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重力で16度曲げられても、太陽向きジェットは保たれた:3I/ATLASに積み重なる幾何学的な異常とは

ACIMA WORLD NEWS 編集部

2025年12月18日


近日点で軌道が大きく変わっても失われなかった指向性

偶然では説明しにくい一致が示すもの


2025年12月15日 01時58分(UTC)に撮影された恒星間天体 3I/ATLAS の画像
イタリア・カラブリア州にある 口径0.25メートル望遠鏡で、2025年12月15日 01時58分(UTC)に撮影された恒星間天体 3I/ATLAS の画像です(左上パネル)。解像度は 1ピクセルあたり1.38秒角で、天体までの距離に換算すると 約3,850kmに相当します。他の3つのパネルは、中心波長0.658μm(R)、0.53μm(グリーン)、0.445μm(ブルー)の各波長帯における明るさ分布を、ラーソン=セカニナ勾配フィルターで処理したものです。視野は 約160万×70万kmに及び、太陽方向(左下)に向かって強くコリメートされたアンチテイル・ジェットが明瞭に写っています。(画像提供:Toni Scarmato)


恒星間天体 3I/ATLAS をめぐる議論は、近日点通過を前にして新たな段階に入りました。アヴィ・ローブ博士の最新記事では、太陽の重力によって軌道が約16度も曲げられた後でも、太陽方向に向いたジェットが維持されているという事実が、重要な論点として取り上げられています。



■ 近日点で起きた「16度」の重力偏向


3I/ATLASは、近日点通過時に太陽の重力を受け、その進行方向が数式で表される角度だけ偏向しました。

その値は 約16.4度。これは、

  • 太陽質量

  • 近日点距離(約2億km)

  • 通過速度(約68km/s)

から導かれる、標準的な重力散乱の結果です。



■ 驚くべき一致:偏向角=ジェット開き角×2


最新の観測画像では、3I/ATLASのアンチテイル・ジェットは、

  • 開き角 約8度

  • 距離 最大で約100万km

という強いコリメーションを示しています。

ローブ博士が指摘するのは、16度という重力偏向角が、このジェット開き角のちょうど2倍であるという点です。

もし近日点前、ジェット円錐の一方の縁が太陽方向を向いていたなら、近日点後には、反対側の極から出る同様のジェットが再び太陽方向を向くことになります。



■ 「壊れなかった」回転軸と指向性


近日点通過では、

  • 軌道方向は変わる

  • しかし 回転軸自体は変わらない(外力トルクがなければ)

という基本的な物理が成り立ちます。

その結果、軌道は曲がっても、太陽向きのジェット構造は保たれるという、極めて特殊な幾何学条件が成立します。



■ これまでに積み重なった3I/ATLASの異常の整理


ローブ博士は、近日点通過を前に、3I/ATLASで報告されてきた異常を体系的に整理しています。

主なポイントは次の3つです。


● 幾何学的な一致

  • 黄道面に対する逆行軌道の高い整列

  • 回転軸と太陽方向の整列

  • 近日点前後で持続する太陽向きジェット

  • 重力偏向角とジェット開き角の一致

  • 火星・木星との距離関係の微妙な調整


● 放出ガスの組成異常

  • 鉄よりニッケルが多い

  • 既知の彗星と桁違いのニッケル比

  • 水の割合が極端に低い


これらは、太陽系内彗星とは明確に異なる特徴です。


● 物理特性の特異性

  • 非常に大きな質量

  • 高速での太陽系突入

  • 前例のない偏光特性

  • 近日点付近での急激な増光と青色化


● 「偶然」をすべて掛け合わせると


ローブ博士は、これらの幾何学的偶然をすべて独立事象として掛け合わせた場合、

数十億分の1以下という確率になると指摘しています。

NASAはこれまで、

「異なる誕生環境を持つ彗星で説明できる」

としていますが、ローブ博士は、誕生環境だけでは説明できない“太陽系基準の幾何”が問題だと述べています。



■ 問われているのは「断定」ではない


ローブ博士自身も、3I/ATLASを即座に「人工物」と断定しているわけではありません。

重要なのは、

  • どこまでが説明できて

  • どこからが説明できていないのか

を正確に切り分ける姿勢です。



■ 観測は続く


国際小惑星警報ネットワーク(IAWN)は、2025年11月27日から2026年1月27日まで、3I/ATLASの集中的観測キャンペーンを実施しています。


今後公開されるデータをもとに、ローブ博士は Loeb分類スケールの評価を更新するとしています。



■ 終わりに


近日点で軌道が16度曲げられても、太陽向きのジェットは保たれていました。


この事実は、3I/ATLASが示してきた数々の異常を、一つの幾何学的文脈に結びつけています。


それが何を意味するのか。答えは、まだ出ていません。

しかし、問いを立てるだけの根拠は、確実に積み上がっています。


3I/ATLASは、近日点通過を経てもなお、これまでの理解では説明しきれない特徴を示し続けています。


12月19日、地球への最接近を迎えるこのタイミングで、世界中の研究者と観測者の視線が、いまもこの恒星間天体に向けられています。


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