近日点通過後、3I/ATLASは緑へ変化― ローブ博士が解説する最新観測
- ACIMA WORLD NEWS 編集部
- 16 分前
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恒星間天体 3I/ATLAS をめぐる観測は、近日点通過後も新たな局面を迎えています。
ローブ博士の最新記事では、彗星周囲の発光が赤から緑へと変化した事実、さらに、JAXA XRISM や ESA XMM-Newton によるX線観測が示す物理過程が整理されています。
今回明らかになったのは、3I/ATLASが近日点通過後に分子組成の変化を示し、発光色が赤から緑へと変わったという点です。
本記事では、その要点を一次情報に基づいて分かりやすく解説します。

近日点通過後に現れた3I/ATLASの「緑のハロー」
2025年11月26日、ハワイ・マウナケア山にある Gemini North望遠鏡(8.1m) に搭載された GMOS によって、近日点通過からちょうど4週間後の 3I/ATLAS が撮像されました。
青・緑・橙・赤の4フィルターを合成した画像では、核を中心に緑色に輝くハローが確認され、太陽方向には明瞭なアンチテイルが伸びています。
この緑色発光は、二原子炭素(C₂)分子が放つ、緑色光による可能性が高いとローブ博士は指摘します。
「赤」から「緑」へ――組成変化の意味
近日点通過前の2025年9月4日、チリの Gemini South による観測では、3I/ATLAS 周囲の輝きは赤色が優勢でした。それが近日点通過を境に緑色へと変化したことは、太陽接近によって放出されるガスの分子組成が変わったことを意味します。
これは、3I/ATLAS が単なる受動的な塵の塊ではなく、太陽からの加熱に応答して化学的に振る舞う活動的天体であることを示す重要な観測結果です。

X線で光る理由:太陽風との相互作用
2025年12月3日、ESA の X線天文衛星 XMM-Newton は、約20時間にわたり 3I/ATLAS を観測しました(距離約2億8400万km)。このX線発光は、太陽風と天体周囲のガス雲との相互作用によって生じたものです。
これは今週報告された JAXA XRISM の結果とも一致しており、3I/ATLAS の周囲には少なくとも5か月にわたりガスのプルームが存在していたことを裏付けています。
超長時間ガンマ線バーストとの“偶然の一致”
ローブ博士は、3I/ATLAS の到来方向と、**史上最長クラス(約7時間)**のガンマ線バースト GRB 250702b との方向的一致についても言及しています。
結論は明快です。
空全体に年間数百件起きるガンマ線バーストを考えれば、17度以内の一致確率 0.02 は統計的に珍しくない
3I/ATLAS が太陽系内を約8000年移動してきた間に、同様の一致は十数回起きていて当然
したがって、この一致は物理的関連を示すものではなく、偶然と考えるのが妥当だと説明されています。
色とX線が示す「活動する恒星間天体」
3I/ATLAS は、
色の変化(赤→緑)
持続的なガス放出
太陽風との相互作用によるX線発光
という複数の観測事実によって、これまで以上に“彗星的”かつ“活動的”な恒星間天体像を示しています。
ローブ博士の記事は、過剰な憶測を排しつつ、観測事実から読み取れる物理過程を丁寧に整理した内容と言えるでしょう。
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今回の 3I/ATLAS の「色の変化」について、みなさまはどのように考えますか?
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