3I/ATLAS、地球接近中もアンチテイルを維持― ローブ博士が示す「見かけではない」物理的噴出
- ACIMA WORLD NEWS 編集部

- 7 時間前
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恒星間天体 3I/ATLAS は、地球へと近づく過程においても、特異な特徴を保ち続けています。そのひとつが、太陽方向へと伸びる「アンチテイル(逆向きの尾)」です。
ローブ博士の最新記事では、2025年12月13日に撮影された最新画像をもとに、このアンチテイルが単なる見かけの効果ではなく、実在する物理的な噴出現象である可能性が改めて整理されています。
本記事では、その観測内容と、ローブ博士が提示する複数の物理モデルについて、要点を絞って解説します。
地球に近づく3I/ATLASと最新観測
2025年12月14日時点で、3I/ATLAS は地球から約2億7050万kmの距離にあります。光が地球に届くまで約15分を要する距離であり、私たちが見ている姿は常に「少し前の状態」です。
12月19日には、約2億6990万kmまで接近する見込みで、これが今回の通過における**地球最接近(近日点)**となります。
12月13日にタイで撮影された最新画像では、太陽方向へ向かう明瞭なアンチテイルが、依然として確認されています。
見かけではないアンチテイル
太陽系内の彗星でも、地球が彗星の軌道面を横切る際に、一時的にアンチテイルが見えることがあります。しかし、3I/ATLAS の場合は事情が異なります。
2025年7月21日のハッブル宇宙望遠鏡画像
2025年11月30日のハッブル画像
その間に撮影された数千枚の地上観測画像
これらすべてにおいて、アンチテイルは一貫して確認されています。
このためローブ博士は、3I/ATLAS のアンチテイルは視点効果ではなく、実在する物理構造であると結論づけています。
なぜ謎なのか
通常、彗星から放出されるガスや微細な塵は、
太陽放射圧
太陽風
によって、太陽とは反対方向へ押し流されます。これが、私たちがよく知る彗星の尾です。
しかし3I/ATLASでは、発光が太陽方向に向かって伸びている。この点が、現在も解明されていない最大の謎となっています。
ローブ博士が示す3つの物理モデル
この謎に対し、ローブ博士はこれまでに3本の科学論文を発表しています。
① 氷の破片モデル(共同研究)
最初の2本の論文では、太陽側から放出された微小な氷の破片が太陽光を散乱している可能性が示されています。これらの粒子は、放射圧で押し戻される前に蒸発するため、通常の彗星の尾にはならないと考えられます。
② 小天体スウォームモデル(単著)
2025年12月8日に発表された論文では、3I/ATLAS の非重力加速により、本体の後方に小天体の群れが取り残されている可能性が提案されています。このスウォームが、太陽方向への発光構造として観測されている、という仮説です。
ローブ博士は、今後のハッブル望遠鏡画像の詳細解析によって、どのモデルが最も適切かを判別できる可能性があると述べています。
まとめ|深化する「アンチテイルの謎」
3I/ATLAS のアンチテイルは、
一時的な錯覚ではない
長期間にわたり一貫して観測されている
既存の彗星モデルでは説明が難しい
という点で、恒星間天体研究に新たな課題を突きつけています。
本記事は、近日点通過後に「緑へ変化した」という最新のDiscover本命記事を補完する位置づけとして、観測の連続性と物理的背景を整理するものです。
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