英語通訳を法人が依頼するときの選び方|商談・会議・研修で失敗しないポイント
「英語ができる人なら通訳もできる」と思われることがありますが、ビジネスの現場ではそう単純ではありません。日常会話が流暢でも、商談や役員会議、研修、工場視察などで求められる通訳には、専門用語の理解、要点整理、話者の意図を正確に伝える力、会議進行への対応力が必要です。
この記事では、法人が英語通訳を依頼するときに押さえておきたいポイントを、会議の種類、必要な通訳レベル、逐次・同時通訳の使い分け、事前準備、料金、通訳会社の選び方まで含めて詳しく解説します。

英語が話せることと、英語通訳ができることは違う
ビジネス英語に慣れている社員が社内会議を手伝うことはあります。しかし、重要な商談や契約交渉、役員会議などでは、英語力だけでなく「通訳技術」が必要になります。
通訳者は、話者の発言をただ別の言語に置き換えるのではなく、文脈、意図、数字、固有名詞、専門用語を短時間で整理し、相手に理解できる形で伝えます。発言が長い場合は要点を保持し、曖昧な表現があれば前後関係から意味を判断し、必要に応じて話者へ確認します。
特にビジネスの場では、少しの言い間違いやニュアンスのずれが、価格、納期、契約条件、責任範囲などの認識違いにつながることがあります。
法人が英語通訳を依頼する主な場面
海外企業との商談
商談では、製品説明、価格交渉、納期、契約条件、今後の取引方針など、誤解を避けたい内容が多く含まれます。短時間の商談であれば逐次通訳が使いやすく、発言を区切りながら双方の理解を確認できます。
役員会議・経営会議
役員会議では、発言量が多く、経営・財務・法務・人事など複数分野の内容が混在します。話者の肩書きや社内用語、過去の経緯なども理解している必要があるため、事前資料の共有が特に重要です。
研修・セミナー
社内研修や技術研修では、講師が長く説明することが多いため、参加人数や進行方法によって逐次通訳と同時通訳のどちらが適しているかが変わります。参加者との質疑応答が中心なら逐次通訳、講義を止めずに進めたい場合は同時通訳が向いています。
工場・施設視察
工場や研究施設では、騒音、移動、ヘルメットやマスクの着用など、通常の会議とは異なる条件があります。専門用語に加えて、安全上の注意や設備名称を正確に理解できる通訳者が必要です。
オンライン会議
ZoomやMicrosoft Teamsを使った英語通訳では、会議の目的だけでなく音声品質やプラットフォーム設定も重要です。オンライン通訳の実務については、Zoom・Teamsで失敗しないオンライン通訳ガイドで詳しく解説しています。
逐次通訳と同時通訳、どちらを選ぶべきか
英語通訳を依頼するときによくある質問が、「逐次通訳と同時通訳のどちらがよいか」というものです。
逐次通訳が向いているケース
少人数の商談
面接やヒアリング
工場・施設視察
契約条件を一つずつ確認したい会議
発言の途中で質問や確認を入れたい場面
逐次通訳では、話者が一定量話した後に通訳します。会議時間は長くなりますが、発言を整理しながら進められるため、少人数のビジネス会議に向いています。
同時通訳が向いているケース
国際会議
講演会・シンポジウム
全社会議
長時間の研修
参加人数が多いイベント
同時通訳では、話者の発言とほぼ同時に訳すため、会議時間を延ばさずに進行できます。一方で、複数名の通訳者や専用機材、言語チャンネルが必要になる場合があります。
通訳形式の違いについては、同時通訳・逐次通訳・ウィスパリング通訳の違いも参考にしてください。
英語通訳者の「レベル」は何で決まるのか
通訳会社によっては、経験や専門性に応じて通訳者をクラス分けしている場合があります。ただし、重要なのは単純なランクよりも「案件との適合性」です。
たとえば、国際会議の経験が豊富な通訳者でも、医療分野の専門用語に慣れていなければ、医療機器の商談には最適とは限りません。逆に、特定業界に長く関わっている通訳者であれば、その分野の専門用語や業界慣行を理解していることがあります。
発注側が確認したいのは、英語力そのものよりも次の点です。
類似案件の経験があるか
専門分野に慣れているか
逐次・同時のどちらを得意としているか
オンライン会議ツールに慣れているか
役員・経営層の会議経験があるか
長時間案件や複数名体制に対応できるか
ビジネス通訳では専門知識が重要
