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【最新】3I/ATLAS続報:太陽の重力レンズ効果・NASAデータ公開要請・Elon MuskとKim Kardashianの発言(完全解説)


3I/ATLAS(スリーアイ・アトラス)は、2025年10月29日の近日点通過以降、観測史上前例のない挙動を見せています。太陽による「重力レンズ効果」の可能性、NASAのデータ未公開問題、そして著名人たちの反応まで──。科学・政治・文化が交差する“宇宙事件”を、Avi Loeb博士の最新見解をもとに詳しく整理します。



1. 太陽の重力レンズ効果の可能性


Loeb博士は2025年10月31日付の論考で、Einsteinの一般相対性理論を基に、3I/ATLASが太陽による重力レンズ効果を受けた可能性を指摘しました。光の偏向角θは次式で表されます:

θ = (4GM/c²) × [D_ds / (A × D_s × D_d)]

これを近日点(10月29日)時点の条件に代入すると、**偏向角は0.27秒角(A=1°の場合)**となります。これは望遠鏡で検出可能な範囲であり、太陽が「天然のレンズ」としてATLASを拡大した初例となる可能性があります。

実際、ALMAによる観測では、3I/ATLASが予測軌道から赤経方向に4秒角ずれていたことが報告されています。重力レンズ効果では説明しきれない残差もあり、非重力加速度の存在が依然として焦点です。



2. 3I/ATLASの非重力加速度と「第10の異常」


3I/ATLASには、すでに9つの「異常」が確認されていますが、近日点通過後に**新たな“第10の異常”**が加わりました。それは──

非重力加速度を示すにもかかわらず、巨大なコマ(ガス雲)が観測されないこと。

通常、彗星が太陽熱で加速する場合、蒸発によるガス放出が観測されます。しかしATLASの場合、推定される加速度を説明するには質量の約15%を失う必要がありますが、対応するデブリ雲は検出されていません。もし今後も見つからなければ、自然な蒸発ではなく人工的推進の可能性が浮上します。

博士は「12月19日の地球最接近時に巨大なデブリ雲が見つからなければ、ATLASは“動くが蒸発しない”天体として10番目の異常に認定される」と述べています。



3. NASAへのデータ公開要請と政治的波紋


10月2~3日、火星探査機Mars Reconnaissance OrbiterのHiRISEカメラが、3I/ATLASを撮影しました。その解像度は1ピクセルあたり約30kmと、ハッブル望遠鏡の3倍に相当します。

しかし、NASAはこの画像を4週間以上非公開のままにしています。理由として「10月1日の政府機関シャットダウンによる影響」が挙げられましたが、SNS上では「地球外知性を隠しているのでは」との憶測も飛び交いました。


Loeb博士は冷静にこうコメントしています:

“It’s probably not extraterrestrial intelligence, but terrestrial stupidity.”(おそらく地球外知性ではなく、地球上の愚かさだろう。)

博士は、議員Anna Paulina Luna氏と連携してNASAの代理長官Sean Duffy氏宛に正式な公開要請書を提出。科学データの非公開が政治に左右されることへの懸念を訴えました。


4. Kim Kardashianの「宇宙参戦」


この科学的議論に、思わぬ形でKim Kardashian氏が登場しました。X(旧Twitter)で彼女はNASA代理長官に向けて投稿:

“Wait … what’s the tea on 3I/ATLAS?!?!!!!!!!?????”

Duffy氏はすぐに

“No aliens. No threat to life on Earth.”と返信しました。

このやり取りが大きな話題となり、Loeb博士はNewsNationの番組で次のように発言

“She is welcome to join my research team.”(ぜひ私の研究チームに参加してほしい。)

科学界とポップカルチャーの間にある壁を軽やかに越えた、ユーモラスで象徴的な瞬間でした。



5. Elon Muskのコメント:ニッケル異常をめぐって


第5の異常──**「ニッケルが鉄より多い」**という化学組成の異常についても注目が集まっています。

Loeb博士によれば、3I/ATLASのガスプルーム(放出ガス)では:

  • 二酸化炭素(CO₂)が全体の87%

  • 水(H₂O)はわずか4%

  • そしてニッケルが鉄より豊富という、地球外では極めて珍しいパターンが確認されました。


これに対して、Elon Musk氏は数日前のJoe Rogan Podcastでこう述べています:

“Natural asteroids can be rich in nickel.”(自然の小惑星にもニッケルは多く含まれることがある。)

しかし博士は、この指摘に一定の理解を示しつつも次のように反論しました:

「通常の小惑星はニッケルが多い一方で、鉄も同時に豊富です。3I/ATLASは鉄が異常に少なく、人工合金のような比率を示しているのです。」

さらに、このガスの中でニッケルが全体質量の3万分の1(約5g/秒)を占める一方、放出総量は150kg/秒に達していることから、高精度の精錬過程を経た物質に近いと指摘。この組成異常が「自然」か「人工」かの判断は、12月以降の追加観測に委ねられています。


とても長いポッドキャストですが、ご興味があればぜひご覧ください(英語のみ)。

*3I/ATLAS object and extinction risk(00:10:41)






6. 科学・政治・文化が交差する「宇宙の鏡」


3I/ATLASは、単なる天文現象を超え、科学の透明性・政治の介入・文化的好奇心という3つの領域を一挙に照らし出しました。


Avi Loeb博士は次のように結んでいます:

“Science should be guided by data, and data should flow seamlessly among scientists.”(科学はデータに導かれ、データは政治や利害によって妨げられるべきではない。)

12月19日の地球最接近が、この議論の分水嶺となるでしょう。もし巨大なデブリ雲が現れなければ、3I/ATLASは「動くが蒸発しない人工的天体」として、新たな時代の扉を開くかもしれません。


【主要イベントタイムライン】

日付

出来事

主な内容

10月2–3日

HiRISEが撮影(未公開)

NASAデータ問題発生

10月21日

太陽合(地球・太陽一直線)

観測一時中断

10月29日

近日点通過

太陽最接近・非重力加速度検出

10月31日

重力レンズ効果論文公表

LDTによる画像公開

11月2日

Kim Kardashianの投稿

NASAが公式リプライ

11月3日

Elon MuskがPodcastで言及

ニッケル異常の議論

12月19日

地球最接近予定

決定的観測へ


科学の最前線にいる研究者と、世界的な影響力を持つセレブリティ。

3I/ATLASをめぐる議論は、もはや天文学の枠を超え、「人類は宇宙とどう向き合うか」という哲学的な問いに踏み込んでいます。Avi Loeb博士が語る「科学はデータに従うべきであり、政治や人気では決まらない」という言葉は、この時代の象徴ともいえるものです。


Elon Muskが語るニッケルと鉄の不均衡、Kim Kardashianのツイート、そしてNASAへの公開要請――それぞれの立場が交わることで、3I/ATLASは単なる天体ではなく、「知の交差点」になりつつあります。


科学はいつの時代も、好奇心から始まる。そして、その好奇心を共有できることこそ、人類最大の希望なのです。




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