3I/ATLASのアンチテイル、月までの距離を超える
- ACIMA WORLD NEWS 編集部

- 5 日前
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――ローブ博士が示す物理限界と技術的可能性
ACIMA WORLD NEWS 編集部
2025年12月17日

恒星間天体 3I/ATLAS をめぐる観測に、極めて異例な事実が加わりました。
アヴィ・ローブ博士による最新の分析によりますと、この天体から太陽方向へ伸びるアンチテイル(反太陽尾)の長さが、地球と月の平均距離(約38万4,400km)を上回る約50万kmに達しているというのです。
これは、これまでに観測された彗星や恒星間天体の挙動として、前例のない規模にあたります。


■ 観測事実:3I/ATLASの史上最大級のアンチテイル
2025年12月14日および15日に取得された複数の観測画像には、3I/ATLASの核から太陽方向へ、明瞭なアンチテイルが写っています。その到達距離は約50万km。平均的な地球—月間距離を超える長さです。
さらに重要なのは、その形成スピードです。
ローブ博士は、近日点通過後およそ45日間でこの規模に達したと仮定した場合、アンチテイル内の物質は、核に対して少なくとも毎秒130メートルという速度で太陽方向へ移動している必要があると推定しています。
■ 自然現象で説明できるのか
一般的に、彗星の尾は・氷の昇華によって放出されたガス・微細なダストが、太陽風や放射圧によって押し流されることで形成されます。
しかし今回のケースでは、
太陽方向へ向かって伸びている
極端に長い
高速で、かつ持続的に形成されている
という条件が同時に成立しています。
ローブ博士は、「昇華したガスやダストのみで、この速度と規模を長期間維持できるかどうかは、現時点では明らかではない」と慎重な表現で指摘しています。
■ もう一つの可能性:技術的ジェット
ローブ博士は、この現象について、自然起源だけで説明できるかどうかは現時点では明らかではないとし、別の可能性を検討対象から除外すべきではないと述べています。
もちろん、これは結論ではありません。
しかしローブ博士は一貫して、
観測データが自然現象で説明できない場合、技術的起源の可能性を検討対象から除外すべきではない
という立場を崩していません。
■ なぜ判断が難しいのか
判断を難しくしている最大の理由は、比較対象となるサンプル数の少なさです。
現在の主要なサーベイ望遠鏡(Pan-STARRS、ATLAS、Rubin天文台など)では、
直径100メートル以上
地球と太陽の距離に近い範囲
にある天体しか安定的に検出できません。
これは、人類がこれまでに打ち上げた最大級の宇宙機よりも一桁大きいサイズに相当します。つまり、より小型で高速な天体や技術的物体は、観測網の外にある可能性が高いのです。
■ ローブ分類スケールと「宇宙のデータ不足」
博士は、恒星間天体を評価するための指標としてLoeb Classification Scale を提唱しています。
しかし、その評価精度はサンプル数に大きく依存します。
また博士はこれを、「限られた人数の中だけで“特別な相手かどうか”を判断する難しさ」になぞらえています。
フェルミの有名な問い、『彼らはどこにいるのか?』は、実は探索を始めたばかりの段階で発せられている問いなのかもしれません。
■ 若い世代からの声
記事の終盤では、ポルトガル在住の若者から届いた一通の手紙を紹介しています。
学位や肩書きではなく、探究心と参加する意志そのものが探索を前進させる――その姿勢を象徴するエピソードとして語られています。
■ 結論(現時点)
3I/ATLASのアンチテイルは、
規模
方向
速度
いずれにおいても、既存の彗星モデルの限界付近に位置しています。
それが自然現象なのか、あるいは別の起源を持つものなのか。
現時点で結論は出ていません。
しかし少なくとも、観測を続けるべき理由は明確に存在しています。




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