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昔は日本だった!パラオ共和国の歴史、デモグラフィ、経済と日本との関係


昔は日本だったパラオ
昔は日本だったパラオ


皆さんは、パラオと聞いて何を想像しますか?やはり、美しい海でしょうか?私はYouTuberのおのださんのファンで、昨日彼の最新の動画でパラオ旅行記を見ました。そして、名前を聞いたことある程度だったパラオという国にとても興味を持ちました。パラオはかつて日本の一部であり、パラオ語には日本語の単語が8,000以上も取り入れられており、また日本語が通じるなど、日本との深いつながりがあります。しかし、ハワイと同様に太平洋にある国であるにもかかわらず、日本(語)ではパラオに関する情報、特に国としての情報や歴史など経済などについての情報ががあまり豊富ではないようです。そこで、海外の様々な文献を参考にして独自のリサーチを行い、その内容をまとめましたので、ごきょうみがあればお読みいただければと思います。内容に誤りがあるかもしれませんので、お気づきの点がありましたら、ぜひご指摘いただければ幸いです。

 

パラオ共和国について


目次

  1. はじめに

  2. パラオの歴史

  • 先史時代からヨーロッパの探検

  • スペインの統治(1885-1899)

  • ドイツの統治(1899-1914)

  • 日本の統治(1914-1944)

  • アメリカの信託統治(1947-1994)

  • 独立後の現代

  1. パラオのデモグラフィ

  • 人口

  • 人口分布

  • 人口構成

  • 言語

  • 宗教

  • 教育

  • 健康と寿命

  • 経済状況

  • 移民と国際関係

  1. パラオの経済

  • 主要産業

  • 労働市場

  • インフラと観光業

  • 環境保護と持続可能な発展

  1. 日本とパラオの関係

  • 歴史的な関係

  • 経済援助と技術支援

  • 現代の文化交流

  1. まとめ

  2. 参考文献


1. はじめに

パラオ共和国は西太平洋に位置する美しい島国であり、その独自の文化と自然環境で知られています。約340の島々から成り立ち、その中には約18,000の人々が住む9つの主要な島があります。


今回は、パラオの歴史、デモグラフィ、経済状況、そして日本との関係について詳細をまとめました。


2. パラオの歴史

先史時代からヨーロッパの探検

パラオの最古の居住者は約3000年前に東南アジアから移住してきたと考えられています。考古学的な証拠によると、パラオの古代文化は農業や漁業、交易に依存していました。また、独自の宗教や社会構造を持ち、石積みの遺跡やドルマイトの石柱(バイ)などがその証拠として残っています。スペインの探検家が16世紀に到達し、これがヨーロッパ人による初の接触となりました。以降、18世紀後半にはイギリスやスペインなど他のヨーロッパ諸国もパラオに訪れ、徐々に影響を及ぼすようになりました。またこれらのヨーロッパ人によって天然痘が流入し、パラオの人口が90%減少したとされています(Wikipedia参照)。


スペインの統治(1885-1899):15年

スペインがパラオを統治した期間は短いものの、重要な転換期でした。1885年にスペインはパラオを植民地化し、キリスト教(特にカトリック)の布教を進めました。この期間、パラオの社会構造や文化に影響を与える一方で、スペインの統治は多くの課題にも直面しました。特に、スペインはパラオの多くの島々を効果的に統治することができず、現地の人々との対立も生じました【Hezel, 1983】。


ドイツの統治(1899-1914):15年

1899年、スペイン・アメリカ戦争の結果としてスペインはパラオをドイツに売却しました。ドイツ統治下では、経済活動の活性化が図られ、特にコプラ(乾燥ココナッツの肉)の生産が奨励されました。ドイツはまた、現地のインフラ整備を進め、道路や港の建設を行いました。この期間、パラオの経済基盤は強化されましたが、ドイツの統治もまた短命に終わりました【Shuster, 2008】。


日本の統治(1914-1944):30年

  • 統治開始とインフラ整備: 第一次世界大戦が勃発すると、日本は当時敵対国であったドイツからパラオを含むミクロネシア諸島を併合しました。その後、国際連盟からの委任統治を受け、日本は南洋庁を設立し、パラオを含む南洋諸島の統治を開始しました。日本はパラオのインフラを大規模に整備し、道路、港、学校、病院などの公共施設を建設しました。これにより、パラオの生活環境が大きく改善されました【Peattie, 1988】。

  • 経済発展と農業・漁業の奨励: 日本はパラオの経済を発展させるため、農業や漁業を奨励しました。特にコプラやパイナップルの生産が推進され、これらの農産物は主要な輸出品となりました。また、漁業も盛んに行われ、日本の技術と資本が導入されました。これにより、パラオ経済は多様化し、現地の生活水準が大幅に向上しました【Shuster, 2008】。

