です。
「外国人患者を受け入れる拠点的な医療機関」に選定されている。
同じく、拠点的な医療機関への応募を検討している。
医療機能情報報告で1言語以上を「受入可能」と回答し、直近3か月に外国語で対応した外国人患者の延べ人数が、病院180人以上・診療所45人以上である。
3つ目の条件では、外国語対応の報告と患者数の両方を満たす必要があります。(東京都・実施要綱、補助金事務手続の手引)
対象外となる医療機関もあります
歯科診療所、外国人患者受入れ医療機関認証制度「JMIP」の認証を取得したことがある医療機関、国・地方公共団体など所定の主体が開設する医療機関は対象外です。過去にこの補助金を受けた医療機関も、原則として対象外となります。(東京都・補助金事務手続の手引)
過去の受給機関については、2019年度(令和元年度)以前に受給し、職員の語学力向上等に係る研修・通信講座等の受講費を初めて申請する場合に例外があります。翻訳費を再び申請できるという例外ではありません。(東京都・補助金事務手続の手引)
自院の選定状況や過去の受給歴が分からない場合は、まず院内で確認し、不明な点は東京都の担当窓口に問い合わせましょう。
何を多言語化する?患者さんの動きに沿って整理する
制度では、院内文書、案内表示、ホームページの多言語化のほか、会話集・指差しツールなどの作成・導入も対象区分として示されています。(東京都・募集案内)
翻訳対象を選ぶ際は、患者さんが「受診前に調べる」「来院する」「説明を受ける」「支払う」という流れに沿って考えると、必要な資料を整理できます。
以下は、整備内容を検討するための例です。個々の資料や作業の補助対象可否は、東京都への確認が必要です。
使用する場面 | 整備を検討する資料の例 |
受診前 | Webの診療案内、予約方法、持参物、費用・支払方法の案内 |
受付 | 受診の流れ、診療申込書、保険情報を確認する書式 |
診療・検査 | 問診票、検査前の注意事項、院内で承認した説明資料 |
入院・会計 | 入院案内、前払金・精算方法、費用や支払いに関する説明 |
院内の移動 | 受付・会計・検査室などへの案内表示 |
例えば、まず英語で「受診前のWeb案内」「受付で渡す受診案内」「会計時の支払方法」の3点を整える、という計画も考えられます。
その際は、同じ窓口や手続きの名称を、Webと配布資料でそろえておきます。何を翻訳するかだけでなく、どこで使うか、誰が更新するかまで決めることをおすすめします。
公開されている多言語資料も活用する
厚生労働省は、診療申込書、問診票、概算医療費、請求書・領収書などの多言語資料を公開しています。用途に合わせて編集できるWord・Excel形式の資料もあります。(厚生労働省・外国人向け多言語説明資料)
すべてを一から翻訳する前に、利用できる資料がないか確認しましょう。そのうえで、自院独自の予約方法、料金案内、支払条件、診療の流れなど、不足する部分を整えていきます。
検査説明や同意に関わる文書については、翻訳工程とあわせて、院内の医療担当者が内容を確認する工程も設けてください。
申請前は見積を取得。正式発注・制作・支払いは交付決定後に
今回、特に注意したいのが発注と支出のタイミングです。
東京都は、交付決定通知前に支出した対象経費は補助対象外とし、対象経費の支出は交付決定日以降に開始するよう定めています。一方、申請段階では、事業者が発行した見積書の写しが必要です。(東京都・補助金事務手続の手引)
したがって、準備は次のように分けて進めましょう。
申請前:対象確認、翻訳する資料・言語の整理、見積取得、申請書類の準備。
交付決定後:決定内容を確認し、正式発注、制作、院内確認、納品、支払い。
契約・発注の個別の扱いに不明点がある場合は、東京都へ確認したうえで日程を決めてください。申請した日を、交付決定日と取り違えないことも大切です。
手引きでは、交付決定は2026年12月頃を予定しています。11月10日は翻訳を完成させる期限ではなく、補助金の申請期限です。(東京都・補助金事務手続の手引)
また、補助金は事業完了後の実績報告などを経て、補助金額が確定してから支払われます。翻訳会社への支払時期と、補助金の入金時期は分けて計画する必要があります。(東京都・募集案内)
翻訳見積を依頼するときは、まず3つを伝える
「ホームページを多言語化したい」「院内文書を翻訳したい」という段階でも、相談は始められます。
最初に整理しておきたいのは、翻訳するもの、必要な言語、使い方の3つです。
翻訳するもの
文書のファイルやWebページのURLを用意します。すべてがそろっていなければ、「受診案内2ページ、支払方法の説明1ページ」のように、資料名とおおよその分量を伝えましょう。