IT、法務、金融、製造、医療、IR、人事など、企業の会議では専門用語が頻繁に登場します。通訳者が初めて聞く専門用語ばかりでは、正確な訳出が難しくなります。
そこで重要になるのが事前準備です。アジェンダ、プレゼン資料、用語集、過去の議事録、製品資料、参加者リストなどを事前に共有することで、通訳者は会議内容を理解し、専門用語を確認できます。
社外秘の情報が含まれる場合は、秘密保持契約や資料の取り扱いについて通訳会社へ確認しておくと安心です。
ネイティブ通訳者を選べば必ず良いのか
「英語はネイティブの方が良い」と考える方もいますが、通訳では母語だけで判断するべきではありません。
日本語から英語への通訳では、英語表現の自然さだけでなく、日本語の曖昧な発言や省略された主語、社内特有の表現を正しく理解できることが重要です。逆に英語から日本語への通訳では、英語のニュアンスを正確に理解し、日本語で分かりやすく表現する能力が必要です。
実際の案件では、母語、経験、専門性、会議形式などを総合的に見て人選するのが現実的です。
通訳者に資料を渡すタイミング
通訳品質を上げるためには、資料をできるだけ早く共有することが重要です。
特に次のような情報は、可能であれば事前に共有してください。
会議のアジェンダ
参加者名・役職
会社名・製品名
プレゼン資料
業界用語・社内用語
数字や統計
契約条件や議題
過去の会議資料
「資料は当日見せればよい」と考えるよりも、事前準備の時間を確保した方が、結果として会議の精度と進行が安定します。
英語通訳で起きやすい失敗
1.英語が話せる社員だけで対応する
社内会議なら問題ない場合もありますが、重要商談や交渉では、社員自身が会議内容を考えながら通訳まで担当すると負担が大きくなります。結果として発言内容や交渉に集中できなくなることがあります。
2.通訳者へ資料を渡さない
専門用語や固有名詞を事前に確認できないため、会議中に聞き返しが増えたり、訳語が統一されなかったりする原因になります。
3.会議時間を短く見積もる
逐次通訳では、原文と訳文の両方を話すため、通訳なしの会議より時間が必要です。予定時間を詰め込みすぎると、最後の議題を急いで終わらせることになります。
4.最安値だけで選ぶ
通訳は、会議が終わった後にやり直すことが難しいサービスです。重要度の高い会議ほど、価格だけでなく経験や専門性を確認する必要があります。
英語通訳の料金はどう決まるのか
英語通訳の料金は、通訳者の経験、通訳形式、拘束時間、人数、専門分野、会場、オンライン環境、機材などによって決まります。
同時通訳では複数名体制になる場合があり、会場であればブースや受信機などの機材費が加わることもあります。オンラインの場合は交通費を抑えられる一方、技術サポートや事前リハーサルが必要になる場合があります。
料金相場や見積書の見方については、法人向け通訳の料金相場と見積もりの見方で詳しく解説しています。
英語通訳を依頼するときに伝えるべき情報
問い合わせの段階で、次の情報が分かっていると、通訳会社は適切な人材と体制を提案しやすくなります。
日時と予定時間
開催場所またはオンライン会議ツール
参加人数
日本語→英語、英語→日本語、双方向などの言語方向
会議の目的
業界・専門分野
逐次・同時通訳の希望
登壇者・発言者の人数
資料の有無
録画・配信の有無
機密情報の有無
通訳形式が決まっていない場合でも、会議の内容を伝えれば、通訳会社側から適した方法を提案できます。
通訳会社を選ぶときに確認したいこと
法人案件では、単に通訳者を紹介してもらえるかだけでなく、案件全体を適切に管理できるかも重要です。
専門分野に合った通訳者を選定できるか
複数名体制を組めるか
急な変更に対応できるか
秘密保持に対応しているか
オンライン通訳の運用経験があるか
同時通訳機材や技術スタッフを手配できるか
担当者が案件内容を理解しているか
詳しくは、通訳会社の選び方|法人が依頼前に確認すべき7つのポイントで解説しています。
アシーマの法人向け英語通訳
アシーマでは、商談、役員会議、研修、工場視察、国際会議、オンライン会議など、さまざまな法人向け英語通訳に対応しています。
案件の目的、会議形式、専門分野、参加人数などを確認したうえで、逐次通訳・同時通訳・オンライン通訳から適切な方法をご提案します。
英語通訳をご検討の方は、法人向け通訳サービスをご覧ください。
関連記事:法人が通訳を依頼する流れ
関連記事:東京で英語通訳を依頼するときのポイント





コメント