最新画像が語る「沈黙の尾」——3I/ATLASが示す科学と人間の原点
- ACIMA WORLD NEWS 編集部
- 2025年11月8日
- 読了時間: 3分
更新日:2025年11月14日

🌌 太陽をかすめた「光の球体 3I/ATLAS」
アリゾナ州ローウェル天文台が2025年11月5日に撮影した最新画像が公開されました。撮影時、恒星間天体3I/ATLAS(アトラス)は太陽から1.38天文単位、地球から2.23天文単位の距離に位置していました。
この画像に映るアトラスは、明るくぼんやりとした光の球体のように見えます。その周囲にはわずかな発光(コマ)が確認されるものの、彗星の特徴である「尾(テイル)」は確認できませんでした。緑色のフィルターを通して撮影されたこの画像では、炭素分子(C₂)による発光が強調されており、最も明るい波長は青領域に集中していました。
☄️ 予想外の“尾の欠如”
NASAジェット推進研究所(JPL)の報告によれば、3I/ATLASには重力以外の加速度(非重力的加速)が観測されています。ローブ博士は運動量保存則に基づき、「もし自然な彗星であるなら、近日点通過時に質量の13%以上を失ったはずだ」と試算。その場合、膨大なガスと塵が放出され、太陽風によって尾が形成されるはずです。しかし、新しい画像には尾がまったく見られないのです。
博士はその理由の一つとして「観測角度」を挙げています。この写真が撮影された時点で、3I/ATLASは太陽からわずか13度しか離れていませんでした。つまり、もし尾が太陽と反対方向に伸びていたとしても、ほぼ“正面”から見ているため視認できなかった可能性があります。
とはいえ、ハッブル宇宙望遠鏡が7月に撮影した画像では、太陽方向に伸びる“逆尾(アンチテイル)”がはっきり確認されており、この説明だけでは「尾の沈黙」を完全には説明しきれません。
🔭 今後数週間がカギを握る
今後、地球から見た太陽との角度が数十度に広がるにつれ、地上の望遠鏡が近日点通過後の尾の有無をより明確に観測できるようになります。アトラスが太陽から受けた放射は1平方メートルあたり770ワット。この強烈な加熱を経てなお尾を形成しないのであれば、それは「自然の彗星ではない」ことを意味するかもしれません。
💬 世界中から届く“科学への感謝”
ローブ博士のもとには、世界中の人々から感謝のメッセージが寄せられています。化学工学を学ぶ学生、アルゼンチンの高校生、南アフリカの航空宇宙技術者、漁師、そして祖母になった女性——彼らはみな、「博士の研究が、再び科学への情熱を取り戻させてくれた」と語ります。
「未知を恐れずに問い続けること」それこそが、科学と人間を結ぶ原点の光なのかもしれません。
🌠 沈黙の中にある“問い”
3I/ATLASは、声なき尾をもって宇宙を漂いながら、人類に「科学とは何か」を静かに問いかけています。
確信よりも探求を、支配よりも好奇心を。
そのメッセージは、光速ではなく“共鳴”によって、私たち一人ひとりの心に届いているのだと思います。
文:ACIMA WORLD NEWS 編集部
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