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【最新】NASA探査機Psycheが恒星間彗星3I/ATLASを“8時間追跡”:深宇宙探査機がとらえた星間の旅人の最新データ

2025年9月8〜9日にかけて、NASAのPsyche探査機が約3,300万マイル(5,300万km)離れた位置から恒星間彗星3I/ATLASを8時間連続で観測した際の4枚のデータを合成した画像。Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU
2025年9月8〜9日にかけて、NASAのPsyche探査機が約3,300万マイル(5,300万km)離れた位置から恒星間彗星3I/ATLASを8時間連続で観測した際の4枚のデータを合成した画像。Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU

■ はじめに


本日(現地時間2025年12月3日)、NASA が新しい観測レポートを公開しました。


今回観測に成功したのは、今年もっとも世界の科学者たちが注目している恒星間彗星 3I/ATLAS(スリーアイ・アトラス)

そして、その観測を行ったのが、小惑星 Psyche(サイキ) に向かう NASA の深宇宙探査機 Psyche です。


「金属質小惑星を観測するための探査機」が、なぜ恒星間彗星を追跡できるのか?

その理由と、今回の観測が意味する科学的価値を、できるだけ分かりやすく解説します。



■ Psyche が 3I/ATLAS を“8時間追跡”


NASA の発表によると、観測が行われたのは 2025年9月8〜9日の8時間。このとき、3I/ATLAS は探査機から 約5,300万km(3,300万マイル) の距離にありました。

それでも Psyche 探査機は、搭載する マルチスペクトル・イメージャー(MSI) の高感度カメラによって、3I/ATLAS が反射するごくわずかな太陽光を捉えることに成功しました。



■ 高感度カメラだからこそできた観測


Psyche の MSI は本来、金属質の小惑星 Psyche(16 Psyche) の表面成分を調べるための装置です。


  • 2台の同一カメラ

  • フィルターと望遠レンズ

  • 複数波長で表面組成を分析するための高感度設計


金属に反射する微弱な光を読み取ることができる装置なので、遠方にある彗星が反射する光(太陽光)も捉えることができます。


この特徴が今回、恒星間彗星の観測に大きく役立ちました。



■ 観測でわかったこと(今回の新情報)


今回の8時間連続観測で得られたデータには、以下の重要なポイントがあります。


① 3I/ATLAS の軌道をより正確に補正

恒星間天体は、太陽系の重力だけでは説明しきれない微妙な加速度を持つ場合があります。精密な位置データが増えるほど、進路計算の精度は向上します。

Psyche の観測は、その精度をさらに高めるための貴重な「1データポイント」となりました。


② コマ(coma:ガスと塵の雲)の存在を確認

Psyche の MSI は、彗星核を取り巻く 淡いコマ(ガス + ダスト) も捉えたといいます。

これは彗星の活動度、表面成分、加速度のモデル化に非常に重要で、3I/ATLAS がどれほど活発な天体なのかを理解するうえで価値があります。


③ NASAの複数探査機による“全方位観測網”へ参加

3I/ATLAS の観測にはすでに、

  • NASA(STEREO、SOHO、MRO HiRISE など)

  • ESA(TGO)

  • 地上望遠鏡群

  • アマチュア天文学者の国際ネットワーク

が参加しています。


今回、新たに Psyche がこの“太陽系全域の観測網”に加わったことで、天体軌道のモデル化と活動度の理解がさらに前進します。



■ 3I/ATLAS は地球に脅威を与えるのか?


NASAは今回のレポートで明確に述べています:

「3I/ATLAS は地球に脅威を与えない」

ただし、軌道の精密化は「宇宙のどこから来たのか」「どのような力を受けているのか」を理解するために不可欠です。


今回の観測はその理解をさらに深めるための重要なデータ提供となりました。



■ 探査機 Psyche の現状について


NASA によると、探査機 Psyche は現在:

  • 地球から約4億2,000万kmに位置

  • 航行は順調

  • 2026年5月:火星重力アシスト

  • 2029年7月:小惑星Psycheへ到達・周回開始

というスケジュールで進んでいます。


巨大な金属小惑星「Psyche」を調べる本来のミッションだけでなく、今回のように “通りすがりの恒星間天体を科学的に追跡する” という重要な役割も果たしています。



■ アシーマ編集部の視点


今回の Psyche 観測は、単なる“追加データ”ではありません。

恒星間天体は、太陽系のルールでは動かないケースがあり、それが 1I/ʻOumuamua や 3I/ATLAS の「非重力加速度モデル」の議論を呼んでいます。

深宇宙にいる探査機が“別角度から精密な位置データを提供できた”ということは、科学的にも極めて貴重です。

3I/ATLAS の“本当の性質”を理解するためのパズルの1ピースが、この8時間の観測によって新たに追加されたと言えるでしょう。



■ 参考リンク(リファレンス)




■ 中学生でも分かる要点まとめ


  • Psyche は小惑星探査のために太陽系を飛んでいる探査機

  • その “ついで” に恒星間彗星 3I/ATLAS を8時間観測

  • 彗星の位置・動き・ガスの広がりが詳しくわかった

  • NASA/ESA/地上望遠鏡の観測網がさらに強化

  • 3I/ATLAS は地球にぶつからないので心配なし

  • Psyche は2029年に金属小惑星に到着予定



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■ コメント募集


今回の Psyche の観測、みなさまはどう感じましたか?3I/ATLAS の観測網は今後どう発展すると考えますか?ぜひご意見やご感想をコメントでお聞かせください。

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