シンガポールってどんな国?
Selamat tengahari!
(スラマッ トゥンガハリ/マレー語で「こんにちは」)
シンガポールはマレーシアの南にある小さな国です
東京23区よりも少し大きい面積に、560万ほどの人々が暮らしています
多民族国家で、マレー系、中華系、インド系の人々が共存しています
民族や宗教を統一するのではなく、お互いを尊重して独立しているのです
会社などの公共の場では英語がよく話されていますが、学校や家庭ではマレー語、中国語、タミル語などが飛び交います
また宗教も仏教、ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教など多岐にわたります
シンガポールの主食はお米と麺
お米は細長いタイ米がよく食べられており、ココナッツミルクや鶏ガラスープで煮込むこともあります
麺類は非常に多くの種類があり、原料と麺の細さによって名称が変わってきます
例えば米で作られた幅広の麺はクエイティァオと呼ばれ、味のしっかりした料理に向いています
特にチャークイティオという焼きそばに似た料理によく使われます
小麦ベースで卵を加えて作られた細い麺はミーキアと呼ばれています
これは日本のラーメンの麺に似ていて、現地でも雲呑麺(ワンタンミー)として食べるのがポピュラーです
食事はほぼ外食!シンガポールの屋台文化
シンガポールの人々は屋台やフードコートで食事を済ませることが多く、食費のうちの6割程度が外食に費やされます。
あちらこちらにある屋台街(ホーカーズ)はシンガポール政府によって衛生管理され、その清潔度がランク付けされています。
「A」「C」などの札が貼ってあり、「A」が一番衛生的だという意味です。
またメニューの写真を指差すだけで注文できますから、言葉が分からなくても安心です。
先ほども述べたようにシンガポールは多民族国家ですから、このように自分の好きなものが食べられる屋台文化は欠かせない存在です。
ただ屋台でばかり食事をしていると、野菜がなかなか摂取できないことがデメリット
ベジタリアン向けのレストランに行ったり、サラダバーがメインのお店でサラダを食べたりして野菜不足を解消しましょう。
朝ごはんもホーカーズで購入して食べたり、学校や会社に持っていったりする人が多数います。
シンガポールの朝食の定番はカヤトーストです。
トーストにカヤジャムを塗ったシンプルなもので、コピ(コーヒー)や温泉卵とともにいただきます。
カヤジャムとはココナッツミルクと卵で作ったジャムのこと。
砂糖を入れたり、ハーブの一種であるパンダンリーフを入れたりとお店によって味が異なります。
カヤトースト以外の朝食の定番といえば、ナシレマです。
ココナッツミルクで炊いたご飯の横にピリ辛のサンバルソースやおかず類が盛り付けられた料理で、混ぜながら食べていきます。
シンガポールは共働きが多いため、手軽に食事を取れる屋台文化が発展したと考えられています。
また赤道直下で高温多湿の国であり、農業に適した土地も少ないので、食材は輸入に頼らざるを得ません。
大根やブロッコリーが一つ700円を超えることもあり、自炊をしようと思うと食費がかかります。
キッチンにはエアコンが備え付けられていないことが多いので暑い中料理をしたり、食材の保存に気を遣ったりしなくてはなりません。
それならば1食300~400円程度で済む屋台を活用したほうが合理的なのでしょう
シンガポール名物を食べ尽くそう!
シンガポールを代表する料理といえば、チキンライス。
ただ、日本でよく見るようなオレンジ色のものとは違います。
シンガポールのチキンライスは、鶏ガラスープで炊いたご飯に蒸したり茹でたりした鶏がついたものを指します。
海南鶏飯(ハイナンチーハン)と呼ばれていて、その名の通り中国の海南島から伝わってきた料理です。
見た目は真っ白で、チリソースや甘い醤油、しょうがのソースなどで味を変えて楽しむことができるのが特徴です。
さて、シンガポールでは魚介類を丸ごと料理に使うのも一般的。
丸ごとのカニがお皿に乗ったチリクラブは、シンガポール名物として有名です。
ピリ辛のチリソースが柔らかいカニの身に絡まっており、カニの種類によって食感が変わってきます。
エビチリのエビがカニに取って代わったようなもの、といえば想像がつくでしょうか。
カニの殻を割り、豪快にかぶりつくのがおすすめの食べ方です。
カニの旨味がしみたソースは、マントウ(饅頭)と呼ばれる肉まんですくって味わいましょう。
シンガポールにはインド系の人々がたくさん住んでいる、リトル・インディアという地区があります。
そこにはインド料理店やインドの雑貨を扱う店などが集まっていて、まさにシンガポールの中の小さなインドといった様相です。
さて、インドといえばカレーですね。
シンガポールで食べられるフィッシュヘッドカレーは、衝撃的な見た目をしています。
その名の通り、魚の頭が丸ごとカレーに入っているのです。
カレー自体はタマリンドという甘酸っぱいスパイスがきいている、サラッとしたもの
ナンよりもごはんによく合います。
魚の頬肉や目玉、骨についた身をこそげ取り、カレーとともに別添えのごはんにかけて食べるとスプーンが止まりません。
チリクラブもフィッシュヘッドカレーもボリューミーなので、数人でシェアして食べるとより楽しめるでしょう。
さて、せっかく海外に出かけたのならば、料理だけではなく現地のお酒も飲んでみたいですよね。
シンガポールには国を代表するお酒として、シンガポールスリングがあります。
その昔、まだ女性が気軽にお酒を飲めなかった頃。
あるバーテンダーが、女性にも楽しくお酒を飲んでもらいたいと考えてこのカクテルを考案しました。
シンガポールの夕日をイメージし、レモンやチェリーなどを使って甘く仕立てました。
今ではシンガポールのどこでも飲むことができるほどポピュラーなお酒ですが、発祥の地であるラッフルズ・ホテルのバーに行くと当時のレシピそのままのシンガポールスリングを飲むことができます。
旧正月のお祝いにはお刺身サラダとオレンジ?
