
米OFAC、対イラン取引の外国金融機関へ制裁警告 日本企業は決済経路・取引銀行を再点検

米財務省外国資産管理局(OFAC)は2026年10月5日、イランまたはイランの金融セクターとの取引を続ける外国金融機関に対し、米国の「Operation Economic Outcast」の下で制裁対象となり得るとする警告を公表しました。OFACは同日のRecent Actionsで、Iran-related Alert「Notice to Foreign Financial Institutions Conducting Business with Iran」と改訂FAQ 156の公表を正式に案内しています。
日本企業にとって重要なのは、今回の公表を「10月5日に新しい対イラン全面禁止令が発効した」と読み違えないことです。今回の文書は新規の包括的な取引禁止を設定する規則ではなく、既存のイラン金融制裁の下で外国金融機関が負い得る二次制裁リスクを改めて明確にしたAlertです。
何が変わったのか――「新規禁止」ではなく執行警告の強化
OFACの今回のAlertは、外国金融機関がイランまたはイランの金融セクターとの取引を継続する場合、米国の制裁対象となるリスクがあることを強く警告するものです。企業実務では、「以前から取引している銀行だから大丈夫」「第三国の銀行を経由しているから大丈夫」といった過去の前提をそのまま使わない方が安全です。
第三国の支店・子会社も確認対象
日本企業が輸出代金を受け取る場合も、直接の取引相手だけを見るのでは不十分です。送金銀行、中継銀行、信用状の発行・確認銀行、銀行の所在国、支店・子会社の関係まで含め、決済経路全体を確認する必要があります。
CAPTA Listに直ちに全銀行が載るわけではない
同日に改訂されたFAQ 156では、外国金融機関が制裁対象活動へ knowingly 関与したと財務省が認定し、米国内のcorrespondent accountまたはpayable-through accountに厳しい条件を課す場合、財務省は命令または規則を発出しFederal Registerで公表すると説明しています。口座の開設・維持を禁止する場合、その外国金融機関はCAPTA Listに掲載されます。
したがって、10月5日のAlertそのものによって、イランと何らかの関係を持つ世界中の銀行が自動的にCAPTA List入りしたわけではありません。企業側は個別の指定・命令・銀行側のコンプライアンス判断を確認する必要があります。
「ドルを使わなければ安全」とは限らない
二次制裁は外国金融機関の一定の活動そのものを対象とし得るため、米ドルを使っていないという一点だけでリスクが消えるとは限りません。逆に、すべてのイラン関連非ドル決済が禁止されているという意味でもありません。対象者、対象セクター、取引内容、金融機関、最終受益者を個別に確認する必要があります。
シャドーバンキングとフロント企業にも注意
対イラン制裁の実務では、名義上の契約相手だけでなく、実質的支配者、送金依頼人、最終受益者、第三国企業の設立時期・事業実態、不自然な支払先変更なども確認対象になります。第三国の銀行・企業が介在することで、取引の実質が見えにくくなるケースには特に注意が必要です。
日本企業が今確認したいこと
まず、現在の取引で使っている銀行・支店・中継銀行が、イラン関連取引を理由に送金条件を変更していないか確認します。次に、契約上の支払先と実際の送金元・送金先が一致しているか、受益所有者や仲介企業に不自然な変更がないかを確認します。
さらに、銀行が送金を拒否・保留した場合の支払期限、代替口座、返金、納期変更、制裁条項、不可抗力・法令遵守条項を契約書で確認しておくことが重要です。銀行の内部コンプライアンス基準は法令上の最低ラインより厳しく設定されることがあるため、「法律上可能か」と「実際に銀行が決済を受けるか」は別の確認事項として管理した方が安全です。
一次情報・確認資料
OFAC Recent Actions(2026年10月5日):https://ofac.treasury.gov/recent-actions/20261005
OFAC FAQ 156:https://ofac.treasury.gov/faqs/156
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