恒星間天体3I/ATLASを追う:ローブ博士が語る「太陽向きジェット」と「太陽背面での謎の沈黙」
- A.S.
- 10月20日
- 読了時間: 5分
更新日:11月14日

2025年、再び天文学界の注目を集める“銀河の旅人”が現れました。
その名は3I/ATLAS(C/2025 N1)――太陽系外から飛来した3番目の恒星間天体です。
ハーバード大学のアヴィ・ローブ博士は、この天体について連続して重要な分析を発表しました。彼は「3I/ATLASは単なる彗星ではない可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
今回は、そんなローブ博士の最新2本の記事
👉 「A Sunward Jet from 3I/ATLAS」(太陽向きジェットの発見)
👉 「The Imminent Solar Conjunction of 3I/ATLAS」(太陽背面での近日点通過)
の要点を整理し、いち早く共有したいと思います!
☀️ 太陽に向かって伸びる“逆尾(アンチテイル)”という謎
🔭 画像で確認された「太陽向きのジェット」
まず驚くべきは、2025年7月21日にハッブル宇宙望遠鏡が捉えた画像です。
通常の彗星は太陽の反対方向に尾を伸ばしますが、3I/ATLASは太陽方向へ光の筋を伸ばしていたのです。
さらに8月2日、スペイン・カナリア諸島の**Two-meter Twin Telescope(TtT)**による観測でも同様の現象が確認されました。
159枚の50秒露光を合成した画像には、核から太陽方向へ約6000 kmに及ぶ淡いジェットが写っています。
(Credit: M. Serra-Ricart et al., Oct 15 2025)
💡 なぜ“逆向きの尾”が問題なのか
太陽光や太陽風は、彗星の塵やガスを外向きに押し出すはずです。
それにもかかわらず、3I/ATLASでは内向き(太陽側)の光が確認されました。
博士はこれを「物理的に説明不能な異常」とし、過去に錯視で見られた“見かけの逆尾”ではなく、実在する太陽向きジェットであると指摘します。
🚀 太陽の裏側で何が起きる?——“ソーラーコンジャンクション”の謎
続く最新記事(2025年10月18日投稿)で博士が注目するのは、10月21日に訪れる「太陽合(solar conjunction)」です。
この日、3I/ATLASは地球から見て太陽の反対側に位置します。
つまり――観測が完全に不可能になる時期です。
博士は問いかけています。
「このタイミングの“不可視化”は偶然か? それとも意図的な軌道設計なのか?」
🔥 “オーバース効果(Oberth effect)”との関連
ローブ博士は、もし3I/ATLASが**人工的な探査船(mothership)であった場合、
太陽に最接近する「近日点」で推進力を得るオーバース・マヌーバ(Oberth maneuver)を行う可能性を指摘します。
実際、近日点(太陽から約2.03億km)は10月29日に到来します。
つまり太陽背面に隠れている間が、まさに最も効率的な加速タイミングなのです。
博士は「これは偶然か、それとも軌道設計によるものか」と問いかけています。
🪐 3I/ATLASの今後の観測予定と注目時期
11月4日:ESAの木星探査機「JUICE」が、3I/ATLASから約6400万kmを通過。
12月19日:地球へ最接近(約2億6900万km)。
2026年3月16日:木星探査機「JUNO」が、約5400万kmの距離で観測可能。
博士はこの期間に、「もし何らかの人工的活動があるなら兆候が現れる」としています。
一方で、「3I/ATLASが自然な彗星である可能性が最も高い」とも冷静に述べています。
ただし、「もし人工的であったなら、その影響は人類にとって計り知れない」と付け加えています。
🧮 ローブ・スケール「レベル4」と8つの異常点
博士は独自の「Loeb Scale」で、3I/ATLASをレベル4(高関心)に分類しました。
その理由として以下の8つの異常を挙げています。
軌道が黄道面に±5°以内で整列。
太陽向きジェット(アンチテイル)が実在。
ʻオムアウア(ʻOumuamua)の100万倍の質量、Borisovの1000倍の質量。
火星・金星・木星に数千万kmまで接近。
ガス中のニッケル/シアノ比が異常に高く、鉄を含まない。
水分量はわずか4%(通常彗星は水が主体)。
極端な負の偏光を示す(既知彗星に例なし)。
飛来方向が「Wow!シグナル」と9°以内で一致。
博士はこれらを「どれか一つでも異常として十分(Dayenu!)」と述べています。
👁️🗨️ ファンとしての視点:ローブ博士が教えてくれること
ローブ博士の発言は、時にセンセーショナルに見えます。
しかし根底には一貫して「証拠に基づいて考えよ(Evidence over Expectation)」という科学的原則があります。
3I/ATLASは、私たちが「彗星」と呼んで思い浮かべる存在を根本から問い直す天体です。
たとえすべて自然現象であったとしても、この天体が示す物理的・哲学的問いは、人類にとって新しい「鏡」になるかもしれません。
📅 今後の観測スケジュール(まとめ)
日付 出来事 備考
10月21日 太陽合(地球から見て太陽の裏側) 地上観測不可能
10月29日 近日点通過(2.03億km) オーバース効果の最適時期
11月4日 JUICE探査機が接近(6400万km) ESAによる観測予定
12月19日 地球に最接近(2.69億km) 可視化の可能性あり
2026年3月16日 JUNOが木星軌道で観測予定 紫外・赤外・電波で検出可
📸 参考画像とクレジット
TtT画像(2025/8/2):Credit M. Serra-Ricart et al., Oct 2025
ハッブル画像(2025/7/21):Credit NASA/ESA Hubble
太陽合図(概念図):Credit NASA/JPL
✍️ 最後に
博士は最新記事をこう締めくくっています。
“Science is guided by evidence, not by expectations.”
― 科学は「期待」ではなく「証拠」によって導かれる。
3I/ATLASはまだ太陽の向こう側にあります。
けれども、この不可視の期間こそ、真実が動き出す時間なのかもしれません。
最後になりましたが、私もやっと望遠鏡を手に入れました。
今から12月19日が楽しみです。
文:ACIMA WORLD NEWS 編集部
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