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宇宙人の電波か、地球の雑音か――ボイジャー2号で検証したSETIの新しい「見分け方」

2 時間前
読了時間: 4分

宇宙人からの電波を見つけたと思ったら、実は地球の通信機器から届いた雑音だった――。地球外知的生命探査(SETI)では、このような誤認をどう防ぐかが大きな課題になっています。

学術誌『Acta Astronautica』2026年11月号に掲載された研究は、遠く離れた人工物の電波を正しく見分ける方法を、実際のボイジャー2号の観測で検証しました。研究成果は2026年5月にオンライン公開されたもので、今回、新たに地球外文明の信号が検出されたというニュースではありません。

画像:NASA/JPL-Caltech。ボイジャー探査機の想像図であり、今回の電波観測データそのものではありません。

宇宙人を探す観測を難しくする「地球製の電波」

通信衛星、測位衛星、航空機、地上の無線機器。現代の空は人間が発する電波で満ちています。細い周波数帯に集中する信号は、技術的な送信の特徴としてSETIで探されますが、そのような信号が見つかっただけでは、宇宙由来とも地球外文明由来とも判断できません。

かつて南天の恒星プロキシマ・ケンタウリの方向で注目されたBLC1も、追加の分析によって地上由来の干渉と判断されました。重要なのは候補を大量に集めるだけではなく、どこから来た電波なのかを厳密に判定する仕組みです。

なぜボイジャー2号を使ったのか

研究チームはオーストラリアなどの電波望遠鏡を結ぶLong Baseline Array(LBA)を利用し、NASAの探査機ボイジャー2号から実際に送信された電波を観測しました。ボイジャー2号は地球外文明の機体ではなく、人類が製作した探査機です。だからこそ、発信源が既知の人工電波として比較の基準にできます。

遠方の人工物の位置と運動が既知であれば、望遠鏡の組み合わせにどんな電波の特徴が現れるかを検証できます。ここで確認した特徴を、遠くの惑星にあるかもしれない通信源のモデルと比較するのが研究の狙いです。

世界の離れた望遠鏡を組み合わせる「VLBI」

研究で使われた超長基線電波干渉計(VLBI)は、離れた場所にある複数の望遠鏡の受信データを精密に比較し、電波源の位置や動きについて情報を得る技術です。望遠鏡を一つだけ使う場合より、近くの電波干渉と遠方の発信源を区別するための手掛かりが増えます。

注目された指標の一つが、干渉縞の変化の速さを表す「フリンジレート」です。地球から見たボイジャー2号など太陽系内の探査機は、非常に遠い系外惑星上の仮想送信源とは、空での見かけの移動速度が異なります。その差は受信データにも反映され得ます。

約65光年先の仮想惑星の電波と比較

研究チームは、地球から20パーセク(約65光年)離れた仮想的な惑星系を想定して電波観測データをシミュレーションしました。惑星の公転軌道や速度を変えた場合のデータを作成し、ボイジャー2号の実測信号との違いを調べています。

そのために開発したのが、VLBI Simulator for Techno-signature Analysis(VISTA)という解析ソフトです。研究論文によれば、実測した探査機の電波と、仮想惑星から届くと想定した信号には、解析上区別できる特徴が現れました。

ただし、系外惑星からの人工電波を実際に受信して比較したわけではありません。後者はあくまでシミュレーションであり、観測条件や較正精度によって識別能力は変わります。

次の狙いは、惑星同士の「すれ違い」の瞬間

研究者らは今後、岩石惑星が液体の水を保てる可能性のある領域にあり、南半球から観測しやすい系外惑星系などを優先する方針です。論文では、惑星同士が地球から見て重なる時刻を利用し、文明間の指向性通信が見えやすくなるかもしれないという仮説にも触れています。

別の観測で興味深い候補信号が見つかった際、VLBIで素早く追加観測し、宇宙の同じ位置に発信源があるのかを確かめる構想も示されています。これは地球外文明が実際に通信しているという前提ではなく、反証できる観測仮説です。

AWN分析――『受信した』と『確認した』の間にある距離

地球外生命のニュースは、強い信号が見つかったというだけで大きく注目されます。しかし、科学的に重要なのは、その信号を別の観測条件でも再現でき、地上の干渉や機器の特性では説明できないと示せるかどうかです。

今回の成果は、宇宙人の存在を証明するものではありません。一方で、地球外文明からの通信を探す方法が「何か聞こえた」という段階から、発信源の運動まで検証する方向へ進んでいることを示しています。もし将来、決定的な候補信号が現れたとき、その信頼性をどう確認するか。そのための道具を増やした研究と評価できます。

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一次資料・参考資料

編集部注:本記事でいう「地球外文明の電波」は探索対象の仮説を指します。今回の研究では、そのような電波の検出は報告されていません。調査基準日:2026年11月7日。

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