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太陽へ向かう“星間の来訪者” ―― アヴィ・ローブ博士が語る「3I/ATLAS」の真価

更新日:11月14日

ミチオ・カク博士が「知的生命体の関与を見極める決定的な瞬間」と語ったその前夜、もう一人の科学者が静かに語った。3I/ATLASは、単なる彗星ではないかもしれない。


3I/ATLAS


■ 太陽へ向かう“星間の来訪者”

2025年10月29日、恒星間天体「3I/ATLAS(スリーアイ・アトラス)」が太陽に最接近します。この天体は、今年7月にチリのATLASプロジェクトによって発見されました。1I/オウムアムア、2I/ボリソフに続く3番目の恒星間天体として確認され、世界中の天文学者の注目を集めています。

この天体が太陽に近づく瞬間――“近日点通過”――は、単なる天文学的現象ではありません。ハーバード大学の天体物理学者、アヴィ・ローブ博士(Avi Loeb)は、この瞬間を「宇宙の真実を問う試金石」と呼んでいます。



■ 「近日点」は、宇宙船ならば最も意味のあるタイミング

ローブ博士によれば、太陽に最も近づく“近日点”は、もし3I/ATLASが人工的な構造物であるならば、その動きを観測するうえで最も重要なタイミングだといいます。

宇宙船にとって近日点は、太陽の重力を利用して加速や減速を行うのに最適な位置です。人工物であれば、このタイミングで軌道を変えたり、小型探査機を放出したりする可能性があります。

しかし、私たちはこの最も重要な瞬間を地球から直接観測することができません。それは太陽の背後で起こるため、地球上のどの望遠鏡でも観測不可能だからです。

この“観測できないタイミング”こそが、博士の関心を強く引いているのです。



■ “トロイの木馬”のような存在なのか?

ローブ博士は、ニュース番組『America’s Newsroom』(Fox News)に出演し、こう問いかけました。

「3I/ATLASは、外見は自然な彗星に見える“トロイの木馬”なのではないか?」

古代トロイの守備隊が木馬を城に招き入れたように、私たちは“自然に見える外見”に惑わされてはいないか――。

博士はこの問題意識から、オマー・エルダディ氏、ガーション・テネンバウム氏と共同で政策提言のホワイトペーパーを発表しました。そこでは、3I/ATLASのような異常に巨大な天体が黄道面上を移動する場合、「ブラックスワン・イベント(予測不能で重大な出来事)」として国際的に備えるべきだと警鐘を鳴らしています。



■ ハロウィンの仮装をしているのか?

近日点通過は、奇しくも**ハロウィンの2日前(10月29日)**に起きます。ローブ博士は皮肉を交えてこう語ります。

「3I/ATLASは“彗星の仮装”をしているのか?それとも本当に自然の氷の岩なのか?」

この問いは冗談のように聞こえるかもしれませんが、実際にはきわめて科学的な意味を持っています。なぜなら、太陽の強い光を受けたときにどのような反応を示すかこそが、3I/ATLASの本質を見分けるカギだからです。



■ 「近日点」は真の“試金石(acid test)”

博士はこの瞬間をこう呼びます。

「近日点は3I/ATLASのacid test――つまり“真価を問う試験”だ。」

もし3I/ATLASが自然由来の彗星なら、太陽の強烈な光(約770ワット/㎡)によって加熱され、氷が溶け、ガスと塵の尾が形成され、やがて分裂するでしょう。

しかし、もし人工的な構造物であるならば――軌道を変える、ミニプローブを放出する、人工光を発する、あるいはエンジンの熱を放出するといった現象が見られるはずです。

この違いを見極めることこそ、近日点観測の目的なのです。



■ 今後の観測スケジュール

ローブ博士は、太陽接近後の3I/ATLASの動きにも注目しています。

  • 11月3日:金星に最接近(距離約9,700万km) ESAの木星探査機「JUICE」から観測できる可能性があります。

  • 12月19日:地球に最接近(約2億6,700万km) 博士は「人類へのクリスマスプレゼントとして、ミニプローブが送られてくるかもしれない」と冗談交じりに語っています。

  • 2026年3月16日:木星に最接近(約5,400万km) NASAの探査機「ジュノー(Juno)」が、撮影や電波観測を行える可能性があります。


博士が率いるガリレオ・プロジェクトでは、これらの期間に地球大気中で異常な現象が観測されないか、3つの観測所のデータを用いて分析を進めています。



■ 科学の役割は「想像」ではなく「観測」

ローブ博士は、人気ポッドキャスト番組『The Joe Rogan Experience』でもこの話題に触れ、こう語りました。

「宇宙の隣人が誰なのかを知ろうとするとき、私たちは“宇宙的謙虚さ(cosmic modesty)”を持たねばなりません。想像するのではなく、観測すること――それが科学です。」

博士は「宇宙的スケールのブラインドデート」という比喩を用いながら、想像ではなく現実のデータを観察する姿勢の重要性を説いています。



■ 3I/ATLASが投げかける問い

3I/ATLASは今も太陽へ向かう軌道を進み、太陽系の只中を通過しています。

それがただの氷の塊なのか、あるいは誰かによって送り込まれた“星間のメッセンジャー”なのか――。

その答えは、太陽の裏側で起きる現象が教えてくれるはずです。

人類がまだ知らない知性が、私たちの太陽を“すれ違いざまに観察している”のかもしれません。

📅 近日点通過予定:2025年10月29日(日本時間)📍 太陽までの距離:約1.36 AU(約2億300万km)🔭 観測対象:3I/ATLAS(C/2025 N1)



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文:ACIMA WORLD NEWS 編集部

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