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🌌 3I/ATLAS に見られた“異常な尾”──アヴィ・ローブ博士が指摘する巨大構造とその意味

更新日:9 分前


2025年11月9日世界時5時08分から5時22分の間に撮影された3I/ATLASの深層合成画像。
2025年11月9日、世界時5時08分から5時22分の間に、2台の望遠鏡を使用して、各3分間露出の5枚の画像を合成して得られた3I/ATLASの深層合成画像。太陽の方向は左下に位置しています。(提供:Frank Niebling および Michael Buechner)

1. 3I/ATLAS──再び注目を集める「星間からの訪問者」


2025年7月、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した恒星間天体 3I/ATLAS(アトラス彗星)は、太陽系外からやってきた“第三の星間天体”として世界的な注目を集めました。そして11月に入り、この天体に関する新たな観測報告が再び天文学界を揺るがせています。


米ハーバード大学の天体物理学者 アヴィ・ローブ博士(Avi Loeb) は、最新の記事の中で、「3I/ATLAS にこれまで確認されたことのない規模の“反対尾”と“尾”のジェット構造が出現している」と報告しました。


博士の分析によると、今回観測された3I/ATLASの尾の構造は、従来の彗星の常識を超えるスケールと密度を示しており、「この天体が本当に“自然な彗星”で説明できるのか」という根源的な問いを改めて突きつけています。



2. 11月9日に撮影された「異常な尾」


この報告のもとになったのは、2025年11月9日 世界時5:08〜5:22(日本時間14:08〜14:22) に撮影された、フランク・ニーブリング氏と ミヒャエル・ビュークナー氏による観測画像です。


この二人の天文家は、2台の望遠鏡(TEC 140/f5 および ASI 6200MM) を用い、3分間露出の画像を5枚合成(スタック)して、これまでにない詳細な3I/ATLASの姿を捉えることに成功しました。


画像では、太陽方向(左下)に向かう二本の「反対尾(anti-tail)」と、反対方向に延びる一本の細長い主尾(tail jet)が確認され、その長さはそれぞれ 10分角 と 30分角──およそ太陽や月の見かけの直径に相当します。


現在、3I/ATLASは地球から約3億2,600万km離れています。この距離での角度を換算すると:

  • 反対尾の長さ:約 95万km(太陽方向)

  • 主尾の長さ:約 285万km(太陽反対方向)


つまり、この尾の構造は、2025年7月にハッブル宇宙望遠鏡が観測した発光ハロー構造の約1,000倍のスケールに達していることになるのです!



3. なぜこれは“異常”なのか


通常の彗星であれば、尾を形成するガスの放出速度はおよそ0.4km/秒ほどです。この速度で数百万kmにわたる尾を形成するためには、数か月単位の継続的噴出が必要になります。

ローブ博士は、こうした長期間にわたる噴出を支えるだけのエネルギー源が自然天体に存在するのかを疑問視しています。


さらに、反対尾が約100万kmも太陽方向に伸びているという事実は、そのガス流が太陽風(秒速400km)よりも高い動圧を保っていることを意味します。


計算上、この反対尾の外縁では、太陽風の百万倍もの質量密度(1立方センチあたり数個の陽子質量)が存在しているとされ、これは通常の彗星では考えられない密度です。

このデータから求められる質量流束は、1平方メガメートルあたり毎秒約200万kg、総計すると月あたり約500億トンもの質量を失っている計算になります。





4. 想定を超える“巨大彗星”の可能性


この膨大な質量流失量は、博士が10月時点で推定した3I/ATLASの最小質量(約330億トン)と同等かそれ以上にあたります。固体密度を0.5 g/cm³と仮定すると、この天体の直径は少なくとも5km以上、もし核の大部分が太陽最接近(近日点通過)を生き延びたとすれば、10kmを超える可能性もあるとされています。


皆さんが想像しやすいように…比較のために言うとすれば、2017年に発見された初の星間天体 1I/ʻOumuamua(オウムアムア) の推定質量はわずか5万トン。3I/ATLASはその100万倍以上の質量を持つことになります。


ローブ博士はこの点を「観測上の最大の異常」と位置づけ、「10年間の観測期間でこれほど巨大な星間天体が太陽系に飛び込む確率は、1万年に一度以下」と述べています。


統計的に見ても:

  • すべての岩石物質がこのサイズ以下 → 約0.1%未満

  • 各サイズ帯で同等の質量分布がある場合 → 約0.0005%未満という極めて低い確率になります。


加えて、3I/ATLASの逆行軌道が黄道面に対して5度以内で整列している確率はわずか0.2%。これらを掛け合わせると、「自然な星間彗星として到来した確率」は1億分の1以下に過ぎません!!!!



5. 「人工的」な可能性──推進装置の痕跡か?


ローブ博士はここで、もう一つの仮説を提示します。もしこのジェットが**人工的な推進装置(スラスター)**によるものであったとしたら――質量損失は1〜2桁も少なくて済むというのです。


たとえば:

  • 化学ロケットの排気速度:3〜5 km/秒(彗星の自然噴出速度の約10倍)

  • イオンスラスター:10〜50 km/秒(さらに高効率)

地球外の先進技術がこれを上回る排気速度を持っていれば、必要燃料は全体質量の1%未満で済む計算になります。

この推測は、2017年のオウムアムアをめぐるローブ博士の主張──「それが地球外文明の探査装置だった可能性」──を想起させます。そして3I/ATLASもまた、「自然起源では説明しきれない現象」を持つ天体として議論の中心に立ち始めています。



6. 今後の観測と期待される答え


博士は記事を次のように締めくくっています。

“今後予定されている分光観測により、ジェットの速度・質量流束・組成が明らかになれば、 3I/ATLASが自然の産物なのか、それとも技術的起源を持つのかが判明するだろう。”

12月19日の地球最接近に向けて、ハッブル望遠鏡やジェームズ・ウェッブ望遠鏡による追跡観測が期待されています。3I/ATLASのジェットが何から構成されているのか──それが氷と塵なのか、あるいは高温ガスや金属成分を含むのか──その結果が、21世紀の宇宙観を大きく塗り替える可能性があります。



7. 翻訳会社「アシーマ」としての視点


アシーマは「言葉を通じて世界の最前線をつなぐ」ことを使命としています。Avi Loeb博士のような研究者の発信は、英語圏では瞬時に共有される一方、日本語圏ではその内容が誤って伝わったり、遅れて紹介されることが少なくありません。


だからこそ、私たちは 「正確さ × 読みやすさ × 信頼性」 を兼ね備えた翻訳・ローカライズを行い、グローバルな知識の橋渡しを目指しています。


科学・宇宙・技術・国際社会――。アシーマは、これらの分野の翻訳・調査・発信を通じて、「日本語で世界を読む」ためのプラットフォームとしてこれからも発信を続けていきたいと思っています。



🔭 まとめ

3I/ATLASの尾の長さは月の直径に匹敵し、その質量はオウムアムアの100万倍以上。これが「偶然の自然天体」なのか、それとも「何者かが作り出した物体」なのでしょうか??


ローブ博士の言葉を借りれば、

「科学の基礎とは、専門知識の傲慢さではなく、学ぼうとする謙虚さにある。」

人類がまだ知らない宇宙の真実に迫る旅は、まさにここから始まるのかもしれません。



文:ACIMA WORLD NEWS 編集部

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