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3I/ATLASは本当に彗星なのか?──アヴィ・ローブ教授 TVインタビュー解説 “太陽向きの尾・7つのジェット・NASA画像遅延の謎”

アヴィ・ローブ博士のインタビュー
アヴィ・ローブ博士のインタビュー

恒星間天体 3I/ATLAS(アトラス) をめぐる議論が、ここ数日でさらに大きく動きました。


2025年11月13日(米国時間)に放送された米国テレビ番組の最新インタビューで、ハーバード大学の天体物理学者 アヴィ・ローブ教授(Avi Loeb) が出演し、3I/ATLASの正体について示唆に富む発言を行ったためです。


本記事では、このインタビュー内容をもとに、日本の読者にも分かりやすく、かつ専門的に整理してお届けします。


■ 1. 3I/ATLASは「普通の彗星」なのか?──揺らぐ前提


番組冒頭では、司会者が「NASAは“これは間違いなく彗星だ”と言っている」というアメリカ国内の公式的立場を紹介しました。

しかしローブ教授は、それを前提として受け入れる態度を取らず、こう切り出しました。

「科学の核は“謙虚さ”だ。専門家だから信じろではなく、証拠がそう示すかどうかだ。」

この姿勢が、今回のインタビュー全体のトーンを決定づけています。



■ 2. 電波信号:自然か人工か?


今回大きな注目を浴びたのは、3I/ATLASから 特定の周波数の電波信号 が検出された可能性について。

ローブ教授の説明は次の通りです。

  • 信号の周波数は 特定の分子(酸素+水素) に対応し、自然起源の可能性はある

  • しかし、自然だけで説明できない“通信的特徴”があるかどうか が本質

  • そのため さらなる観測を強く推奨 しており、すでに複数の電波望遠鏡が追跡中

つまり現時点では「人工物だ」と言っているわけではありません。しかし もし自然では説明できない通信特性が見つかれば、議論は一気に変わる という含意があります。



■ 3. 最大の異常①:尾が“太陽側”に伸びている


通常の彗星の尾は、

  • 太陽風

  • 太陽光の放射圧

によって、必ず 太陽の反対側へ伸びます。

しかし3I/ATLASでは、最新画像から――

尾が“太陽の方向”へ向かって伸びている(アンチテイル)

という異常な現象が確認されています。

ローブ教授は次のように述べています。

「通常の彗星で太陽側に尾が伸びるのはあり得ない。」

視点効果による“錯視的アンチテイル”のケースもありますが、今回の角度は視点効果で説明できないレベルで明確です。

これは3I/ATLAS最大の謎のひとつとなっています。



■ 4. 最大の異常②:7つのジェットは“自然現象では説明が困難”


ローブ教授は、3I/ATLASから7本のジェット(噴出流) が確認された点について、次のように説明しました。

「自然の彗星の表面積では、あれほどの質量を噴出させることはできない。」

つまり、自然由来の水蒸気や氷の蒸発では説明できない“量”のジェットが出ているということです。

【自然説の限界】

  • 彗星表面に日光が当たって氷が蒸発

  • 蒸気が吹き出す

  • しかし7方向に強い噴出を同時に維持するのは“非現実的”

【人工説で説明できてしまう点】

  • 船体の複数スラスター(推進器)

  • 方向性の異なる噴射が同時に可能

  • Observed jetsの位置と整合性がある可能性

ローブ教授は断定を避けつつも、自然の彗星モデルが苦しい理由を計算に基づいて指摘しています。



■ 5. 最大の異常③:NASAのHiRISE画像が45日以上未公開の理由


今回のインタビューで最も話題を呼んだのがここです。


司会者は、NASA長官代行 Sean Duffy にこう質問しました。

「なぜHiRISE(火星探査機の超高解像度カメラ)の3I/ATLAS画像(10月2日撮影)が45日も公開されないのか?」

NASA側の説明は以下の通りでした:

  • 3I/ATLASの画像は処理工程が複雑

  • シャットダウン(政府閉鎖)で人手が足りなかった

  • 一方で通常の火星画像は自動処理で即時公開できる

  • 数日以内に公開される見込み


しかし同じ日の放送内で司会者が指摘:

「今日もHiRISEから火星画像が公開されている。なぜアトラスの画像だけ処理できないのか?」

ローブ教授は冷静にこうコメントしました。

「陰謀とまでは思わないが、45日は異常だ。官僚主義が科学を遅らせているだけかもしれない。」

これはアメリカの視聴者の間でも議論を呼んでいます。



■ 6. 科学に必要なのは“結論”ではなく“証拠”


ローブ教授が強調したのは、「専門家の権威ではなく、証拠による判断」 でした。

「専門家がそう言っているから信じろ、という態度は科学ではない。必要なのは“これが彗星だと合理的に言える証拠”だ。」

一方で彼はこうも述べています。

  • 彗星の可能性は十分ある

  • しかし説明されていない “複数の異常” が存在している

  • 今後の観測によって決定的な材料が得られる


結論を急ぐのではなく、データによって真相を解き明かす姿勢こそ科学的であるというローブ教授らしい立場です。



■ 7. 今後:世界中の観測者が同じ一点を見つめている


3I/ATLASはすでに太陽から30度以上離れ、観測条件は急速に良くなっています。

  • 世界中の望遠鏡が観測中

  • ISSの地球観測カメラも追跡を検討

  • 民間天文家のデータがSNSで即共有される時代


NASAがHiRISE画像を公開した瞬間、世界中で議論が一斉に動き出すことは確実です。

アトラスが

  • 彗星なのか

  • “自然では説明がつきにくい天体”なのか

  • あるいは全く別のカテゴリーに属するのか


その答えは、もうすぐ明らかになります。


実際のインタビュー動画は、こちらからご確認いただけます↓



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