  • 教育と文化交流: 日本は多くの学校を設立し、現地の子どもたちに質の高い教育を提供しました。教育内容には日本語や日本文化が含まれ、現地の人々との文化交流が進みました。特に、教育を通じてパラオの若者が日本の文化や技術に触れる機会が増え、相互理解が深まりました。また、日本からの移民が増加し、パラオ社会に多様な影響を与えました【Maher, 1998】。

  • 戦争の影響: 第二次世界大戦中、パラオは日本にとって重要な軍事拠点となりました。特に、ペリリュー島での戦いは激戦となり、多くの日本兵とアメリカ兵が戦いました。この戦いは両国にとって重大なものであり、多くの犠牲を伴いましたが、日本の兵士たちは最後まで勇敢に戦いました。戦争の影響はパラオ全体に広がり、インフラや住民の生活に大きな打撃を与えました【Peattie, 1988】。


アメリカの信託統治(1947-1994):47年

  • 戦後の復興と信託統治の開始:第二次世界大戦後、パラオはアメリカの信託統治領となり、太平洋諸島信託統治領の一部として統治されました。アメリカはパラオの復興に向けた支援を行い、インフラの再整備や教育制度の強化を図りました。アメリカの影響下でパラオは経済的にも発展し、住民の生活水準が向上しました【Hezel, 1983】。

  • 経済発展と教育の向上::アメリカはパラオの経済発展に向けた支援を継続し、観光業や漁業の発展を促進しました。また、教育制度の強化により、パラオの識字率はほぼ100%に達し、子どもたちが質の高い教育を受ける環境が整いました。アメリカの影響下でパラオは徐々に独立への準備を進めていきました【Shuster, 2008】。


独立後の現代

  • 独立と自由連合協定:パラオは1994年10月1日にアメリカから独立し、独立共和国となりました。独立後もアメリカとの自由連合協定に基づき、安全保障と経済支援を受けています。この協定により、パラオはアメリカの軍事保護を受けると同時に、経済的な支援も得ることができました【World Bank, 2020】。

  • 観光業の発展と環境保護:独立以来、パラオは観光業を中心に経済を発展させてきました。特にダイビングやエコツーリズムが盛んであり、美しい自然環境を活かした観光が主要な収入源となっています。また、パラオは環境保護に非常に積極的であり、持続可能な開発を重視しています。「パラオ宣言」や「シャークサンクチュアリ」などの取り組みが行われ、世界的にも高く評価されています【CTI Secretariat, 2019】。

  • 持続可能な発展への取り組み::パラオ政府は持続可能な発展を目指し、環境保護と経済成長のバランスを取るための政策を推進しています。再生可能エネルギーの導入や環境保護区の設置など、持続可能な開発を目指した取り組みが進められています。これにより、パラオは持続可能な未来を築くための努力を続けています【UNDP, 2021】。


3. パラオのデモグラフィ

人口

パラオの総人口は約18,000人です。人口密度は低く、広い海域にわたる島々に分散して住んでいます。人口の増加は緩やかであり、都市部への集中が進んでいます。パラオの人口は小規模であり、コミュニティの結びつきが強いのが特徴です【Government of Palau, 2022】。

人口分布

主要都市はコロールであり、人口の大部分がここに集中しています。コロールは経済の中心地であり、多くの商業施設や観光地が存在します。首都はヌグルルムッドですが、行政機能の中心はコロールです。その他の主要な居住地にはバベルダオブ島や他の周辺の小さな島々が含まれます【Government of Palau, 2020】。

人口構成

パラオ人(ミクロネシア系)が大多数を占めています。他には、フィリピン人、韓国人、中国人、日本人などのアジア系移民も存在します。人口の約30%が15歳以下の若者で構成されており、若年層の割合が高いのが特徴です。また、パラオの人口は男女比が均等で、若干女性が多い傾向があります【Shuster, 2008】。

言語

公用語はパラオ語と英語です。教育や政府機関では英語が広く使用されています。日本語、フィリピン語、中国語なども一部で使用されており、多言語環境が存在します。特に高齢者の中には、日本統治時代の影響で日本語を話す人もいます。パラオ語は日常生活で広く使用されており、地域のアイデンティティを強化する役割を果たしています【Nero, 1992】。またパラオ語には8000単語以上の日本語がパラオ語となった言葉が存在しています(元駐パラオ日本大使談)。またパラオのアンガウル州は日本語が公用語だそうです。


アクシュ:握手

アサヒ:ビール(アサヒスーパードライ)

