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計画を増やす前に、まず削る——レイラ・ホルモジの「集中を速さに変える」思考

23 時間前
読了時間: 5分

経営計画を作るたびに、新しい施策、会議、指標、担当が増えていく。ところが、やることが増えるほど会社の動きは遅くなり、重要な案件が「今年のプロジェクト」のまま何か月も進まないことがあります。

レイラ・ホルモジ(Leila Hormozi)は、2026年1月19日に公開した公式メモ「Stop Planning, Start Eliminating」で、規模が大きくなった会社の主なリスクは努力不足ではなく、焦点が薄まることだと述べています。難しく見える目標の多くは、能力が足りないのではなく、競合する優先事項で混み合っているという指摘です。

彼女の提案は、計画を精密にする前に、まず減らすこと。この記事では、その考えを日本の企業・経営者・個人事業主が使える「削減スプリント」として整理します。単なるコスト削減ではなく、重要な成果へ時間と判断力を戻すための方法です。


競合する優先事項を減らし、1つの目標に集中する経営チーム
計画を増やす前に、競合する優先事項を減らす。画像:OpenAIによるAI生成


目標が難しいのではなく、混み合っている


同じ目標でも、同時に進める案件が10個あれば、意思決定、連絡、切り替えに時間が使われます。担当者は忙しく見えても、最重要の仕事へ連続した時間を投入できません。結果として、数週間で検証できるはずのことが、四半期や1年の計画になります。

レイラは、不要な優先事項を取り除くと明確さが生まれ、明確さが速度と勢いにつながると説明します。ここでの「速さ」は、全員を急かすことではありません。やらないことを先に決め、限られた時間を同じ方向へそろえることです。

つまり、目標の期限を延ばす前に、「この仕事は本当に難しいのか。それとも、ほかの仕事に埋もれているだけか」と問い直します。



計画を足す前に問うべき3つの質問


公式メモで示された問いは、経営会議や個人の週次レビューにも使えます。日本企業向けに、判断しやすい形へ置き換えると次の3つです。


1.次の30〜60日で、成果を最も動かす1つは何か


売上、粗利、納期、採用、解約率など、今の事業で最も重要な結果を1つ選びます。「営業強化」のような活動名ではなく、「既存顧客の解約率を3%下げる」のように、変化を確認できる結果にします。

1つに絞るのは、ほかの問題が存在しないという意味ではありません。短期間だけ、経営資源の向きをはっきりさせるためです。


2.習慣や義務感だけで続けている仕事は何か


毎週の定例会議、誰も読まない報告書、目的が曖昧なSNS運用、前任者の時代から続く承認などを洗い出します。「昔からやっている」「止める説明が面倒」という理由しか残っていないなら、停止候補です。

重要なのは、担当者の努力を否定しないことです。人ではなく、仕事の目的と成果を見直します。


3.1年計画にしているが、集中すれば短縮できるものは何か


新サービスの検証、社内マニュアル整備、採用ページの改修などは、他業務と並行することで長期化している場合があります。担当者を増やす前に、30日間だけ他の依頼を止め、まとまった時間を確保できないか検討します。

期限短縮には、対象範囲を小さくすることも有効です。全国展開の完成を待つのではなく、1地域・1顧客層・1業務で先に結果を出します。



日本の会社で試す「削減スプリント」4ステップ


1.最優先の成果を1つ決める


経営者または責任者が、次の30〜60日で動かす数字を1つ決めます。複数部門が関わる場合でも、部門ごとの目標を並べるのではなく、全体で共有する結果を先に置きます。


2.仕事を「継続・停止・一時停止」に分ける


進行中の案件、会議、定例報告を一覧にし、継続するもの、やめるもの、期限付きで止めるものに分類します。「重要か」だけでなく、「今の最優先成果に直接つながるか」で判断します。


3.停止の責任者と再開条件を決める


仕事を止めると、顧客対応や法令順守に影響が出ることがあります。誰が影響を確認するか、いつ再評価するか、どの指標が悪化したら再開するかを決めます。削除を勢い任せにせず、可逆的な経営判断にします。


4.空いた時間を最重要案件へ移す


会議を減らしただけでは、空いた時間に別の依頼が入ります。確保した時間をカレンダーや担当表で最重要案件へ割り当て、意思決定者へのアクセスも短くします。削ることと、資源を移すことをセットにします。



「削る」と「品質を落とす」は違う


安全、品質、個人情報、法令、顧客との約束まで一律に減らしてはいけません。特に製造、医療、金融、公共分野では、確認工程そのものが信頼を支えています。

削減の対象は、成果との関係が説明できない仕事、重複している仕事、今でなくてもよい仕事です。必要な統制は残し、そのうえで承認段階、参加者、頻度、資料量を小さくできないか検討します。

また、経営者だけが「不要」と決めると、現場が持つ重要な背景を落とす危険があります。停止前に、影響を受ける担当者と顧客接点の情報を確認することが欠かせません。



ボトルネックと経営者の時間を同時に見る


削る対象を見つけるときは、アレックス・ホルモジ(Alex Hormozi)の「ボトルネック思考」も参考になります。成長を最も妨げる制約を特定できれば、残す仕事と止める仕事の基準が明確になります。

また、削って生まれた時間を経営者しかできない判断へ戻すには、ダン・マーテル(Dan Martell)の「時間を買い戻す」経営と組み合わせると実行しやすくなります。不要な仕事を止め、必要だが委任できる仕事を移し、重要案件へ集中する流れです。



まとめ:計画の前に、余白をつくる


大きな目標を前にすると、私たちは計画、人数、会議、ツールを足そうとします。しかし、すでに仕事が混み合っている組織では、追加施策が速度をさらに落とすことがあります。

レイラの示唆はシンプルです。次の30〜60日で最も重要な1つを決め、習慣や義務感だけで続く仕事を止め、1年かかると思っていた案件へ集中する。変化を速めるのは、より長い計画ではなく、競合する優先事項を減らした状態かもしれません。

まず次の経営会議で、「何を始めるか」より先に「何を止めれば、最重要の仕事が進むか」を1つ決めてみてください。



原典


レイラ・ホルモジ「Stop Planning, Start Eliminating」公式メモ、2026年1月19日公開。原文を読む



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