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【新たな"彗星"!! 】太陽をはさんだ二つの来訪者──新彗星 C/2025 V1 (Borisov) と恒星間天体 3I/ATLAS が見せた“宇宙の交差点” (最新画像あり)

更新日:11月14日


2025年11月8日時点での、おとめ座に位置する彗星 C/2025 V1(ボリソフ) の星図。
2025年11月8日時点での、おとめ座に位置する彗星 C/2025 V1(ボリソフ) の星図。(クレジット:theskylive.com)

日本時間2025年11月8日11:23撮影のリアルタイム画像
日本時間2025年11月8日11:23撮影のリアルタイム画像 (クレジットtheskylive.com)


2019年、世界の天文学界を驚かせたひとりの観測者がいました。クリミアの小さな天文台で、個人として史上初の「恒星間彗星」2I/Borisov を発見したゲナディ・ボリソフ(Gennadii V. Borisov)氏です。


そして2025年の秋、彼は再び宇宙からの“光”をとらえました。それが、新彗星 C/2025 V1 (Borisov) です。


驚くべきことに、その発見とほぼ同時期、太陽の反対側では、別の来訪者──恒星間天体 3I/ATLAS (C/2025 N1)──が通過していました。


太陽を中心にして、外から来た訪問者と内側から帰ってきた記憶がすれ違う。この偶然の一致は、科学者たちの間で“宇宙の交差点 (Cosmic Intersection)”と呼ばれています。


ボリゾフ氏
ボリゾフ氏

🔭 発見の経緯


2025年11月2日(UT)、ボリソフ氏はクリミア・ナウチヌイのMARGO天文台で0.5メートル反射望遠鏡を用いて観測を行っていました。その夜、彼の視野に、淡く広がる新たな光の点が映り込んだのです。


観測データは次の通りです。

  • 発見日: 2025年11月2日(UT)

  • 望遠鏡: 0.5m f/1.9反射望遠鏡

  • 明るさ: 約12.1等級(緑フィルター)

  • 形状: 拡散したコマ(約25秒角)で、尾はなし

  • 軌道傾斜角 i: 112.7°(逆行軌道)

  • 近日点距離 q: 0.463 AU

  • 近日点通過日 T: 2025年11月16日


この発見は、国際天文学連合(IAU)の中央天文電報局 (CBAT) が発行した電子速報「CBET No.5631」に正式に記録されました。


日本、ロシア、チリ、オーストリアなど複数の観測チームによる独立確認も続き、C/2025 V1 (Borisov) は正式に新彗星として登録されました。



☀️ 太陽をはさんで現れた二つの来訪者


2025年秋、太陽系の内側では、極めて珍しい配置が成立していました。太陽を中心に、片側に恒星間天体 3I/ATLAS反対側にC/2025 V1 (Borisov)。地球はその中間付近にあり、両天体の“交差”を見上げる形となっていたのです。


      3I/ATLAS
           \
            \
   (太陽)───(地球)───C/2025 V1 (Borisov)

この単純な図の中に、壮大な立体構造が隠れています。太陽を挟んで、3I/ATLASは内側を通過し、Borisovは外側を通過していました。


🔹 3I/ATLAS(太陽の向こう側)

  • 近日点通過: 2025年10月12日

  • 近日点距離: 約0.38 AU(約5,700万km)

  • 離心率 e: 約1.03(恒星間軌道)

  • 軌道傾斜角 i: 約129°


3I/ATLASは、太陽系外から飛来した「恒星間天体」であり、太陽の“裏側”を高速で通過したのち、すでに外宇宙へと離脱しました。太陽の重力に縛られず、二度と戻ることはありません。


🔹 C/2025 V1 (Borisov)(太陽の手前側)

  • 近日点通過: 2025年11月16日

  • 近日点距離: 約0.46 AU(約6,900万km)

  • 離心率 e: 約1.009(放物線に近い長周期軌道)

  • 軌道傾斜角 i: 約112.7°


C/2025 V1 は、太陽系の外縁部――オールトの雲――から落ち込んできた長周期彗星です。太陽の“手前側”を通過しており、現在も地球から見て太陽のすぐ近くを移動しています。



