ベトナム株式市場、FTSE「セカンダリー新興国」へ 9月21日市場オープンから格上げ、指数組み入れは4段階
ベトナム株式市場は2026年9月21日の市場オープンから、FTSE Russellの市場分類で「フロンティア市場」から「セカンダリー新興国市場(Secondary Emerging)」へ移行します。FTSE Russellは4月の中間レビューで格上げを最終確認しており、9月21日からFTSE Global Equity Index Series(GEIS)への段階的な組み入れが始まります。
重要なのは、これは新しい法律や規制の施行ではなく、世界の機関投資家が利用する指数会社による市場分類の変更だという点です。また、記事公開時点ではベトナム市場はまだオープン前であり、格上げは「本日の市場オープンから発効予定」というステータスです。

9月21日に何が変わるのか
FTSE Russellは2025年10月、ベトナムをセカンダリー新興国市場へ格上げすると発表しました。当初は2026年3月の中間レビューを条件としていましたが、4月7日に公表した結果で、必要な進展が確認されたとして、2026年9月21日の市場オープンからの格上げを正式に確認しました。
格上げにより、ベトナム株はFTSE All-World、FTSE Global All Cap、FTSE Emergingなどを含むFTSE GEISへの採用対象になります。FTSE Russellによると、ベトナムはFTSE All-Worldの49番目、FTSE Emergingの24番目の国・市場として加わることになります。
ただし、ベトナムの上場株が一斉に全額組み入れられるわけではありません。各銘柄は流動性、時価総額、投資可能性などの指数採用基準で審査され、移行そのものも段階的です。
指数への組み入れは4段階――初回は「10%」
FTSE RussellのFAQによると、ベトナムのFTSE GEIS組み入れは2026年9月から2027年9月まで4回に分けて実施されます。
第1段階:2026年9月 投資可能ウェイトの10%(累計10%)
第2段階:2027年3月 20%を追加(累計30%)
第3段階:2027年6月 35%を追加(累計65%)
第4段階:2027年9月 35%を追加(累計100%)
ここでいう10%、30%、65%、100%は、ベトナム市場全体がFTSE Emerging指数の何%を占めるかという意味ではありません。対象となるベトナム株について、投資可能ウェイトをどこまで指数に反映するかを示す「トランチング・ファクター」です。初回から完全組み入れにしないのは、想定される資金流入を段階化し、資金調達や流動性への負荷を抑えるためです。
なぜベトナムは格上げされたのか
ベトナムは2018年から格上げ候補のウォッチリストに入りました。長く課題だったのが、外国機関投資家の決済と市場アクセスです。FTSE Russellは、外国機関投資家が取引前に全額を用意する必要をなくすノン・プリファンディング(NPF)モデルの導入と、決済不履行時の正式な処理プロセスの整備を主要な改善点として挙げています。
さらに2026年3月の中間レビューでは、国際的なブローカーを通じて市場へアクセスしやすくする「Global Broker」モデルの進展を確認し、格上げ予定を維持しました。ベトナム財政省系の研究機関も、9月21日の格上げを、資本市場の国際統合と外国資金へのアクセス改善につながる節目と位置付けています。
「FTSE格上げ」であって、すべての規制が緩和されたわけではない
今回の変更を読むうえで、いくつか区別しておく必要があります。まず、これはFTSE Russell独自の市場分類であり、MSCIなど他の指数会社の分類が同時に変わるわけではありません。また、FTSEの格上げは外国人投資家に関するベトナム国内法上の規制を撤廃するものでもなく、外国人持株比率や業種別の投資条件などは別途確認が必要です。
つまり9月21日は「ベトナムが完全に自由化された日」ではなく、長年続けてきた市場制度改革が国際的な指数体系の中で一段上の分類として反映される日、と捉える方が正確です。
日本企業・投資家への影響
日本の資産運用会社や機関投資家にとっては、FTSE系ベンチマークを利用するファンドや運用戦略で、ベトナム株の採用・ウェイト変更が実務上の確認事項になります。特に今回の組み入れは4段階なので、9月21日だけで完結せず、2027年9月まで指数リバランスの影響が続きます。
ベトナムで事業を行う日本企業にとっても、現地企業の資本調達環境や株主構成、IRの国際化が中長期的に変わる可能性があります。一方で、指数格上げだけを根拠に資金流入額や株価上昇を断定することはできません。実際の影響は採用銘柄、指数連動資産、外国人投資家のポジション、為替や世界市場の環境によって変わります。
ACIMA WORLD NEWSの視点
今回のポイントは、「格上げが決まった」というニュース自体ではなく、2026年9月21日に実際の指数移行が始まることです。国際金融市場では、発表日と実施日が数カ月から1年離れることが珍しくありません。企業や投資家にとって実務上重要なのは、決定のニュースだけでなく、いつ実際に適用され、何が一度に変わり、何が段階的に変わるのかを追うことです。
ACIMA WORLD NEWSでは、今後も2027年9月までの各トランシェ、ベトナム市場アクセス制度の追加改革、他の主要指数会社による分類変更の有無を分けて追跡します。海外市場・規制・企業動向について、一次資料から日本語で整理する調査が必要な場合は、アシーマの海外情報リサーチサービスをご覧ください。
一次情報・確認資料
画像:Ho Chi Minh Stock Exchange / Syced / Wikimedia Commons / CC0 1.0。記事内容を示す資料写真です。





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