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恒星間天体「3I/ATLAS」、国連承認の観測キャンペーン開始――地球防衛ネットワークが史上初の対応へ

更新日:11月14日

国際小惑星警報ネットワーク(IAWN: International Asteroid Warning Network)が、3I/ATLASを正式な観測キャンペーンの対象に指定
国連

2025年10月3日、欧州宇宙機関(ESA)は、火星周回軌道上の探査機によって撮影された恒星間天体「3I/ATLAS(アトラス)」の画像を公開しました。火星から約3,000万キロメートルという距離を通過した3I/ATLASは、太陽系外から飛来した第三の恒星間天体であり、その姿が火星軌道上から観測されたのは史上初めてのことです。


そしてそのわずか数週間後の2025年10月21日に、今度は国際的な新展開が発表されました。国連の承認を受けた国際小惑星警報ネットワーク(IAWN: International Asteroid Warning Network)が、3I/ATLASを正式な観測キャンペーンの対象に指定したのです。これは、IAWNが恒星間天体を地球防衛活動の対象として扱う初めてのケースとなります。



■ IAWNとは――地球防衛の最前線に立つ国際ネットワーク


IAWNは、NASA、ESA、JAXAなど世界各国の宇宙機関や天文学者によって構成されている、地球近傍天体(NEO)を監視するための国際協力体制です。地球に衝突するおそれのある小惑星や彗星を早期に発見し、その軌道や物理的特徴を解析して、衝突リスクを軽減することを目的としています。


これまでIAWNが対象としてきたのは、太陽系内部を公転する小惑星や彗星が中心でした。しかし今回の3I/ATLASは、太陽系外から飛来した恒星間天体です。このような天体を観測対象に加えるのは、史上初の試みとなります。



■ 観測キャンペーンの目的――正確な天体測定手法の確立へ


IAWNの発表によると、キャンペーンは2025年11月27日から2026年1月27日までの約2か月間にわたって実施される予定です。目的は「彗星のような天体に対して、より正確な天体測定(アストロメトリー)を行う新しい手法を確立すること」です。

彗星は、核のまわりにコマ(ガス雲)や尾をまとっているため、見かけ上の光の中心がずれやすく、軌道計算が難しいという特徴があります。IAWNはこの課題を克服するため、3I/ATLASを題材に、世界中の観測者が同一の天体を観測・解析する「実践的訓練」を行うとしています。

ワークショップへの登録は11月7日までで、参加者は事前にトレーニングを受けた上で観測に加わる必要があります。このキャンペーンは単なる研究活動ではなく、地球防衛能力を高めるための国際的な実地演習という側面も持っています。



■ ローブ博士の提言――「3I/ATLASはただの彗星ではない」


このIAWNの動きの背景には、ハーバード大学の天体物理学者 アヴィ・ローブ(Avi Loeb)博士 の提言があります。博士は10月21日のIAWN発表に先立ち、9月30日に国連へホワイトペーパーを提出しました。その中で、恒星間天体が人工物である可能性も視野に入れ、国際的な観測協調体制を整えるべきだと主張しています。

ローブ博士は、3I/ATLASが単なる自然天体ではないことを示唆する8つの異常な特徴を指摘しています。



■ 3I/ATLASに見られる8つの異常な特徴


  1. 軌道の一致性:太陽系惑星の黄道面と5度以内で一致している(確率0.2%)。

  2. 逆尾(アンチテイル):通常の彗星とは逆に、太陽方向へ伸びるジェットを示した(確率0.1%未満)。

  3. 質量と速度:オウムアムアの100万倍、ボリソフの1000倍の質量を持ち、両者よりも高速で移動している(確率0.1%未満)。

  4. 精密すぎる接近:火星・金星・木星に数千万キロ以内で接近しつつ、近日点では地球から観測不能な位置に入った(確率0.005%)。

  5. ガス組成の特異性:鉄よりもニッケルを多く含み、工業用ニッケル合金に似た比率を持つ。シアン化物との比も既知の彗星より数桁高い(確率1%未満)。

  6. 水分量の少なさ:ガスの中で水の割合はわずか4%。通常の彗星では主成分である。

  7. 強い負の偏光:これまでのどの彗星にも見られない異常な偏光特性を示した(確率1%未満)。

  8. 到来方向の一致:1977年の有名な「Wow! シグナル」の発信方向と9度以内で一致している(確率0.6%)。

これらの条件をすべて掛け合わせると、総合確率は1京分の1(10の16乗分の1)以下になると博士は述べています。つまり、これらの特徴が偶然に重なったとは考えにくいというのです。そのため博士は、地上と宇宙のすべての観測手段を活用して3I/ATLASの正体を解明すべきだと訴えています。



■ 今後の焦点――近日点での“挙動”と地球最接近


ローブ博士が注目しているのは、2025年10月29日の近日点(太陽最接近)での挙動です。もし3I/ATLASが人工的な構造を持つ“母船”のような存在であるなら、このタイミングで小型のプローブを放出する可能性があるといいます。


太陽に最も近づく地点では、オーバース効果(Oberth Effect)によって推進効率が最大化されます。宇宙機が最も少ない燃料で速度を変えることができるのは、この瞬間です。したがって、もし3I/ATLASが人工的な推進を行うなら、このタイミングで何らかの変化が見られる可能性があります。


また、3I/ATLASは2025年12月19日に地球へ最接近する見込みです。ローブ博士が率いる「ガリレオ・プロジェクト」では、この時期を中心に地球近傍での異常な活動や信号を重点的に観測する予定だとしています。



■ 科学と想像力のあいだで


今回のIAWNによるキャンペーン開始は、3I/ATLASが単なる観測対象から、地球防衛の新たなテストケースとして位置づけられたことを意味します。これは科学的事実に基づく冷静な対応である一方で、人類が未知のリスクにどのように向き合うかを問う出来事でもあります。

ローブ博士は自身の論考を次の言葉で締めくくっています。


「3I/ATLASの近日点での最も明るい1ピクセルは、この天体が何者であるかを語る千の言葉に勝るだろう。」

12月の地球最接近を前に、世界中の望遠鏡と観測者たちが、この“恒星間の訪問者”に視線を注いでいます。その答えが、単なる天文学上の発見にとどまらない可能性も、決してゼロではありません。


文:ACIMA WORLD NEWS 編集部

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