3I/ATLAS最新情報:NASAとナショナルジオグラフィが追う“第3の恒星間天体”の正体と謎
- A.S.
- 10月4日
- 読了時間: 6分
更新日:11月14日

皆さんは、太陽系を通過中の謎の天体 3I/ATLAS(C/2025 N1)のことをご存じですか?
最近、アメリカのSFファンの間でちょっとした盛り上がりを見せている謎の天体です。
SNSやフォーラム、ポッドキャストでは、
「オウムアムアに続く宇宙人探査機か?」
「銀河のかなたから届いた手紙では?」
といったSF心をくすぐる声が次々に飛び交っています。
ところが、日本のメディアではあまりこのニュースが取り上げられていないようです。
そこで今日は、独自のリサーチ内容をもとに、皆さんにこの謎の天体、3I/ATLASについてお伝えしたいと思います。
私たちの太陽系は、果てしない宇宙の中で孤立しているわけではありません。周囲には無数の恒星や惑星系が存在し、それぞれが膨大な物質を抱えています。
そして、その中から、ときに「旅人」が太陽系を訪れることがあり9ます。
それが恒星間天体です。
とはいっても、これまでに確認されたのは2017年の“オウムアムア”と、2019年の“ボリソフ”の2つだけです。
そして今年2025年、3番目となる恒星間天体 3I/ATLAS(C/2025 N1)が現れました。
3I/ATLASという名前の「I」はInterstellar(恒星間)を意味し、「3I」は史上3つ目の証明。人類がまだほとんど知らない“銀河の手紙”を読む、またとない機会が到来しています。
ところで、3I/ATLASは、いつ発見されたのか、ご存じですか?
3I/ATLASは2025年7月1日、チリのRío HurtadoにあるATLASステーション(南半球ユニット)によって発見されました。
もともと地球に迫る小惑星を早期発見するためのシステムが、偶然にもその「宇宙の旅人」をとらえたのです。
すぐに軌道解析が行われ、太陽に束縛されない双曲線軌道を描いていることが判明。つまり「この天体は太陽系の外からやってきて、再び太陽系を離れていく」ことが決定づけられました。
その瞬間から、世界中の天文学者たちの視線が集まりました。
NASAや各国の研究機関は次々と観測を重ね、3I/ATLASの姿を明らかにしています。
近日点(最接近点)は2025年10月30日頃、太陽から約1.4天文単位(地球と火星の中間距離)を通過予定。
地球には危険なし。最も近くても1.6天文単位以上離れるため、衝突リスクはゼロ。
火星には大接近。約2,900-3,000万km(0.19-0.20 AU)という距離まで接近する可能性があり、火星探査機が観測チャンスを得るかもしれません。
ハッブル望遠鏡は2025年7月に撮影に成功。すでにガスと塵をまとった“コマ”が確認されています。
ジェイムズ・ウェッブ望遠鏡は近赤外線で分光観測を行い、二酸化炭素(CO₂)や水氷(H₂O)を検出しました。
興味深いのは、彗星にありがちな非重力加速(ガス噴出による軌道変化)がほとんど見られないこと。これは「想定以上に核が重い」「氷の割合が少ない」など、通常の彗星とは異なる性質を示唆しています。
まさに「彗星っぽいのに、どこか違う」。科学者たちが頭を悩ませる理由はここにあります。
さて、この天体を理解するには、過去の2つの「前例」と比較するのが有効です。
1I/オウムアムア(2017)
葉巻型、あるいは板型とも言われる奇妙な形。尾を持たず、非重力加速が確認されたことから「人工物説」が広がりました。
2I/ボリソフ(2019)
典型的な彗星の姿。大量の氷を含み、尾を引きながら太陽系を通過。観測史上もっとも「彗星らしい」恒星間天体でした。
3I/ATLAS(2025)
コマや尾を持ち、成分は水やCO₂と確認される点では彗星的。しかし非重力加速が乏しく、核の性質が謎に包まれている点でユニーク。
つまり、オウムアムアとボリソフの「中間」に位置するような存在。だからこそ、科学者も
SFファンも同時に惹きつけられるのです。
「これは自然の天体なのか、それとも誰かの意図を持った人工物なのか?」
この問いは、すでにオウムアムアの時からつきまとっています。ハーバード大のアヴィ・ローブ教授は、3I/ATLASについても「人工物説を排除すべきではない」と主張しています。
その根拠は、以下の通りです。
・彗星らしからぬ色調(赤みが強い)
・想定以上に大きな核(“マンハッタンサイズ”という表現も)
・驚くほど安定した軌道
もちろん大多数の天文学者は「自然物で説明できる」と考えています。しかし、未知の宇宙を前にしたとき、科学的な説明と同じくらい「想像の余地」も人類を魅了します。
宇宙人探査機説は証拠に乏しいながらも、「もしかしたら」を楽しむ視点として存在しているのです。
では、日本でこの天体に関してあまり報じられないのはなぜなのでしょうか?
海外ではNASAやナショナルジオグラフィックが連日最新情報を配信しているのに、日本のニュースでは3I/ATLASがほとんど話題になりません。
理由として考えられるのは:
・科学的に専門的すぎて記事にしづらい
・翻訳・速報体制の遅れ
・「宇宙人説」に絡む話題を避けるメディア傾向
いずれにしても、この希少な現象が日本で埋もれているのは惜しいことだと思います。それどころか、世界的に注目されている事象だからこそ、日本語での解説が求められていると感じました。
3I/ATLASの観測は始まったばかりで、これから数か月が本当の見どころになりそうです。特に注目されているのは以下の展開です。
・10月末:近日点通過:太陽から約1.4天文単位で通過予定。接近により活動が活発化し、尾やコマの変化が観測できるかもしれません。
・10月初旬:火星近傍通過:10月3日前後に火星付近を通過予定で、最接近距離は数十万kmと見積もられています。火星探査機や地上望遠鏡が貴重なデータを得られる可能性があります。
・木星探査機ジュノーによる観測の可能性:一部の研究者は、探査機ジュノーが3I/ATLASを観測できるかもしれないと指摘しています。ただし技術的・運用上の制約もあり、実際に観測が行われるかは未定です。
・2025年末以降の再観測:10月から11月にかけては太陽の方向と重なるため観測が難しくなりますが、その後条件が改善すれば再び観測可能になる見込みです。活動がどう変化しているかを確認する機会となるでしょう。
そして、現時点で最も妥当なのは「自然由来の彗星」という結論です。
しかし、非典型的な挙動や観測データの不一致は、さらなる謎を呼び起こします。
3I/ATLASが何者(物?)であれ、それは私たちに「宇宙はまだ理解しきれていない」という事実を思い出させてくれます。
そして、科学者がデータを積み重ねて真実に迫る一方で、私たちは「もしや宇宙のどこかからのメッセージでは?」と想像してみたり…。
その両方が、人類にとってかけがえのない営みといえるのではないでしょうか?
次なるアップデートを心待ちにしながら、この「旅人」が残していく物語を一緒に見守りましょう。
文:ACIMA WORLD NEWS 編集部
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