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宇宙人は本当にいるのか? アヴィ・ローブ教授(Dr. Avi Loeb)が語る地球外知性と3I/ATLASの衝撃


ハーバード大学教授 アヴィ・ローブ博士(クレジット:wikipedia)
ハーバード大学教授 アヴィ・ローブ博士(クレジット:wikipedia)


アヴィ・ローブ博士(Dr. Avi Loeb)とは誰か――ハーバードが生んだ「最も物議を醸す」宇宙物理学者


アヴィ・ローブ(Avi Loeb、本名 Abraham Loeb/1962年生まれ)は、イスラエル出身でアメリカを拠点に活動する理論物理学者・天体物理学者です。現在はハーバード大学の Frank B. Baird Jr. Professor of Science(サイエンス特別教授) を務め、宇宙論・天体物理学・宇宙生命探査など幅広い分野で研究を行っています。astronomy.fas.harvard.edu

同時に、

  • ハーバード大学 Black Hole Initiative(ブラックホール・イニシアチブ) の創設ディレクター

  • ハーバード・スミソニアン天体物理学センターにある Institute for Theory and Computation(理論計算研究所)所長astronomy.fas.harvard.edu+1

  • 地球外テクノロジーを本気で探す Galileo Project(ガリレオ・プロジェクト)責任者galileo.hsites.harvard.edu+1

など、複数の要職を兼任しています。2011〜2020年には、ハーバード大学天文学科の学科長も務めており、同学科史上で最も長くトップを務めた人物の一人とされています。astronomy.fas.harvard.edu+1



生い立ちと学歴――軍のエリート研究プログラムからプリンストン、そしてハーバードへ


ローブは1962年、イスラエル中部の農業集落ベイト・ハナンに生まれました。18歳でイスラエル国防軍のエリート研究プログラム Talpiot(タルピオット) に選抜され、ここで物理学と数学を本格的に学び始めます。ウィキペディア

エルサレムのヘブライ大学で

  • 1983年:物理学・数学の学士号

  • 1985年:物理学修士号

  • 1986年:プラズマ物理学で博士号

を取得。その博士研究では、プラズマ中で荷電粒子を高エネルギーまで加速する理論を扱っています。ウィキペディア

博士課程からポスドクの時期にかけては、イスラエルのソレク原子力研究センターで研究を行い、アメリカの戦略防衛構想(SDI)関連プロジェクトにも関与。高速飛翔体の新しい推進方法を検討する国際プロジェクトを率いたと言われています。ウィキペディア

その後、1988〜1993年にはプリンストン高等研究所(Institute for Advanced Study)に在籍し、著名な天文学者ジョン・バカールのもとで理論天体物理学へと研究領域をシフト。ここで宇宙論・初期宇宙・銀河形成といったテーマに本格的に取り組み始めます。ウィキペディア



ハーバードでのキャリアと研究分野


1993年、ローブはハーバード大学天文学科の助教授として着任し、わずか3年後にはテニュア(終身在職権)を獲得します。2007年からはハーバード・スミソニアン天体物理学センターの 理論計算研究所所長、2012年からは Frank B. Baird Jr. Professor of Science の称号を持つ教授となりました。astronomy.fas.harvard.edu+1

これまでに彼が扱ってきた主な研究テーマは、例えば次のようなものです。ウィキペディア

  • 宇宙で最初に生まれた星・銀河(「最初の星・最初の銀河」)

  • 宇宙再電離の時代(宇宙が再び電離していく過程)

  • 巨大ブラックホールの形成と成長

  • 銀河同士の衝突と、その遠い未来(天の川銀河とアンドロメダ銀河の将来の衝突予測 など)

  • ガンマ線バースト、潮汐崩壊現象(星がブラックホールに引き裂かれる現象)

  • ブラックホールの「影(シルエット)」を直接撮像する手法

  • ダークマターや初期ブラックホールの可能性

  • 太陽系外惑星の大気や生命の兆候(バイオマーカー)の検出方法

教科書レベルの著書としては、初期宇宙を解説した How Did the First Stars and Galaxies Form? や The First Galaxies in the Universe などがあり、専門家向け・大学院生向けの標準的な参考書としても使われています。ウィキペディア



「宇宙における生命」をめぐる視点


ローブは「宇宙に生命がいつ・どこで生まれ得たか」という問題にも早くから関心を向けてきました。たとえば、

  • ビッグバンから約1500万年後、宇宙背景放射の温度が「液体の水」にとってちょうどよい時期があり、その頃には宇宙全体が一種の「温室」のようになっていたかもしれない、という 「初期宇宙のハビタブル時代」 のアイデアウィキペディア

  • 地球近傍をかすめる天体を介して生命が別の惑星系へ移動する可能性(パンスペルミア)についての理論的検討ウィキペディア

など、従来の「ハビタブルゾーン」概念を拡張するような研究を次々と発表してきました。

こうした議論の延長線上に、近年の 地球外知的生命(ETI)や地球外テクノロジーの痕跡 に関するローブの主張があります。



ベストセラー作家としての顔――『Extraterrestrial』『Interstellar』


一般向けの科学書としては、

  • Extraterrestrial: The First Sign of Intelligent Life Beyond Earth(2021)

  • Interstellar: The Search for Extraterrestrial Life and Our Future in the Stars(2023)ウィキペディア+1

