地球最接近を前に、ローブ博士が示した「説明の空白」― 3I/ATLASとMAVEN探査機をめぐって
- ACIMA WORLD NEWS 編集部

- 6 時間前
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恒星間天体 3I/ATLAS が地球へ最接近する日が近づいています。
こうした中、3I/ATLAS を7月初旬から継続的に追跡してきたハーバード大学の天体物理学者、アヴィ・ローブ博士が、新たなインタビューでいくつかの疑問点を提示しました。
本記事では、このインタビューの内容をもとに、NASAの火星探査機 MAVEN をめぐる状況と、現在も十分に説明されていない点について、事実関係を整理します。
MAVEN探査機と3I/ATLASの接近
MAVEN(Mars Atmosphere and Volatile EvolutioN)は、約10年にわたり火星周回軌道で観測を続けてきたNASAの探査機です。
ローブ博士によると、2025年10月2日、3I/ATLAS は火星から約3000万km以内を通過しました。この際、NASAが実施した記者会見では、MAVENがこの接近時の観測データを取得していた可能性が示唆されています。
通信断と、公開されていないデータ
インタビューの中でローブ博士は、MAVENが火星の背後に入ったことで一時的に地球との通信が途絶え、その後も通信が回復していない状況に言及しました。
博士が問題視しているのは、「通信断そのもの」ではありません。科学的に価値のあるデータが取得された可能性があるにもかかわらず、その扱いや現状について、十分な説明がなされていない点です。
ローブ博士は、NASAが意図的に情報を隠していると断定しているわけではありません。しかし、科学研究においてはデータの公開と説明責任が不可欠であり、その点で疑問が残ると指摘しています。
地球最接近は12月19日、新月という好条件
3I/ATLAS が地球へ最接近するのは12月19日で、この日は新月と重なります。
月光による影響がほとんどないため、観測条件としては極めて良好です。
ローブ博士は、地上および宇宙空間の数百に及ぶ望遠鏡がこの機会を捉えると述べています。そのため、特定の機関が観測データを独占したり、全体像を覆い隠したりすることは現実的ではない、という見解を示しています。
ローブ博士が本当に求めているもの
インタビュー全体を通じて、ローブ博士が一貫して強調しているのは「結論」ではなく、「測定可能なデータ」です。
特に注目しているのは、
太陽方向に向かうアンチテイル噴出ガスの速度
噴出物の化学組成
これらが明らかになれば、自然現象として説明できるのか、あるいは追加の仮説が必要なのかを判断できると述べています。
「技術的スラスター」という言葉も、断定ではなく、あくまで可能性の一つとして言及されているに過ぎません。
まとめ
今回のインタビューでローブ博士が提示したのは、答えではなく「未解決の問い」です。
MAVEN探査機のデータが今後どのように扱われるのか、そして地球最接近時の観測で何が明らかになるのか。3I/ATLASをめぐる議論は、これから本格的な検証の段階に入ると言えるでしょう。
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