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EU ELV規則、一部条項が9月14日適用開始 全面適用は2028年

1 日前
読了時間: 4分
EU ELV規則と自動車の循環利用を示す参考画像。自動車解体ヤードに並ぶ使用済み車両
参考画像:米国の自動車解体ヤード。今回のEU規則の個別対象施設を示すものではありません。撮影:IFCAR / Wikimedia Commons / Public Domain

EUで、自動車の設計から廃車処理までを一体的に規制する新しい「自動車設計の循環性要件および使用済み自動車の管理に関する規則」(Regulation (EU) 2026/1738、以下「EU ELV規則」)の一部条項が、2026年9月14日に適用開始となりました。


ただし、ここは法的ステータスを正確に区別する必要があります。EU ELV規則そのものは2026年8月13日に発効済みですが、規則全体の一般的な適用開始は2028年9月1日です。9月14日に始まったのは、主として欧州委員会や加盟国が今後の技術基準・計算方法・制度運用を整備するための一部条項です。自動車メーカー向けの主要義務が一斉に今日から始まったわけではありません。



9月14日に何が適用開始になったのか


EU ELV規則の第59条2項は、規則全体について「2028年9月1日から適用」と定める一方、複数の特定条項については2026年9月14日から先行適用すると明記しています。今回の先行適用は、企業への全面的な製品義務というより、EUが2028年以降の本格運用に必要なルールを具体化するための制度設計フェーズという性格が強いものです。


例えば、第4条3項では、欧州委員会が車両の再使用可能率・リサイクル可能率・回収可能率を計算・検証する新たな方法を2029年2月28日までに実施法で定めることになっています。第5条の一部では車両中の懸念物質に関する評価や、鉛・水銀・カドミウム・六価クロムなどの例外・識別ルールを調整する権限が置かれています。


さらに、再生材比率の計算・検証、部品を取り外し・交換しやすくする設計要件、デジタル循環性車両パスポートの技術仕様、加盟国当局の指定・通知などに関する条項も先行適用の対象です。つまり、今後の実務を左右する「二次法」や実施細則を作る法的な土台が動き始めた段階と見るのが正確です。



EU ELV規則の全面適用は2028年9月から


欧州委員会によると、EU ELV規則は自動車の設計、生産、回収、解体、再使用、リサイクル、廃車処理までライフサイクル全体を対象にします。現行のELV指令は、新規則が一般適用される2028年まで引き続き適用されます。


将来の主要な要件として、欧州委員会は新車の再生プラスチック含有率を2032年から15%、2036年から25%とすることを示しています。また、2032年9月からは各車両に「デジタル循環性車両パスポート」を持たせる仕組みが規則に組み込まれています。鉄鋼やアルミニウムについても、今後、再生材比率のルールが具体化される予定です。


EUはこの規則を、単なる廃車処理ルールではなく、輸入一次原料への依存を減らし、域内で二次原料を循環させる産業政策として位置づけています。自動車産業だけでなく、樹脂、鉄鋼、アルミニウム、銅、レアアース、解体・リサイクル、データ管理など幅広いサプライチェーンに影響します。



日本の自動車・部品・素材企業への影響


EU市場で車両を販売する日本の自動車メーカーだけでなく、部品・素材を供給する企業にとっても、今後の実施法や委任法の内容は重要です。完成車メーカーが再生材比率やリサイクル可能性を証明するためには、サプライヤー側から材料の種類、重量、再生材含有量などの情報を集める必要があるためです。


規則本文でも、将来的にメーカーがサプライチェーン全体から必要データを収集し、提供された情報の正確性・完全性を検証する手続きを整えることが想定されています。EU向け製品を扱う日本企業にとって、2028年や2032年を待ってから対応を始めるのではなく、取引先から求められる材料データや証明方法を早めに確認することが重要になります。


注目すべきは今後の「二次法」です


今回9月14日に先行適用された条項の多くは、欧州委員会に具体的な計算方法、技術仕様、例外、実施条件などを定める権限を与えています。日本企業にとって本当に実務を左右するのは、これから順次公表される委任法・実施法の内容です。規則本文だけを一度確認して終わりにせず、2026年から2028年にかけての二次法制定を継続的に追跡する必要があります。



ACIMA WORLD NEWSの視点


今回のポイントは、「発効」「一部条項の適用開始」「全面適用」を混同しないことです。EU ELV規則は8月13日に発効、9月14日に制度設計に関わる一部条項が先行適用、そして一般的な適用は2028年9月1日からという三段階になっています。


一方で、今日の先行適用を「企業にはまだ関係ない」と見るのも早計です。今後策定される計算方法や技術仕様が、メーカーやサプライヤーが実際に集めるデータ、設計変更、再生材調達、証明方法を決めていきます。日本企業にとっては、規制が全面適用される前のこの期間こそ、EUの制度設計を追跡し、サプライチェーンの準備を進める時間です。



一次情報


EU官報(Regulation (EU) 2026/1738):第59条で適用時期を確認できます。


欧州委員会「New rules for a more circular European automotive sector」:規則の目的、再生材目標、産業政策上の位置づけを説明しています。



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株式会社アシーマの海外情報リサーチサービスでは、海外政府・規制当局・官報などの一次情報を確認し、日本語では見つけにくい規制動向や企業への影響を整理します。EU規制の継続モニタリングや、特定業界に関する調査にも対応しています。


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