top of page

宇宙人の電波は「いつ」待つ? SETIがゲーム理論で観測地点を絞る 予備観測では証拠なし

15 時間前
読了時間: 3分

地球外文明からの通信を探す科学研究に、新しい観測の考え方が導入されました。米SETI研究所は2026年11月3日、ゲーム理論の「シェリング・ポイント」という発想を応用し、地球と太陽、遠方の送信者が特定の位置関係になる時刻・方向を集中的に調べる観測計画を公表しました。

注目すべき点は、「どの星に文明があるか」を先に決めるのではなく、「互いに事前の相談ができない文明同士でも、同じ場所と時刻を選ぶかもしれない」という仮説を観測に変えたことです。ただし、地球外文明の信号が見つかったというニュースではありません。

目印は「太陽の正反対の方向」

研究チームが選んだのは、地球から見て太陽と正反対に当たる方向「反太陽点(anti-solar point)」です。宇宙の遠方に地球の存在を知る観測者がいると仮定すると、観測者の位置によっては、地球が太陽の前を横切る「トランジット」を手がかりに地球の公転周期や位置を推定できます。

地球が太陽と遠方の観測者の間に入るタイミングで、その観測者が地球へ電波を向けるとしたら、地球側は太陽と反対の方向を調べることで効率的に受信できるかもしれません。事前に連絡できない二者が、共通の目印を使って同じ選択をする——これがゲーム理論でいう「シェリング・ポイント」の応用です。

17時間、32テラバイトの予備観測で何が分かったか

米カリフォルニア州のアレン・テレスコープ・アレイ(ATA)を使った2023年夏の予備観測では、20基のアンテナで3夜、合計約17時間のデータを収集しました。データ量は32テラバイト。初期解析で約190万件の電波信号候補が検出されましたが、絞り込みと検証の結果、いずれも地上の通信機器などによる電波干渉で説明でき、地球外技術を示す信号は確認されませんでした。

この「未検出」は研究の失敗を意味するものではありません。大量の人工電波を排除する処理方法を改善し、どの強さの信号なら見つけられたかという観測上の限界を定める成果につながっています。一定の条件下では、かつてのアレシボ天文台の惑星レーダーに相当する送信出力であれば、最大約124光年先からの信号を検出できる感度だったと研究所は説明しています。

約4年間の調査で、何を検証するのか

反太陽点は地球の公転に伴って空での位置が移り変わります。そのため研究チームは、週2〜3夜の観測を約4年間続け、異なる位置関係を調べる計画です。予備観測以降、すでに121夜を超える観測データを集めており、初年度分の結果は今後の論文で報告するとしています。

SETIでは宇宙に通信可能な文明が存在するかどうかも、その通信方法も分かっていません。今回の仮説は、相手が地球のトランジットを観測でき、特定の方向・時刻に電波を送ろうとする場合にのみ有効です。信号が発見されなくても、それだけで地球外文明の不在が証明されるわけではありません。

AWNの視点:未知を探す方法そのものが前進

今回の意義は、「宇宙人からの電波」という刺激的な表現ではなく、検証可能な観測条件を一つ増やした点にあります。宇宙のどこを、いつ、どれだけの感度で調べたのかを明確に積み重ねることで、将来の検出候補が本物かどうかを判断する科学的基盤が強くなります。地球外生命の可能性を考えるうえでも、証拠の有無と仮説の魅力を混同しない姿勢が重要です。

一次資料・画像クレジット

アイキャッチ画像:アレン・テレスコープ・アレイの資料写真。撮影:brewbooks。画像は無加工で使用しています。

コメント

5つ星のうち0と評価されています。
まだ評価がありません

この投稿へのコメントは利用できなくなりました。詳細はサイト所有者にお問い合わせください。

海外の一次情報を、日本語で。

​

海外ニュース、政府公開資料、研究論文、AI・テクノロジー、宇宙など、日本語ではまだ十分に紹介されていない情報を、株式会社アシーマが原文・一次資料から読み解いてお届けします。

Acima Intelligence

bottom of page