がよく知られています。前者は、2017年に太陽系を通過した最初の恒星間天体 ʻOumuamua(オウムアムア) を「自然物ではなく高度な文明の人工物かもしれない」という大胆な仮説から書かれた本で、世界的なベストセラーになりました。ウィキペディア

後者の Interstellar は、

  • 恒星間天体(ʻOumuamua、2I/Borisov、そして現在の 3I/ATLAS など)

  • 宇宙空間を漂う「宇宙ゴミ」「文明の残骸」を探すという発想

  • 人類文明が長期的に生き延びるために、宇宙とどう向き合うべきか

といったテーマを、哲学的・文明論的な視点も交えながら語った一冊です。ウィキペディア



ガリレオ・プロジェクト――「UAPと地球外テクノロジーを、本気で測りに行く」


2021年、ローブは Galileo Project for the Systematic Scientific Search for Evidence of Extraterrestrial Technological Artifacts、通称 ガリレオ・プロジェクト を立ち上げました。arXiv+2World Scientific+2

このプロジェクトの目的は一言でいうと、

UFO/UAP(未確認空中現象)や ʻOumuamua のような特異な天体について、「噂話」や「軍の機密情報」に頼らず、オープンなデータと標準的な科学手法で正面から調べる

というものです。

主な研究の柱は、

  1. 高解像度カメラやセンサーで UAP を自前で観測し、その正体を明らかにする

  2. ʻOumuamua や 3I/ATLAS のような恒星間物体を系統的に探し、追跡・分類する

  3. 地球近傍に存在しうる「地球外文明の衛星・人工物」を探査する

とされています。arXiv+1

ローブは、UFO研究が「オカルト」や「陰謀論」と混同されている現状を批判し、

『わからないものが空を飛んでいるなら、ちゃんとした望遠鏡で撮ればいい

という、ある意味で非常にシンプルな立場を取っています。



ʻOumuamua・IM1・3I/ATLAS と「宇宙船かもしれない」論


2017年の ʻOumuamua 以降、ローブは一連の天体・現象について 「人工物(宇宙船やプローブ)の可能性を排除すべきではない」 と主張してきました。代表的な例は次の通りです。ウィキペディア+2Medium+2


  • ʻOumuamua(1I/ʻOumuamua)

    • 「自然天体として説明しにくい異常がいくつもある」として、極端に薄い「ライトセイル(光の帆)」型の人工物である可能性も検討すべきだと論文・著書で主張。

  • IM1(CNEOS 2014-01-08)

    • 2014年に大気圏に突入した隕石が「恒星間起源かもしれない」として、南太平洋の海底調査を実施。微小な球状粒子(スフェルール)を回収し、「太陽系外起源の可能性がある」と発表しましたが、その解釈をめぐり他の研究者から強い批判や反論も出ています。ウィキペディア+1

  • 3I/ATLAS

    • 2025年に発見された3つ目の恒星間天体 3I/ATLAS について、軌道の偶然性の低さや、サイズ推定、異常な加速などを理由に「地球内側の惑星を“狙った”軌道を持つ人工物かもしれない」とメディアでコメントし、再び大きな議論を呼んでいます。ウィキペディア+2ニュースウィーク+2


こうした主張は、多くの天文学者・惑星科学者から

  • 観測データには自然起源で説明できる範囲の不確実性が含まれている

  • 「エイリアン宇宙船」という仮説に飛躍しすぎている

  • 論文の査読や検証を待たずにメディアで大々的に発表することで、センセーショナリズムを助長している

といった批判を受けています。ウィキペディア


一方で、ローブは

「データが十分でない状況では複数の解釈があり得る。人工物という仮説も、他と同じように検証されるべきで、それを“タブー”にしてはならない」

というスタンスを繰り返し表明しており、宇宙生命探査そのものを社会の真ん中に引き戻した功績は大きい、という評価もあります。ウィキペディア



政策助言と受賞歴


ローブは純粋な研究者にとどまらず、科学政策にも関わってきました。

  • 全米科学アカデミーズの Board on Physics and Astronomy(物理・天文学委員会)議長(2018年ごろ)ウィキペディア

  • 2020年には、アメリカ合衆国の President’s Council of Advisors on Science and Technology(大統領科学技術顧問会議/PCAST) のメンバーに任命ウィキペディア

受賞歴としては、ヘブライ大学の Kennedy Prize、Guggenheim フェローシップ、2012年の TIME誌「宇宙分野で最も影響力のある25人」 への選出など、多数の栄誉があります。ウィキペディア



なぜ今、日本でアヴィ・ローブを読むべきか


ローブは、

  • 一流大学のポスト

  • 膨大な査読論文と教科書

  • 政策レベルの科学アドバイザー経験

という「王道の学者キャリア」を持ちながら、

  • ʻOumuamua や 3I/ATLAS をめぐる大胆すぎる仮説

  • UAP・UFO 研究への本格的なコミット

  • メディアや一般読者に向けての積極的な発信

によって、「世界で最も有名で、同時に最も議論を呼ぶ天文学者」の一人になりました。ウィキペディア+1


賛否はあっても、

「地球外知性を真面目に探すことは、人類にとってどんな意味を持つのか」

という問いを、ここまで大きなスケールで社会に投げかけている研究者は多くありません。

日本語で読めるローブ情報は、まだ断片的なものが多いのが実情です。だからこそ今、日本語でアヴィ・ローブの経歴・研究・主張・批判までを立体的に理解しておくことは、「3I/ATLAS 以後」の宇宙ニュースを追ううえで大きな武器になるはずです。



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