科学的仮説としての「星間偵察機」──ローブ博士が語る3I/ATLASの謎と、新ボリゾフ彗星の“不可思議な符合”
- ACIMA WORLD NEWS 編集部

- 2025年11月8日
- 読了時間: 4分
更新日:2025年11月18日

宇宙の二つの来訪者が見せた「符合」
2025年秋、太陽系の内側で奇妙な“共演”が起きました。恒星間天体 3I/ATLAS (C/2025 N1) と、新彗星 C/2025 V1 (Borisov)。前者は太陽系外から飛来した“星間の旅人”、後者は太陽系の記憶を宿した“内なる彗星”。
この二つの天体がわずか数週間の差で太陽近傍を通過したことは、天文学的にほとんど奇跡といえる確率です。しかも、どちらも尾を持たず、異常な増光を示したという共通点を持っていました。
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ローブ博士の「星間偵察機」仮説とは
ハーバード大学の物理学者 アヴィ・ローブ博士(Avi Loeb) は、2021年に出版した著書『Extraterrestrial』および、近年の論文・ブログで繰り返し次のように述べています。
「宇宙文明が存在するなら、彼らは恒星間を移動する“観測装置”を送り出していてもおかしくない。それらはすでに私たちの太陽系を通過している可能性がある。」
この仮説のきっかけとなったのが、2017年に発見された1I/ʻOumuamua(オウムアムア)。太陽を通過した後、自然の物理では説明できない非重力的加速を示し、ローブ博士はこれを「星間探査機(interstellar probe)」の可能性として提起しました。
そして2025年、博士は再びこの議論を持ち出します──今度の主役は3I/ATLASです。
3I/ATLAS──“尾を持たない”星間の旅人
NASAとESA、そして中国の天問1号探査機の観測データから、3I/ATLASは太陽への接近時にもガスや塵の放出をほとんど示さず、それにもかかわらず非重力加速度を示したことが確認されています。
ローブ博士は自身のブログでこう指摘しました。
“The non-gravitational acceleration of 3I/ATLAS without a visible tail suggests the possibility of propulsion by other means — potentially artificial.”(「尾を伴わない非重力加速は、他の推進源による可能性を示唆する。人工的である可能性も排除できない」)— Avi Loeb, The Latest Image of 3I/ATLAS, Nov. 2025
博士は断定を避けつつも、「もし自然現象でないなら、それは何らかの観測目的を持つ装置の可能性もある」と述べています。
そして現れた「第二のボリゾフ」──偶然か、それとも?
2025年11月2日、クリミアの天文学者 ゲナディ・ボリソフ 氏は新たな彗星 C/2025 V1 (Borisov) を発見。この発見は、国際天文学連合(IAU)中央天文電報局によるCBET No.5631(2025年11月6日付)で正式に発表されました。
不思議なことに、この新ボリゾフもまた尾を持たない拡散状の光球として観測され、発見からわずか数日で急激な明るさの上昇を見せています。
3I/ATLASが太陽の裏側を通過して外宇宙へ去るタイミングで、その反対側(地球側)に現れたボリゾフ彗星──。
この符合は、一部の研究者の間で「3I/ATLASの通過に呼応して出現した“関連天体”なのではないか?」という仮説を生みました。
科学的に見た“関連性”の可能性
現時点で、両天体の軌道上の物理的関連性は観測上は確認されていません。しかし、次の三点が議論を活性化させています。
時期の一致:ATLASが太陽を通過した直後、数日後にBorisovが発見された。
形態の共通性:どちらも“尾なし”でありながら明るく増光。
方向の相関:太陽を挟んでほぼ反対側に位置(“対称配置”)。
この偶然を「統計的な偶発」と見るか、「星間観測装置ネットワーク的な現象」と見るか。その評価は今後の観測データに委ねられています。
「科学的想像力」と「冷静な観測」の共存
ローブ博士が主張しているのは、「すべてを信じること」ではなく「何も排除しないこと」です。博士はこう述べています。
“Despite what some influencers claim, the foundation of science is the humility to learn, not the arrogance of expertise.”(「科学の基盤は学ぼうとする謙虚さであり、知識の傲慢さではない」)— The Inspiration Delivered by 3I/ATLAS to Our Doorstep, Nov. 2025
つまり、「星間偵察機」仮説は信仰ではなく科学的勇気の象徴なのです。
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文:ACIMA WORLD NEWS 編集部
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