ESAが公開:恒星間彗星 3I/ATLAS の最新画像
- A.S.
- 5 日前
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欧州宇宙機関(ESA)は、2025年10月初旬、恒星間彗星 3I/ATLAS(C/2025 N1)の最新観測画像を公開しました。
今回の画像は、火星周回探査機「ExoMars Trace Gas Orbiter(TGO)」が撮影したもので、火星に最接近した10月3日の通過時に取得された貴重な映像です。
火星軌道から捉えた「宇宙の旅人」
10月1日から7日にかけて、TGOとMars Expressの2機の探査機が3I/ATLASを観測しました。そのうちTGOが撮影したGIF画像では、画像中央付近をゆっくりと下方向に移動する白い点が確認できます。これは彗星の核とその周囲を包むコマ(ガスと塵の雲)を示しており、太陽系外から飛来した天体を火星軌道から観測できた初の事例となりました。
📸 画像はこちら(ESA公式サイト)
James Webb望遠鏡も3I/ATLASの観測に成功
ESAはあわせて、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による観測画像も公開しました。下記の画像では、3I/ATLASのコマに含まれる二酸化炭素(CO₂)と水(H₂O)の分布が色分けされており、彗星の化学組成を明確に可視化しています。
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このデータから、彗星のガス成分はCO₂がH₂Oの約8倍と非常に高い割合を示しており、太陽系内の彗星とは異なる形成環境が示唆されています。
Hubbleが示す“しずく型のコマ”
さらに、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が7月21日に撮影した画像では、3I/ATLASのコマがしずくのような形に広がっている様子が見られます。これは核からの塵やガスの放出方向を示唆し、太陽光圧や回転による非対称性を研究する上で重要な手がかりとなっています。
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科学的・視覚的意義
これらの画像群は、3I/ATLASが太陽系外から訪れた第三の恒星間天体であることを裏付けるものであり、以下の点で重要です。
多視点観測:火星軌道(TGO)、地球軌道(HST)、深宇宙(JWST)という3つの異なる観測位置からの同時観測。
成分分析:CO₂優勢という珍しいガス構成が、他の星系での氷形成環境の違いを示唆。
観測技術の進展:火星軌道から暗い恒星間天体を撮影できたのは前例がなく、技術的にも大きな成果。
まとめ
今回ESAが公開した3I/ATLASの一連の画像は、「太陽系の外から来た訪問者を多惑星視点で捉えた初の試み」として歴史的価値を持ちます。
ESAは今後も、TGO・Mars Express・JWST・HSTなどを通じて、この彗星の活動や化学的特徴を追跡していく予定とのことです。
