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望遠鏡を変えずに系外惑星の検出感度が最大15倍 JWSTの過去データから惑星の光を再発見

2 日前
読了時間: 4分

米ノースウェスタン大学などの研究チームは2026年11月4日、望遠鏡を改造せず、過去の観測データから見えなかった系外惑星の光を取り出す画像処理技術「FLIP」を発表しました。国際学術誌Natureに同日掲載された研究で、従来の処理方法に比べ、条件によって検出感度を2~15倍改善したと報告しています。

印象的なのは、新しい望遠鏡を打ち上げたり、遠い星まで飛行したりする必要がなかったことです。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)がすでに取得していたデータを、別の方法で読み直すことで、従来の解析では恒星の光に埋もれていた惑星が浮かび上がりました。

 

 

なぜ惑星は、撮影されていても見えないのか

 

系外惑星の直接撮像では、隣にある恒星の圧倒的な明るさが障壁になります。若く明るい巨大惑星でも、主星の10万分の1以下という暗さです。望遠鏡はコロナグラフという装置で恒星光を遮りますが、漏れた光や装置内部で散乱した光が画像に残り、微弱な惑星の信号を隠してしまいます。

従来は、似た恒星の画像を参照として差し引くなどの方法が使われてきました。しかし、鏡の位置や温度などのごく小さな変化により、実際の光の模様と参照画像が完全には一致せず、惑星を見えなくする残光が生じます。

 

 

新手法FLIP——望遠鏡の「デジタルの分身」をつくる

 

研究者たちは、光が望遠鏡の鏡や検出器をどう通過するかを再現する物理モデルをつくり、実観測と合うよう多数のパラメータを最適化しました。この枠組みが「Physics-based Learning for Imaging Planets(FLIP)」です。

単にAIが画像から惑星を推測する仕組みではありません。研究者によれば、AIモデルの学習にも用いられる計算技術を活用しつつ、光学の物理法則に基づいて恒星の光を推定します。推定した恒星光を観測データから取り除くことで、惑星由来の弱い信号を残します。

 

 

見つかったのは「新惑星」ではなく、既知の51 Eridani b

 

チームは、HIP 65426、エリダヌス座51番星(51 Eridani)、TYC 5899の観測データを再解析しました。その結果、従来のJWST画像処理では識別できなかった巨大惑星「51 Eridani b」の信号を取り出すことに成功しました。

ここで注意したいのは、51 Eridani bが2026年に初めて発見された惑星ではないという点です。この惑星は2015年に地上のジェミニ望遠鏡を使って発見されていました。今回の成果は、過去のJWST観測データの特定の波長帯で、従来法では見えなかった既知の惑星を検出できたことにあります。

この波長帯は大気中の二酸化炭素(CO₂)の吸収と関係します。惑星の光が弱くなる波長でも検出できれば、将来、惑星大気の性質を調べる手がかりが増える可能性があります。ただし今回、生命の証拠を発見したわけではありません。

 

 

「最大15倍」はすべての天体で保証された数字ではない

 

2~15倍という改善幅は、今回調べた観測条件と従来手法との比較結果です。どの望遠鏡でも常に15倍の感度になるという意味ではありません。研究者らも、計算コストの削減や、さらに多くのデータを使った検証が必要だと説明しています。

現時点で主な対象となるのは巨大惑星ですが、技術が発展すれば、より暗い・低温の惑星の撮像や、将来計画される地球型惑星の観測に活用できる可能性があります。

 

 

AWNの視点——過去の観測データには、まだ発見が眠っている

 

宇宙探査の新しい成果は、新しい宇宙機だけから生まれるとは限りません。膨大な観測データが公開・保存されていれば、解析手法の進歩によって数年後に新たな情報を取り出せます。これは観測予算の効率だけでなく、データを繰り返し検証する科学の強みでもあります。

今後注目したいのは、FLIPがほかの天体データでも再現性のある結果を出せるか、そして未発見の惑星の検出につながるかという点です。「新しい世界が発見された」と「すでに記録された光が新たに読み解けた」を区別して追跡します。

 

 

一次資料・画像について

 

研究結果は2026年11月4日に公開されたNature論文と研究チームの大学発表に基づいています。アイキャッチは51 Eridani bの想像図(2015年公開の資料画像)で、今回のFLIPによる検出画像そのものではありません。

画像:Danielle Futselaar & Franck Marchis / SETI Institute、NOIRLab。51 Eridani bの想像図。原図を使用し、記事本文で用途を明示しています。CC BY 4.0。

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