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3I/ATLASは地球を「無視」したのか

―― 恒星間天体が私たちに突きつけた、宇宙的現実


ACIMA WORLD NEWS 編集部


恒星間天体 3I/ATLAS は、2025年12月19日、地球に最接近しました。しかし、その瞬間にこの天体が示したのは、歓迎でも、接近でも、合図でもありませんでした。

何も起きなかったのです。


2025年12月19日に地球へ最接近した恒星間天体 3I/ATLAS。
2025年12月19日に地球へ最接近した恒星間天体 3I/ATLAS。左下の太陽方向に向かって、顕著な反テイル(アンチテイル)ジェットが伸びている。 (画像提供:Dr. Sebastian Voltmer)

この出来事について、ハーバード大学の天体物理学者 アヴィ・ローブ博士は、新たな論考3I/ATLAS Ignores Earth(3I/ATLASは地球を無視する)を発表しました。

本稿でローブ氏が語るのは、3I/ATLASの物理的挙動だけではありません。それは、人類が宇宙の中でどのような存在なのかという、やや厳しく、しかし冷静な現実です。


私たちは、宇宙の中心ではありません


ローブ氏は冒頭で、人類の宇宙観の変遷を振り返ります。

かつて人類は、宇宙の中心に地球があると信じていました。しかし現在では、天の川銀河だけでも地球のような惑星系が数百億存在することが分かっています。その多くは、地球太陽系よりも数十億年も早く形成されました。


それでもなお、私たちはどこかでこう考えがちです。

「恒星間からの訪問者は、きっと地球に関心を持つはずだ」

ローブ氏は、この考えを静かに否定します。

パーティーに遅れて到着し、しかも部屋の中心にいないなら、そのパーティーはあなたのためのものではありません。

私たちは宇宙の中心ではなく、そして恒星間の訪問者にとっての中心的関心対象でもない、というわけです。



3I/ATLASが示した「沈黙のメッセージ」


3I/ATLASは、2025年12月19日、地球から 約2億6,891万km の距離まで接近しました。


しかし、この最接近時に、

  • 進路変更はなく

  • 特別な噴出や異常な活動もなく

  • 地球に向けた接近行動もありませんでした


軌道は黄道面と約5度以内で整列しているにもかかわらず、3I/ATLASは 地球とは太陽を挟んで反対側を通過しています。


これを「侮辱的だ」と感じる人もいるかもしれません。しかしローブ氏は、極めて現実的な視点を示します。


3I/ATLASは秒速約 60km という恒星間速度で、何十億年 という時間をかけて天の川銀河を横断してきた可能性があります。


その旅の始まりには、地球に人類は存在していませんでした。



宇宙で本当に注目される存在は誰か


太陽系の中で、恒星間天体にとって最も重要な存在はどこでしょうか。

答えは明白です。


木星です。


木星は地球の 318倍の質量を持ち、重力的にも、力学的にも、太陽系最大の影響力を持つ惑星です。


人類は、天の川銀河の歴史の 最後の0.0001% に現れたにすぎません。それ以前から宇宙を旅してきた訪問者が、必ずしも私たちと「踊る計画」を立てていなかったとしても、不思議ではありません。



それでも残る、重大な「異常」


とはいえ、3I/ATLASが単なる無関心な通過天体である、と結論づけるには早すぎます。

12月19日の観測画像(現在は主にアマチュア天文家によるもの)には、極めて異例な構造が写っていました。


  • 太陽方向に向いた反テイル(アンチテイル)ジェット

  • 幅の約10倍という、極端に細長い形状

  • 長さは 約100万km

  • 非常にタイトにコリメートされた噴出


このような長く、細く、安定した反テイルは、これまで観測例がありません。


ローブ氏は明言しています。

3I/ATLASの正体を理解するためには、この異常を含め、これまでに挙げられてきた複数の異常を説明する必要があります。


次の焦点は「木星接近」


今後の鍵となるのは、2026年3月16日 の木星最接近です。


予測されている最近接距離は 約5,360万km。これは木星の ヒル半径(約5,350万km) とほぼ一致しており、この領域では太陽よりも木星の重力が支配的になります。


ローブ氏は、NASAの探査機 Juno による観測の可能性にも言及しています。

  • 異常な活動の有無

  • ラグランジュ点付近での挙動

  • 小型天体や付随物の放出

これらは、3I/ATLASの性質を判断する重要な手がかりとなります。



科学の敵は「偽物」かもしれません


ローブ氏は、3I/ATLAS最接近日に出演した複数のテレビ番組後、NBC Newsの記者から「AIによるなりすましコンテンツ」を知らされたと述べています。

彼は率直に語ります。

人工知能によって作られた偽情報は、今後何年にもわたり、科学最大の敵になるでしょう。私の希望は、自然知能にあります。


宇宙へ向かう意思こそが、人類の尊厳


ローブ氏は最後に、人類が尊敬される存在になるためには、恒星間空間へ踏み出す努力が不可欠だと述べています。

NASAの新長官 ジャレッド・アイザックマンも、月や火星を超えた探査の重要性を強調しています。

一方で、ロシアのプーチン大統領は記者会見で、3I/ATLASについて「恒星間由来の彗星であり、地球への脅威はない」と述べました。

世界の注目を集めながらも、3I/ATLASは静かに、そして淡々と、太陽系を通過しています。



編集部まとめ


―― 無視されたのは地球か、それとも思い上がりか


3I/ATLASは、地球を目指しませんでした。しかしそれは、人類を否定したのではなく、宇宙の現実を示したのかもしれません。


私たちは特別ではない。けれど、学び、観測し、問い続ける存在ではあります。

その姿勢こそが、この恒星間天体が私たちに残した、最も重要なメッセージなのではないで

しょうか。


今回の3I/ATLASの振る舞いについて、

みなさまはどのように考えますか?


ぜひご意見やご感想をコメントでお聞かせください。

2件のコメント

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ゲスト
2025年12月22日
5つ星のうち5と評価されています。

手ぐらい降ってほしかった。

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Acima Corp.
Acima Corp.
2025年12月24日
返信先

コメントありがとうございます。確かに、もう少し目に見える変化があれば…という気持ちになりましたね。

一方で、今回の観測対象は非常に微弱で、むしろ「ほとんど何も起きていないように見えること」自体が、天体の性質を知る重要な手がかりでもあると感じています。派手さはありませんが、その静けさの中にこそ、観測の面白さがあるのかもしれません。

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