
中国、住宅積立金規則を9月20日改正施行 外資企業も対象、未登録罰金を最大30万元へ
中国で、住宅積立金にあたる「住房公积金」の管理規則が2026年9月20日に改正施行されました。中国国務院令第844号による改正で、住宅用途の拡大や手続き迅速化だけでなく、企業側の登録・納付義務と違反時の罰金も改められています。中国に現地法人を持つ日本企業にとっては、人事・給与実務の確認が必要な改正です。

9月20日に何が施行されたのか
中国国務院は2026年8月10日付で「住房公积金管理条例」の改正決定を公布し、9月20日から施行すると定めました。決定は7月31日の国務院第93回常務会議で可決されています。
今回の改正は、住宅積立金の拠出、引き出し、利用、管理、監督を全国レベルで見直すものです。中国の公式条文では、制度の対象となる「单位」に国有企業だけでなく、外商投資企業、都市部の民営企業、その他の都市企業なども明記されています。したがって、中国に設立した日系の外商投資企業も制度の対象です。
日本企業がまず確認すべき企業側の義務
改正後の条例では、企業は住房公积金管理中心で拠出登録を行い、従業員の住宅積立金口座を開設する義務があります。新設企業は設立から30日以内に拠出登録を行い、その登録から20日以内に従業員口座を開設する必要があります。新規採用者についても、採用日から30日以内の登録・口座手続きが求められます。
毎月の拠出については、企業は賃金支給日から5日以内に、会社負担分と従業員から控除した分を専用口座へ納付します。条例は、企業に対して期限どおり全額を納付し、遅延や不足納付をしないことを求めています。
拠出率は、従業員本人と企業の双方について、従業員の前年平均月給の5%を下回ってはならず、国が定める上限を超えてはならないと規定されています。具体的な率は地方の住房公积金管理委员会が案を作り、所定の地方政府承認を受ける仕組みです。つまり、全国共通の条文だけでなく、拠点所在地の実施ルールも併せて確認する必要があります。
未登録・口座未開設の罰金は最大30万元へ
企業実務で特に重要なのが罰則です。改正決定は、住宅積立金の拠出登録を行わない、または従業員口座を開設しない企業が是正命令に従わなかった場合の罰金を、従来の1万元以上5万元以下から、5万元以上30万元以下へ引き上げました。
一方、住宅積立金を期限までに納付しない、または不足納付する場合は、住房公积金管理中心が期限を定めて納付を命じ、それでも納付しない場合は人民法院に強制執行を申請できる仕組みです。
さらに、住房公积金分野の公共信用情報を定め、管理中心が信用記録を整備して全国信用情報共有プラットフォームへ組み込む規定も新設されました。単なる福利厚生制度ではなく、企業のコンプライアンス管理という側面が一段強まっています。
従業員側では利用範囲と手続きが拡大
従業員側では、住宅積立金の引き出し対象が拡大されました。家賃支払いに加え、自宅の内装・改修、自宅の物業費(管理費)なども対象に含まれます。従来あった「家賃が世帯賃金収入の一定割合を超えること」という条件も撤廃されました。
住房公积金管理中心は、引き出し申請について受理から3日以内、住宅積立金ローンについては受理から10日以内に可否を決定することが明記されました。また、拠出記録の全国的な相互認証、地域をまたぐ口座移管や融資手続きの円滑化も盛り込まれています。
個人事業主、非全日制就労者などの柔軟就業者については、自主的に住宅積立金へ加入できる制度も明記されました。具体的な運用方法は、設区市以上の地方政府が定めます。
日本企業への影響
今回の改正は、不動産政策のニュースとしてだけ見ると、日本企業への影響を見落としやすい案件です。条文上は外商投資企業も明確に制度対象であり、登録・口座開設・毎月の納付・従業員の異動時手続きといった人事給与オペレーションに直結します。
中国拠点を持つ企業は、現地法人ごとに、①住房公积金の企業登録が正しいか、②全従業員の口座が適切に開設されているか、③所在地で適用される拠出率と上限、④新規採用・退職・異動時の手続き、⑤未納・不足納付がないか、を確認しておく価値があります。
特に今回、未登録・口座未開設に対する罰金上限が30万元まで引き上げられた点は、現地HRだけに任せず、本社側でも制度変更を把握しておくべきポイントです。
ACIMA WORLD NEWSの視点
この改正で注目すべきなのは、住宅取得支援の拡充だけではありません。中国政府は、全国的なデータ連携、信用情報、地方をまたぐ手続きの共通化を同時に進めています。住宅積立金という生活密着型制度も、よりデジタル化され、企業側の履行状況を把握しやすい仕組みへ移行しています。
日本企業にとっては、『従業員が使いやすくなった制度』であると同時に、『企業側の登録・納付管理をより厳格に確認される制度』になったと見る方が実務的です。今回のような施行日ベースの制度変更は、日本語ニュースでは大きく扱われなくても、海外拠点の運営には直接影響する場合があります。





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