既存の外国語版がある場合は、全文を新しく翻訳するのか、変更した部分だけを修正するのかも確認します。
必要な言語
英語、中国語、韓国語など、対応したい言語を伝えます。
言語が決まっていない場合は、現在の来院状況や院内で対応が必要な言語をもとに、優先順位を検討しましょう。「まず1言語で整える部分」と「複数言語が必要な部分」を分ける方法もあります。
使い方と希望時期
院内配布、掲示、Web掲載などの用途と、希望する納品形式を伝えます。翻訳原稿の納品だけでよいのか、レイアウト調整やWeb反映も必要なのかで、依頼する作業は変わります。
補助金を利用する予定がある場合は、最初にその旨を伝え、見積書の記載内容や制作日程を相談してください。
翻訳する資料が決まっていなくても、ご相談いただけます。 現在使用している案内や、外国語で用意したい内容をお知らせください。対象範囲と必要な工程を確認し、対応可否と見積をご案内します。
初回のご相談には、患者情報が入っていない空欄の様式や、公開済みのWebページなどをご用意ください。
アシーマでは、補助制度を利用する翻訳案件もご相談いただけます
株式会社アシーマは、法人向けの翻訳・ローカリゼーションサービスを提供しています。案件の専門分野、用途、対象言語、必要な確認工程などに応じて、翻訳者やレビュー担当者を選定しています。
補助制度を利用する案件についても、これまでの対応経験を踏まえ、見積書の項目分け、言語別の費用明細、見積・納品・請求スケジュールなどを、対応可能な範囲で調整しています。(翻訳費用は補助金・助成金の対象になる?)
医療機関の多言語化をご相談いただく際は、原稿の専門性と必要な確認工程を確認したうえで、対応可否をご案内します。
例えば、次のような内容をお知らせください。
「受診案内と支払方法の説明を英語にしたい」 「Webと院内配布資料の用語をそろえたい」 「補助金を検討しているので、資料別・言語別の見積が必要」 「まず、どの資料から翻訳すればよいか相談したい」
料金や診療方針など、医療機関が決定する内容は、院内での確認・承認を前提に進めます。Webへの反映や印刷なども必要な場合は、翻訳とあわせて希望する作業範囲をお伝えください。
補助金申請の代行や採択保証を行うものではありませんが、翻訳会社が用意する見積や納品物について、申請予定を踏まえた相談ができます。(アシーマ・補助制度を利用する翻訳案件について)
申請前によくある疑問
翻訳費以外も対象になりますか?
多言語対応ツール、外国人患者対応のためのシステム導入・改修、職員の語学力向上に関する研修等も対象区分として示されています。一方、維持経費や、院内職員が直接翻訳・原稿作成をする際の人件費・事務経費は対象外です。(東京都・募集案内)
医療通訳の利用料も対象になりますか?
公募には医療通訳養成研修等の受講費が含まれますが、通常の通訳者派遣や診療時の通訳利用料と同じものではありません。通訳業務の費用を計上したい場合は、対象になると判断せず、東京都へ確認してください。(東京都・募集案内)
この補助金で、未払いになった医療費を補てんできますか?
この制度は、外国人患者を受け入れるための体制整備を支援するものです。診療費の未払いを補てんする制度ではありません。(東京都・募集案内)
支払保証や未払い発生後の対応については、「外国人観光客の医療費未払いにどう備える?病院・クリニックが使える具体策」をご覧ください。
補助金の対象外でも、翻訳を相談できますか?
補助制度の利用にかかわらず、ご相談いただけます。必要な資料と希望言語、用途、ご予算・希望時期をお知らせください。
「何を翻訳するか」と「いくらかかるか」を、まず具体的に
多言語化の計画を考えるとき、最初に決めたいのは、翻訳する資料の量ではなく、患者さんに何を伝える必要があるかです。
受診前に知っておいてほしいこと。受付で確認すること。検査や会計で説明すること。それらを整理すれば、優先する資料と、必要な言語が見えてきます。
「必要なのは分かるけれど、まだ手をつけられていない」という段階でも構いません。まずは、現在の資料や整備したい内容をもとに、翻訳対象と費用を具体化してみませんか。
お問い合わせの際に「東京都の外国人患者受入れ体制整備補助金を検討中」とご記入いただくと、相談の目的を共有しやすくなります。ご相談・見積の段階と、正式発注の段階を分けて進めます。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。補助対象の可否、申請手続き、交付の判断は東京都の最新の公募資料をご確認ください。個別の翻訳・制作費が補助対象となることや、補助金の採択を保証するものではありません。



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