3I/ATLASの「ローブ・スケール」は更新されたのか
- ACIMA WORLD NEWS 編集部

- 2025年12月22日
- 読了時間: 4分
―― 技術起源の可能性をどう評価し続けるべきか
執筆:ACIMA WORLD NEWS 編集部

恒星間天体 3I/ATLAS を巡る議論が続く中、ハーバード大学の天体物理学者 アヴィ・ローブ博士は、新たな論考Updating the Loeb Classification Scale of 3I/ATLAS を公開しました。
本稿でローブ氏が強調しているのは、評価は更新されたのか、何が変わり、何が変わっていないのかという点です。
ローブ・スケールとは何か
ローブ・スケールとは、恒星間天体を
0:自然起源の氷や岩石(彗星・小惑星)
10:人類にとって潜在的脅威となり得る地球外技術
という 0〜10の連続尺度で評価する枠組みです。
この分類は、これまでに 査読付き論文2本で定量化され、さらに最近の論文では、新しい観測データが得られるたびに評価を更新できる動的モデルへと拡張されています。
3I/ATLASの現在の評価は「4」
3I/ATLASが発見された 2025年7月、ローブ氏はこの天体を ローブ・スケール4 と評価しました。
最近、評価の更新を求められた際、ローブ氏は次の理由から 更新を見送った と説明しています。
地球最接近前後の新データが、まだ公開・解析されていない
その解析は、2026年3月16日の木星最接近まで完了しない可能性がある
つまり、現時点で評価を上下させる根拠がないという立場です。
「最も可能性が高いのは自然起源」という立場は一貫しています
ローブ氏は、NewsNationのインタビューで「3I/ATLASは最も可能性が高いのは自然天体である」と述べました。
これが一部で「新発言」のように報じられましたが、ローブ氏自身は、それは新しい見解ではないと明確に否定しています。
2025年7月の査読論文
2025年7月27日のエッセイ
2025年10月29日の記者質問への回答
いずれにおいても、
「3I/ATLASは自然起源の彗星である可能性が最も高いが、複数の異常があるため、ローブ・スケールでは4に相当する」
という説明を一貫して行ってきました。
異常は「8」から「15」へ増えました
2025年10月29日時点で、ローブ氏が挙げていた異常は 8項目でした。その後の観測と分析により、現在では 15の異常が列挙されています。
それでもローブ氏の立場は変わっていません。
技術起源と断定しているわけではない
しかし、低確率でも影響が極めて大きい事象(ブラックスワン)は、真剣に検討すべきである
この考え方は、パスカルの賭けにも通じる哲学的合理性を持っています。
科学と「ブラックスワン思考」
ローブ氏は、科学者が一般にブラックスワン的発想に慣れていない点を指摘します。
多くの科学研究は、社会に即時かつ重大な影響を及ぼすものではありません。しかし、未知の恒星間訪問者が「裏庭」に現れた場合、警戒を怠らない姿勢が求められます。
ローブ氏は、「尻尾が後ろではなく、前から出ている猫」という比喩を用い、通常とは異なる兆候を無視すべきではないと述べています。
今後の決定打は「反テイル」の正体です
今後、最も重要なデータになるとローブ氏が見ているのは、太陽方向へ100万km以上伸びる反テイル(アンチテイル)ジェットの分光データです。
ここで明確な判別が可能になるといいます。
自然起源の場合
CO₂、CO、H₂O などのガス
速度は最大でも 数百m/s
技術起源の場合
組成が異常
噴出速度が 桁違いに高速
さらに、
木星近傍での小天体の放出
人工照明
予測不能な軌道変更
などが検出されれば、技術的シグネチャーとなり得ます。
評価は、下方修正される可能性もあります
ローブ氏は明確に述べています。
明確な技術的証拠が見つからなければ、ローブ・スケールの評価は引き下げます。
これは、疑い続ける姿勢ではなく、データに従う姿勢を意味しています。
編集部まとめ
―― 科学はニュースより遅く、しかし確実です
ローブ氏が最後に強調しているのは、科学はニュース報道よりも慎重で、信頼性が高いという点です。
評価は変わっていません。本当の更新は、これから数か月のデータ解析によって行われます。
結論を急がず、観測と検証を積み重ねること。
それこそが、この恒星間天体を前にした最も科学的な態度なのかもしれません。
今回のローブ・スケール更新を巡る考え方について、
みなさまはどのように受け止めますか?
ぜひご意見やご感想をコメントでお聞かせください。




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