アジダイジョーブ:美味しい

アツイネ:暑いね

アリガトウ:ありがとう

イクラ:いくら?(値段はいくら?という意味)

イレバ:入れ歯

エリ:襟

カビ:カビ

カクジツ:確実

キツネ:狐、うそつき

ケンポ:憲法

コンニチハ:こんにちは

ショウガナイ:しょうがない

ダイジョーブ:大丈夫

ダイトウリョウ:大統領

ダメ:だめ

ツカレナオース:「お疲れさま」が転じたものでお酒を飲むこと

ハエリ:流行

バッキン:罰金

ハンゲ:はげ

フトング:布団、マットレス

ムリ:無理

メンドクサイ:面倒臭い


など


宗教

主にキリスト教(カトリック教会とプロテスタント)が信仰されています。カトリック教会はスペイン統治時代に導入され、プロテスタントは後にアメリカの宣教師によって広まりました。一部には伝統的なパラオの宗教や他の宗教も信仰されています。宗教はパラオの社会生活において重要な役割を果たしており、宗教行事や祝祭が地域の結束を強めています【Hezel, 1983】。

教育

パラオの識字率はほぼ100%に近いです。教育制度はしっかりと整備されており、初等教育から高等教育まで無料で提供されています。パラオの子どもたちは英語とパラオ語で教育を受け、多文化的な環境で育ちます。教育カリキュラムには環境教育や持続可能な発展に関する内容も含まれており、次世代のリーダーを育成するための取り組みが行われています【Government of Palau, 2022】。

健康と寿命

平均寿命は男性が70歳前後、女性が75歳前後です。医療インフラは整っており、基本的な医療サービスが提供されています。特にコロールには大きな病院があり、緊急時には海外(特にグアムやフィリピン)への転送も行われます。医療サービスの質は高く、住民の健康状態も良好です。政府は公衆衛生の向上や予防医療の推進にも力を入れています【UNDP, 2021】。

経済状況

パラオの経済は主に観光業、漁業、農業に依存しています。観光業が経済の柱であり、美しい自然環境を活かした観光が主要な収入源です。政府は観光業の発展を支援するため、インフラ整備やマーケティング活動を行っています。漁業も重要な産業であり、特にツナなどの商業漁業が発展しています。農業は自給的な性格が強いですが、ココナッツ、タロイモ、パイナップルなどの生産が行われています【Asian Development Bank, 2021】。

移民と国際関係

フィリピンやその他のアジア諸国からの移民が存在し、経済活動に貢献しています。観光客も多く訪れ、多国籍な雰囲気があります。パラオは日本、アメリカ、オーストラリアなどとの関係が深く、経済援助や技術支援を受けています。国際的な協力はパラオの経済発展や環境保護に大きく寄与しています【Government of Palau, 2022】。


4. パラオの経済

主要産業

観光業はパラオ経済の柱であり、特にダイビングやエコツーリズムが盛んです。美しい珊瑚礁、豊かな海洋生物、多様なダイビングポイントなどが観光客を引きつけています。観光業の発展を支えるためのインフラ整備やマーケティング活動が進められています。観光業は地域経済の発展に寄与し、多くの雇用を生み出しています【Bureau of Tourism, 2021】。

労働市場

労働力は観光業やサービス業に多く従事しています。パラオ政府は雇用創出と経済の多様化に取り組んでおり、情報通信技術(ICT)や再生可能エネルギーなどの新たな産業の育成に注力しています。政府の経済政策は持続可能な開発を目指しており、地元の資源を活用した経済活動が推進されています【Government of Palau, 2020】。

インフラと観光業

観光業の発展を支えるための交通インフラや通信インフラの強化が図られています。日本や他の国々からの援助や技術協力も重要な役割を果たしています。観光業は国際的な投資を呼び込み、地域経済の発展に寄与しています。インフラの整備は観光客の利便性を向上させ、パラオの魅力を高める要因となっています【Asian Development Bank, 2021】。

環境保護と持続可能な発展

パラオは環境保護に非常に積極的であり、持続可能な観光業の推進や海洋保護区の設定など、環境保護と経済発展の両立を目指しています。世界的に評価される「パラオ宣言」や「シャークサンクチュアリ」などの取り組みが行われています。これにより、パラオの自然環境は良好に保たれており、観光資源としての価値が高まっています。政府は持続可能な開発目標(SDGs)に基づく政策を推進し、地域社会の発展を目指しています【CTI Secretariat, 2019】。


5. 日本とパラオの関係

歴史的な関係

日本の統治期間中に多くの発展が見られ、現代においても友好関係は続いています。日本の技術や資本が導入され、パラオの経済活動が多様化しました。特に農業や漁業、インフラ整備において日本の影響は大きかったです。教育や文化交流も盛んであり、多くのパラオ人が日本文化を学びました【Maher, 1998】。

