マレーシア、未登録貨物は積み下ろし不可 B/L・SIをETA48時間前に確定へ

マレーシア税関(Royal Malaysian Customs Department/JKDM)の新しいマニフェスト運用を受け、海運各社が顧客向けの注意喚起を相次いで出しています。CMA CGMは2026年10月7日、10月1日からマレーシアの港で、税関マニフェストに適切に申告・登録された貨物だけが積み下ろしや処理の対象になると案内しました。
実務上の合言葉は「No Manifest = No Loading / No Unloading」です。日本からマレーシアへ輸出する企業や、マレーシア港で積み替える企業は、船積み指図(Shipping Instructions/SI)とB/L情報を従来より早い段階で確定し、船社ごとの締切を守る必要があります。
10月1日から何が変わったのか
CMA CGMの10月7日付グローバル案内では、JKDMの新しい指示により、マレーシアの全港で、マニフェストに登録されていない貨物は積み込み・荷揚げ・処理を認めない運用が10月1日から適用されるとしています。申告が遅れたり内容が不正確だったりすると、荷揚げ不可、船上残留(ROB)、通関・配送の遅延、追加の運用費用、税関検査や保留などにつながる可能性があります。
ここで重要なのは、Customs Act 1967そのものが10月1日に新設された、という話ではないことです。船社の案内が示している実務上の変化は、マニフェスト未登録貨物を積み下ろしさせない運用を明確にし、書類提出のタイミングと正確性を厳格に求めている点です。
K4・K5・K6は貨物の流れで使い分ける
CMA CGMの案内は、マレーシア港で荷揚げ・積み込みされる貨物についてK4マニフェストを中心に説明しています。一方、Hapag-Lloydは、マレーシアからの輸出貨物は有効で完全な輸出マニフェストK5が必要で、マレーシアで積み替える貨物はK6の作成に必要な情報を提出するよう案内しています。
したがって「すべての貨物がK4を出せばよい」と理解するのは危険です。日本発でマレーシアに輸入する貨物、マレーシアから輸出する貨物、マレーシアでトランシップする貨物では必要な申告が異なります。自社案件がどの区分に当たるかを、船社または現地通関業者へ確認するのが確実です。
船積み書類はETA48時間前が一つの基準
CMA CGMは、完全なSIとB/L作成をマニフェスト締切、すなわち原則として到着予定時刻(ETA)の48時間前までに終えるよう求めています。また、貨物・商品情報やB/L当事者の変更を到着48時間以内に行わないよう強く勧めています。
Hapag-Lloydも、マレーシアからの輸出貨物についてSIを積み地へのETAの48時間前までに、マレーシアでの積み替え貨物についてK6作成に必要な情報を積替港へのETAの48時間前までに提出するよう案内しています。未提出・不完全・遅延したSIは承認マニフェストに載らず、貨物が次便へ繰り越される可能性があります。
日本企業への具体的な影響
日本からマレーシアへ出荷する案件では、出港日だけを基準に書類作業を組むのではなく、マレーシア側のETAから逆算してB/L情報を確定する必要があります。特に、Shipper・Consignee・Notify Party、品名・商品説明などを出荷後に変更する運用が多い企業は、社内締切を前倒しした方が安全です。
マレーシアで積み替えて第三国へ向かう貨物も対象になり得ます。最終仕向地がマレーシアでなくても、Port KlangやPort of Tanjung Pelepasなどでトランシップする場合には、K6用情報の締切を確認する必要があります。
書類不備で貨物が積めない、あるいは荷揚げできない場合、納期遅延だけでなく、ロールオーバーや保管・運用上の追加費用が発生する可能性があります。どの費用を荷主が負担するかは船社・契約条件によって異なるため、一般化せず個別に確認してください。
AWNの視点:まず社内締切を48時間より前へ
日本企業がすぐに確認したいのは、①マレーシア向けか積替か、②必要なマニフェスト区分、③船社のSI締切、④B/L当事者と品名の確定時刻、⑤変更が必要になった場合の連絡先です。実務では船社が税関提出を行う時間も必要になるため、社内の情報確定期限を単純にETA48時間前と同じにせず、さらに前倒しして設定する方が安全です。
また、今回の運用を「新しい関税」や「新しい輸入禁止」と捉えるのは不正確です。焦点は、貨物のマニフェスト登録と書類提出のタイミングです。価格交渉より先に、物流・営業・通関担当で同じ締切情報を共有することが、遅延回避に直結します。
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