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冥王星の外側に準惑星候補「2026 ED138」 直径600〜1500km、ルービン天文台が発見

10月28日
読了時間: 5分

太陽系の外縁部で、まだ知られていなかった大型天体が見つかった。米国立科学財団(NSF)と米エネルギー省(DOE)が支援するベラ・C・ルービン天文台は2026年10月27日、冥王星の軌道より外側で見つかった天体「2026 ED138」を準惑星候補として発表した。

現在の太陽からの距離は約46天文単位、推定直径は600〜1500km。正式な準惑星として認定されたわけではなく、大きさには表面の反射率による幅がある。観測記録は過去のデータと照合され、2016年まで遡れるという。

この発見で特に興味深いのは天体の大きさだけではない。天の川の星々が密集する方向に隠れていた天体を、膨大な画像から動きを追う解析によって浮かび上がらせた点だ。

ルービン天文台が2026年5月に観測した準惑星候補2026 ED138の移動を示す合成画像。天体を拡大撮影した球体写真ではない。
2026 ED138の移動を複数の観測画像から合成した図。画像は2026年5月の観測に基づく。Credit: NSF–DOE Vera C. Rubin Observatory/NOIRLab/SLAC/AURA; Image Processing: M. Jurić, D. de Martin, M. Zamani。CC BY 4.0(https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/)。

 

 

発表は10月27日、発見の手掛かりは10月13日の解析

 

ルービン天文台によると、発見者はハーバード・スミソニアン天体物理学センターのマシュー・ホルマン研究員。2026年10月13日夜、同僚ケビン・ネイピア氏と開発した、数十億件の検出情報から同一の移動天体を結び付けるプログラムを、同年初めに取得した観測データへ適用した。

その中に目立つ明るさと遠距離を兼ね備えた候補が現れたため、研究チームは誤検出でないかを調べた。国際天文学連合(IAU)の小惑星センター(MPC)は10月27日、仮符号2026 ED138として観測情報を公表した。発見日、過去の観測日、公表日はそれぞれ異なる。

 

 

太陽から約46天文単位、直径は600〜1500kmと推定

 

1天文単位(au)は地球と太陽の平均距離に相当する。ED138の太陽からの現在距離は約46auで、冥王星の平均距離である約40auより遠い。ただし、両者の「現在距離」と「平均距離」は異なる指標であり、いつでも一定の順序で並ぶという意味ではない。

直径600〜1500kmという幅が大きいのは、観測された明るさだけでは大きさを一意に決められないためだ。氷の多い明るい表面と暗い表面では、同じ明るさでも推定直径が変わる。赤外線による追観測などが、実際の大きさや表面の性質を絞り込む鍵となる。

 

 

2026年の30回の検出に、2016年の画像を重ねた

 

ルービン天文台の観測画像を改めて精査したところ、2026年3月4日から7月11日までの20夜にわたって計30回、同じ天体が捉えられていた。発見後に過去の画像を調べ、すでに写っていた天体を特定する手法は「プレカバリー(precovery)」と呼ばれる。

さらにチリのセロ・トロロ米州天文台で使われるダークエネルギーカメラ(DECam)の画像にも2016年まで遡る記録が見つかった。約10年分の観測を組み合わせたことによって、新天体の軌道を推定するための時間的な土台が強化された。

 

 

星が密集する方向だからこそ、発見は難しかった

 

ED138が見つかったのは、天の川の銀河面に近い空の領域だ。背景の恒星が非常に多く、小さく暗い太陽系天体が星の点像に紛れやすい。

一方、ルービン天文台は広い空を繰り返し撮影する設計を持ち、複数時点の画像で位置が少しずつ変わる点を探せる。単独の一枚の写真では目立たない天体でも、時系列と過去の画像を合わせると識別できる。今回の発見は、観測の感度だけでなく、データ処理と再解析の能力が新発見を左右することを示している。

準惑星候補2026 ED138の発見画像を並べたモザイク。星々の中の天体位置が円で示されている。
ルービン天文台による2026 ED138の発見画像モザイク。明るい惑星の表面写真ではなく、恒星の密集した領域にある天体の位置を示す。Credit: NSF–DOE Vera C. Rubin Observatory/NOIRLab/SLAC/AURA; M. Jurić, D. de Martin, M. Zamani。CC BY 4.0(https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/)。

 

 

公転面から約25度の傾き――海王星との関係は

 

観測結果から推定されるED138の軌道は、惑星の公転面に対して約25度傾いている。天文台はこの天体を、比較的軌道傾斜の大きい「ホット・クラシカル」な太陽系外縁天体(TNO)に分類した。

この傾きは、初期の太陽系で海王星などの重力による攪乱を受けた可能性を考える材料になる。ただし、軌道の傾きだけで、どの時期にどの惑星がどのように作用したかまで確定できるわけではない。

 

 

「準惑星候補」と「正式な準惑星」は違う

 

IAUが認める準惑星は、太陽の周りを公転し、自重でほぼ丸い形となり、軌道近傍の他天体を一掃しておらず、衛星ではない天体だ。現在公式に認められているのは冥王星、ケレス、エリス、ハウメア、マケマケの5天体。

ED138は推定直径から自重でほぼ球形になっている可能性が高いと考えられるが、現時点でIAUが新たな準惑星として確定したわけではない。「6番目の準惑星を発見」と断言するのではなく、「準惑星候補を確認した」と表現するのが正確だ。

 

 

アヴィ・ローブ教授も最新のMediumで紹介

 

ハーバード大学のアヴィ・ローブ教授は同じ発表を取り上げた2026年10月27日付のMedium記事で、発見者ホルマン氏が自身の同僚であること、2016年からの画像の照合、赤外線観測の必要性などを説明した。

ローブ教授はさらに、ルービン天文台が今後の継続観測で、未発見の太陽系天体だけでなく、新たな恒星間天体を捉える可能性にも言及している。これは今後の探査能力への展望であって、ED138が恒星間天体であるとか、地球外生命・人工物の証拠であるという主張ではない。

 

 

太陽系外縁の「見落とし」をどう減らすか

 

ルービン天文台では広域・長期観測計画「Legacy Survey of Space and Time(LSST)」が2026年6月に始まった。正式運用前の4月には、新たな小惑星1万1000個以上の観測をMPCへ提出し、その中には約380個の太陽系外縁天体が含まれたという。

それでもED138のような大型天体が星の多い空域に残っていた。これまで調べにくかった方向を含めて観測の抜けを埋めることに、広い視野と繰り返し観測を持つ設備の価値がある。

 

 

今後の焦点は、直径・組成・軌道の精度

 

現段階で分かっているのは、遠方を公転する明るい天体が観測データに存在し、過去の検出とも結び付けられるということだ。一方、直径600〜1500kmの幅を狭め、表面の反射率や組成を調べるには、波長の異なる追加観測が必要になる。

新天体の発見を「新しい惑星が確定した」と誇張せず、どこまでが観測事実で、どこからが分類や形成史の推測なのかを確認することが重要だ。太陽系の外縁には、まだ見つかっていない大きな天体が残されている可能性がある。

主な一次資料・補足資料:

ルービン天文台公式発表(2026年10月27日):https://rubinobservatory.org/news/rubin-first-dwarf-planet-candidate

ルービン天文台:2026 ED138観測画像の説明:https://rubinobservatory.org/gallery/collections/news-images/noirlab2626e

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