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🌌 3I/ATLAS 最新アップデート:ローブ教授が語る「7本のジェット」と50億トンの謎


今回ご紹介するのは、アメリカの大手ニュース局 NBCニュース(NBC News) によるインタビューです。NBCは(National Broadcasting Company)という全米ネットワークの報道部門で、アメリカではCNNやABCと並ぶ代表的なテレビニュース局のひとつです。


政治や経済だけでなく、科学や宇宙の最前線を広く伝えることで知られており、その中のニュース番組 「The Future of Everything(ザ・フューチャー・オブ・エブリシング)」 では、注目の科学者たちが「これからの地球と宇宙」について語ります。


今回の放送では、ハーバード大学の天文学者 アヴィ・ローブ教授(Avi Loeb) が出演し、今世界中の科学者が注目している恒星間天体 3I/ATLAS(スリー・アイ・アトラス) の最新観測とその意味について語りました。



🪐 太陽系を横切る“第三の旅人” 3I/ATLAS 


3I/ATLASは、2025年7月に発見された恒星間天体です。太陽系の外から飛来し、地球の軌道面を横切るように進むその姿から、「太陽系を訪れた第三の旅人」とも呼ばれています。

発見以来、NASAやESAをはじめとする世界中の観測チームが追跡を続けていますが、11月上旬、ローブ教授はNBCニュースの番組で新しい観測データと物理的推定を発表しました。その内容は、これまで以上に驚くものでした。



💡 新たに明らかになったポイント


1. 「7本以上のジェット」が確認された

最新の画像解析では、3I/ATLASの表面から7本以上の細く絞られたガスの噴射(ジェット)が観測されました。これらのジェットは太陽の方向に最大100万キロメートルも伸びており、「一般的な彗星では説明しきれない構造」だと教授は指摘しています。


2. 噴出物の総質量は「50億トン」規模

ローブ教授の計算によると、これらのジェットが運ぶ物質の量はおよそ50億トン(5×10⁹トン)に達します。もしこれが氷の昇華によって自然に起こっている現象だとすれば、そのエネルギー収支から考えて直径20キロメートルほどの天体が必要になるというのです。

しかし、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した3I/ATLASの核は数km程度しかなく、この数字は大きく矛盾します。


3. 「分裂説」── 数十〜数百の破片が存在?

この不一致を説明する仮説として、ローブ教授は「天体が分裂している」可能性を挙げました。もし3I/ATLASが数十〜数百の破片に分かれていれば、それらの表面積の合計が、必要な昇華面積に一致するかもしれません。今後の観測で、この“破片説”が確認されるかどうかが注目されています。


4. 「人工物説」── スラスターによる噴射の可能性

一方で、教授はもうひとつの可能性として、**人工的な推進装置(スラスター)**を備えた「技術的天体(technological object)」の仮説を提示しました。

ローブ教授はこう説明します。


「ロケットエンジンの噴射速度は、自然の昇華よりおよそ10倍、イオンスラスターなら100倍にもなる。もし3I/ATLASのジェットがそのような速度で噴出しているなら、少量のガスでも同じ加速を生み出すことができる。」

つまり、ゆっくり・大量のジェット=自然現象高速・少量のジェット=人工的な可能性、という区別が観測の鍵になるわけです。


5. 「12月19日」が決定的観測日

番組の終盤、司会者が「12月19日がカレンダーにマークされている」と語ると、ローブ教授も「そのころには答えが出る」と応じました。

この日は、地球から最も明確に3I/ATLASを観測できるタイミングとされており、今後公開される高解像度画像が、この天体の正体を明らかにする決定的な証拠になるとみられています。



🧠 科学者が示す“待つ勇気”


ローブ教授は、番組の最後にこう語りました。

“Science is about curiosity and humility.”(科学とは、好奇心と謙虚さの上に成り立っている。)

つまり、どれほど注目を集めるテーマであっても、証拠が出るまでは「結論を急がない」ことが大切だという姿勢です。

教授は「過去の知識に頼りすぎる“専門家の傲慢さ”ではなく、データに導かれる謙虚な探究こそが科学の本質だ」と強調しました。


実際のインタビュー映像はこちらからご覧ください↓(英語のみ)


The Future of Everything: Interview with Avi Loeb


🌐 アシーマ編集部より


今回のインタビューで印象的なのは、「宇宙船説」そのものよりも、科学者としての冷静さと柔軟さでした。


数字や仮説が飛び交う最先端の議論のなかで、「わからないことを、わからないまま受け止める」という態度は、翻訳や言葉の世界にも通じます。


翻訳者にとっても大切なのは、解釈よりもまず「事実(データ)」に忠実であること。科学と翻訳は、どちらも“正確に伝える”という信念を共有しているのです。



🔭 まとめ


3I/ATLASは、まだ多くの謎に包まれています。それが自然の産物であれ、人工的な構造物であれ、私たちはこの天体を通して、「未知を観察する勇気」を学んでいるのかもしれません。


12月19日――その瞬間、宇宙は何を語るのでしょうか。アシーマ編集部は、今後も3I/ATLASの観測と研究動向を追い続けていきます。科学と翻訳は、思った以上に似ているのかもしれません。


株式会社アシーマより


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