シンガポールで大きな賑わいを見せるのは、1月末から2月にかけて訪れる旧正月。
そのときに欠かせない料理が魚生(イーシェン/ユェーシェン)です
大根、にんじんなどで作られたサラダにサーモンや白身魚のお刺身が乗った料理で、ナッツ、オイル、ライムなどをトッピングします。
日本のおせち料理と同じで具材の一つ一つに意味があり、縁起の良い食材を取りそろえたサラダとなっています。
・オイル…お金と幸せが巡ってくるように
・プラムソース…お金に困らないように
・刺身…たくさんの財産が得られるように
・ゴマ…商売が繁盛するように
魚生を食べるときには全員が立ち上がり、「ローヘイ、ローヘイ」と掛け声をかけながら具材を箸で高く持ち上げ、落としながら混ぜていきます。
この掛け声はもともと中国語で「持ち上げる」という言葉で、それが転じて「今の幸福や財産がさらに引き上げられるように」という意味合いになっています。
このとき、お金に関する願い事をすると良いとも言われています。
また具材はより高く持ち上げ、より豪快に混ぜたほうが良いとされているので、魚生を食べ終わったときにはテーブルの上にサラダやお刺身が飛び散っています。
旧正月に誰かの家に招かれたら、マンダリン・オレンジを二つ持って行かなくてはなりません。
そして訪ねた先でマンダリン・オレンジと紅包(アンパオ)を交換します。
紅包(アンパオ)は日本でいうところのお年玉。
既婚者から独身者にあげたり、会社が社員に配ったりします。
中に入れる金額は2シンガポールドル(約150円)や10シンガポールドル(約770円)が多いようです。
その理由はお札の色。
シンガポールのお札は色とりどりで、2シンガポールドル札は紫、5シンガポールドル札は緑、10シンガポールドル札は赤、50シンガポールドル札は青色です。
縁起の良い色は赤だとされているので、紅包(アンパオ)には赤や紫のお札を選びます
緑や青のお札を入れることはありません。
見た目も楽しい伝統食!ニョニャ料理
移民が多いシンガポールでは、民族が交わった結果生まれた料理もあります。
代表的なものがニョニャ料理(プラナカン料理)です。
15世紀頃にシンガポールへ移住してきた中華系の男性(ババ)と現地の女性(ニョニャ)が結婚して誕生しました。
中華料理の食材を使い、味付けはエスニック風というハイブリッドな料理です。
その中で代表的なものがアヤム・ブアクルア。
鶏肉の煮込み料理なのですが、実に手が込んでいます。
ブアクルアというのはブラックナッツのこと。
毒があるので、毒抜きをしなくてはなりません。
その毒抜きの方法は、灰とバナナの葉と土を重ねたものに40日間埋めるというもの
毒が抜けたブアクルアの実を殻から取り出してスパイスとともにすりつぶし、また殻に戻して鶏と一緒に煮込みます。
このように手間ひまをかけた料理がニョニャ料理の特徴とも言えるでしょう。
そのほかにはクエ・パイティーやポピアなどがあります。
クエ・パイティーは小さなカップの中に大根、小エビ、パクチーなどの具材が入った料理です。
シルクハットを逆さにしたようなかわいらしいカップは米粉を揚げて作ってありますから、カップごと食べることができます。
ポピアはニョニャ風の生春巻きのことです。
またココナッツミルクスープと辛味のあるチリソースがおいしい麺料理、ラクサももともとはニョニャ料理。
ホーカーズなどの屋台で気軽に食べることができます。
ニョニャ料理のお菓子はニョニャクエと呼ばれ、こちらも手が込んでいます。
ラピス・サグはもちもちとした食感を楽しめるお菓子で、まるで虹のように色とりどりの層が重なっています。
日本でいうところの菱餅に似ていますが、ラピス・サグのほうはもっとたくさんの色が使われています。
目のさめるようなピンクやグリーン、ブルーが使われているので、初めて見たときはびっくりするかもしれません。
しかしすべて自然のもので色付けしてあるため、安心して口に運べます。
オンデ・オンデはやしの木から取れる砂糖で作った黒蜜をお団子で包んだ一品
細かく砕いたココナッツの実がまぶされています。
一口で頬張ると、お団子の中から黒蜜があふれだします。
作ってから時間が経つと、お団子が黒蜜を吸い取ってしまいます。
できたてをすぐに食べたほうが良いでしょう。
今回はシンガポールの食文化についてご紹介してまいりましたが、いかがでしたか? 一つの国でありながらさまざまな文化が混じり合っているシンガポールでは、食事だけを見ても中国がルーツのもの、インドから渡ってきたもの、マレーシアから持ち込まれたものなど多種多様です。
いろいろな国の料理を食べられる屋台、ホーカーズなどはシンガポールを象徴しているかのようですね。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう。
Jumpa lagi!
(ジュンパラギッ/マレー語で「またね」)
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