【2025年10月29日観測・最新画像あり】「太陽より青い彗星」3I/ATLAS、急激な増光と“第9の異変”を確認
- ACIMA WORLD NEWS 編集部

- 10月31日
- 読了時間: 4分
太陽に最接近した瞬間、恒星間天体3I/ATLASが見せたのは、想定外の色変化と明るさの急上昇だった。

■ 太陽に最接近 ― “星間の来訪者”が放つ異常な光
2025年10月29日、恒星間天体「3I/ATLAS(スリーアイ・アトラス)」が太陽に最も近づく近日点を通過しました。このタイミングで取得された最新の観測データから、3I/ATLASが急速に明るさを増し、太陽よりも青い色を示していたことが明らかになりました。
この発見は、ハーバード大学のアヴィ・ローブ博士(Avi Loeb)が紹介した最新研究で報告されたものです。
■ 太陽の裏側に隠れた“奇跡の観測”
3I/ATLASは10月21日に太陽合(solar conjunction)を迎え、太陽の背後に隠れる形で地球からの観測が不可能になっていました。
しかしこの“観測不能”な配置が、むしろ幸運を呼びました。3I/ATLASは、宇宙空間に配置された複数の太陽観測機器(コロナグラフ/太陽風イメージャー)の視野内に偶然入り、太陽に最接近するまでの様子が連続観測されたのです。
■ 観測に使用された宇宙機器
最新データは以下の機器群によって取得されました。
STEREO-A(Solar TErrestrial RElations Observatory)
NASAが2006年に打ち上げた2機の探査機のうち、現在稼働中の1機。
SECCHI観測装置群のHI1およびCOR2カメラで観測。
SOHO(Solar and Heliospheric Observatory)
1995年打ち上げ、太陽–地球L1点に位置。
LASCO(Large Angle and Spectrometric Coronagraph)を使用。
GOES-19(米気象衛星)
2024年打ち上げ、静止軌道上から太陽を監視。
CCOR-1(Compact Coronagraph 1)観測装置でデータ取得。
■ 通常ではあり得ない増光率
観測結果によると、3I/ATLASの明るさは太陽からの距離の−7.5乗(±1)に反比例して急増していました。これは、同距離にある通常のオールトの雲彗星と比較してもはるかに異常な増光率です。
さらに、GOES-19のCCOR-1観測では、3I/ATLASの周囲に約30万キロメートルにも及ぶ光の広がりが確認されました。これは、2025年8月にSPHEREx宇宙望遠鏡が観測した二酸化炭素の噴出範囲とほぼ一致しています。
■ そして“太陽より青く”輝いた
さらに衝撃的なのは、3I/ATLASが太陽よりも青く見えたという事実です。SOHOおよびGOES-19によるカラー測光で、3I/ATLASは明らかに太陽より青い色調を示しました。
通常、塵や氷による散乱光は赤みを帯びる傾向があり、天体の表面温度も太陽(約5800K)よりはるかに低いため、彗星が太陽より青く見えることはあり得ないはずです。
しかし実際には、3I/ATLASは青白い光を放っていた。このことは、天体が太陽光の反射だけでなく、独自の発光(エネルギー放出)をしている可能性を示しています。
ローブ博士は次のように述べています。
「太陽よりも青いという事実は、想定外でした。これは、太陽よりも高温のエネルギー源を内部に持つことを意味するのかもしれません。」
■ 「9番目の異常」――3I/ATLASの謎は深まる
これまでローブ博士は、3I/ATLASに見られる8つの異常現象を報告してきました。(軌道、質量、成分、偏光、到来方向など)
そして今回の「太陽より青い」という現象を、博士は“9番目の異常”として追加しています。それは、3I/ATLASがこれまでの常識を覆す存在であることを再び裏付ける結果となりました。
■ 近日点後の観測予定
3I/ATLASは太陽を回り、再び地球方向へと戻りつつあります。今後の観測スケジュールは以下の通りです。
12月上旬:地上望遠鏡による再観測が開始
12月中旬〜下旬:ハッブル宇宙望遠鏡およびジェイムズ・ウェッブ望遠鏡による観測
12月19日:地球最接近(約2億6,700万km)
ローブ博士は、「近日点を通過した3I/ATLASは、これまでよりも明るくなるだろう」と予測しています。
■ 科学が照らす「青い謎」
この天体が自然の氷塊なのか、それとも何者かが送り出した探査機なのか。その答えを決定づけるために、12月の観測が注目されています。
太陽よりも青く輝く“星間の来訪者”――。その光の正体が判明する日は、そう遠くないかもしれません。

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