経済援助と技術支援

日本はパラオに対して経済援助や技術支援を行っています。特にインフラ整備や教育、医療分野での支援が重要です。日本の援助はパラオの持続可能な発展に寄与しており、両国の友好関係を強化しています。日本からの技術支援はパラオの産業発展や人材育成に大きく貢献しています【Government of Palau, 2020】。

現代の文化交流

パラオの人々は親日的であり、文化交流が盛んに行われています。多くの日本人観光客が訪れ、両国の相互理解が深まっています。また、パラオの文化や伝統も日本に紹介され、両国の交流は多岐にわたっています。文化交流イベントや教育プログラムを通じて、両国の関係はさらに深化しています【Palau-Japan Friendship Association, 2020】。


6. まとめ

パラオは小さな国ながらも多様な文化と豊かな自然環境を持ち、持続可能な発展を目指して国際社会と連携しています。日本との深い歴史的な関係を背景に、両国は今後も友好関係を維持し、協力し合うことでさらに発展していくことが期待されます。環境保護と経済発展の両立を目指した取り組みは、パラオの持続可能な未来を築くための重要な要素です。



7. 参考文献

  1. 政府および国際機関の報告書

  • Government of Palau, "National Master Development Plan 2020-2040," Republic of Palau, 2020.

  • Office of Planning and Statistics, "Republic of Palau Statistical Yearbook 2022," Government of Palau, 2022.

  • United Nations Development Programme (UNDP), "Palau Human Development Report 2021," UNDP, 2021.

  • World Bank, "Palau: Country Partnership Framework for the Period FY2020-FY2024," World Bank, 2020.

  1. 歴史に関する書籍および論文

  • Hezel, Francis X., "The First Taint of Civilization: A History of the Caroline and Marshall Islands in Pre-Colonial Days, 1521-1885," University of Hawaii Press, 1983.

  • Shuster, Donald R., "The Politics of Nation Building and Citizenship in Palau: From Trusteeship to Self-Governance," Palau National Government, 2008.

  • Peattie, Mark R., "Nan'yo: The Rise and Fall of the Japanese in Micronesia, 1885-1945," University of Hawaii Press, 1988.

  1. 文化および社会に関する書籍および論文

  • Alkire, William H., "Coral Islanders," Charles E. Tuttle Co., 1978.

  • Nero, Karen L., "The Hidden Power of the Mask: Women, Ritual, and Politics in Micronesia," Pacific Studies, Vol. 15, No. 3, 1992.

  • Graham, Laura R., and Penny, Harvey, "The Palauan Culture: Historical and Contemporary Perspectives," Micronesian Seminar, 2002.

  1. 経済に関する書籍および報告書

  • Asian Development Bank, "Pacific Economic Monitor: Palau," Asian Development Bank, December 2021.

  • International Monetary Fund, "Palau: 2021 Article IV Consultation-Press Release; Staff Report; and Statement by the Executive Director for Palau," IMF, 2021.

  • Secretariat of the Pacific Community, "Palau Agricultural Census 2019," SPC, 2019.

  1. 観光および環境に関する書籍および報告書

  • Bureau of Tourism, "Palau Tourism Annual Report 2020," Republic of Palau, 2021.

  • Ministry of Natural Resources, Environment & Tourism, "Palau's National Biodiversity Strategy and Action Plan 2018-2025," Government of Palau, 2018.

  • Coral Triangle Initiative, "State of the Coral Triangle: Palau," CTI Secretariat, 2019.

  1. 日本とパラオの関係に関する書籍および論文

  • Maher, John C., "The Japanese Era in Palau," Pacific Islands Monograph Series, No. 9, University of Hawaii Press, 1998.

  • Matsuda, Hiroko, "Empire of Rubber: Fascism and the Cultural Politics of Rubber in 1930s Japan," The Asia-Pacific Journal, Vol. 9, Issue 29, No. 5, 2011.

  • Palau-Japan Friendship Association, "Palau-Japan Relations: Historical and Contemporary Perspectives," PJFA Publications, 2020.


いかがでしたでしょうか?


個人的には、日本語由来のパラオ語の単語が多いことが非常に興味深く感じられました。「ツカレナオース(疲れを治すためにお酒を飲むこと!)」は今日から私も使いたいと思います。


今回のリサーチを通じて、さらにパラオについて知りたくなりました。


知れば知るほど、もっと知りたくなる魅力満載のパラオ共和国に関する情報がありましたら是非お教えください!


それでは、またお会いしましょう。

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