🌍 地球から見た「交差」の瞬間


この二つの天体は、2025年10月〜11月にかけて、太陽をはさんで対角線上に位置しました。


  • 3I/ATLAS は太陽の“裏側”で近日点を通過(10月12日)。

  • C/2025 V1 (Borisov) は太陽の“こちら側”で近日点を迎える(11月16日)。


地球から見ると、まるで二つの彗星が太陽の両側を往復するように見えたため、SNSでは「二つの彗星が太陽と地球の間を行き来している」との話題が拡散しました。

しかし実際には、両者の距離は1億km以上も離れており、重力的にも光学的にも影響を及ぼし合ってはいません。


それでも、太陽系外からやってきた旅人と、太陽系内の古参が、たった数週間の差で太陽の近くを通過したという事実は、統計的にも奇跡に近い出来事です。



🧭 三次元で見る“宇宙の交差点”


上空から見た太陽系を想像すると、地球が太陽を中心にほぼ円形の軌道を描いています。3I/ATLASはその内側を鋭い角度で横切る軌道を取り、C/2025 V1 (Borisov) はその外側を逆方向にかすめる軌道を描いています。

つまり、太陽を中心とした球体の内部で、二本の斜めの線が“X”の字のように交わるように通過したわけです。

それを地球という一点から見上げたとき、二つの光が太陽の両脇でわずかに輝く――この「見かけ上の交差」が、まさに“宇宙の交差点”なのです。



🔬 科学的意義


この二つの天体が同じ季節に太陽へ接近したことは、天文学的にも注目されています。太陽風や磁気圏の変化が、近傍を通過する彗星の活動に影響を与える可能性があるからです。

事実、ボリソフ彗星は発見後わずか数日で急激に増光しました。これは、3I/ATLASの通過によって太陽周辺の粒子環境が変化した影響かもしれない――そんな仮説も一部の研究者から提起されています。

確証はまだありませんが、この時期の二つの彗星の並行通過は、太陽近傍の物理環境を観測する上で貴重な比較対象になっています。



🌫 「ボリソフ彗星が見えなくなった」と言われる理由


11月上旬以降、「ボリソフ彗星が消えた」という報告が相次ぎました。しかし、実際には消滅したわけではなく、観測条件が極めて厳しくなっただけです。

  • 太陽光に埋もれたため、望遠鏡でも淡くしか見えません。

  • 尾が形成されておらず、散乱光が少ないため、光度が上がりません。

  • 地平線に近く、高度が15度前後しかないため、大気の影響が大きいのです。

つまり、ボリソフ彗星は“そこにいる”のです。私たちが見ることが難しいだけで、彼女は静かに太陽の前を通り過ぎているのです。



🧊 オールトの雲からの旅人


C/2025 V1 (Borisov) は、太陽系の最も外側に広がるオールトの雲からやってきた彗星です。オールトの雲は、太陽からおよそ5万AU(約0.8光年)の距離にあるとされる、氷と塵の貯蔵庫のような存在です。

そこにある微小天体の多くは、太陽系形成期の名残です。外部からの重力擾乱によって軌道がわずかに乱され、数千万年、数億年の時を経て太陽系内部に落ち込んでくることがあります。

この彗星も、太陽系誕生以来の“氷の記録”を私たちのもとに届けてくれているのです。



🌌 二つのボリソフが語るもの


2019年の 2I/Borisov は、外からやってきた旅人でした。2025年の C/2025 V1 (Borisov) は、太陽系の記憶をたどる再訪者です。


同じ観測者が、宇宙の“外”と“内”の両方に自らの名を刻んだという事実は、偶然の一致を超えた象徴性を持っています。


宇宙のスケールでは、私たちは塵のように小さな存在です。それでも、その塵が空を見上げ、宇宙を理解しようとする――それこそが、科学であり、言葉であり、希望なのです。


🧠 情報の時代における「科学の言葉」


ボリソフ彗星の発見後、SNSでは「地球接近」「人工物」「3Iとの衝突」などの誤情報が拡散しました。しかし、IAU・MPC・NASAなどの一次データには、そのような事実は一切記録されていません。


現代では、科学的事実と想像上の物語が同じ速度で拡散してしまう時代です。だからこそ、翻訳や言語を扱う私たちには、

“言葉の翻訳”だけでなく、“意味の橋渡し”を行う責任があります。

科学を正しく伝えること。それは、宇宙を見上げるすべての人の知的権利を守る行為でもあるのです。



文:ACIMA WORLD NEWS 編集部

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●株式会社アシーマより

科学的探究の精神は、国境や言語を越えて共有されるべきものです。

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