韓国、SMR特別法を施行 2035年までの軽水型SMR商用化へ官民支援を制度化
韓国で2026年9月11日、「小型モジュール原子炉(SMR)開発促進・支援特別法」と同法施行令が施行されました。研究開発だけでなく、実証、事業化、研究開発特区、人材育成、官民連携までを国として支える制度枠組みが正式に動き始めます。
韓国政府は、2035年までの軽水型SMR商用化を目標に掲げ、2027年から官民共同で詳細設計に着手する方針です。非軽水型SMRについても2030年代の建設着手を目指しています。重要なのは、これらが「すでに商用化された」という意味ではなく、今回の法施行によって開発・実証・事業化を進める制度的な基盤が整ったという点です。
韓国「SMR特別法」が9月11日に施行
韓国の国家法令情報センターによると、特別法は2026年3月10日に制定され、9月11日に施行されました。施行令は9月8日に制定され、同じく9月11日に施行されています。つまり今回のニュースは法案提出や政府方針の発表ではなく、法律と施行令が実際に効力を持ち始めた段階です。
法律はSMRを、原則として1モジュール当たり発電設備容量300MW以下、または熱出力1000MW以下の原子炉と定義しています。施行令では、主要設備をモジュール化し、管理された環境で標準化・事前製造したうえで輸送・搭載・設置できることなど、SMRとしての技術的な特徴も具体化されました。
5年ごとの基本計画と官民の促進委員会
特別法では、科学技術情報通信部が5年ごとに「SMRシステム開発基本計画」を策定し、年次実施計画につなげる仕組みが設けられました。基本計画には技術開発だけでなく、核燃料供給網、人材育成、社会的受容性、研究開発特区などが含まれます。
また、SMR開発の主要事項を審議する「SMRシステム開発促進委員会」を設置します。科学技術情報通信部長官を中心に、エネルギー、産業、国防、海洋、中小企業など11の中央行政機関と10人以上の民間専門家が参加する構成です。韓国政府は年内に民間委員の構成と運営細則を整え、正式な審議を始める計画としています。
官民共同会社と「SMR研究開発特区」を制度化
今回の制度で注目されるのが、研究成果を実際のビジネスへつなげる仕組みです。政府は民間企業と公共機関などが共同出資する会社の設立を支援でき、必要な事業費を予算の範囲内で支援できる根拠を設けました。研究機関、製造・建設企業、エネルギー需要企業などが開発初期から参加する事業化モデルを想定しています。
さらに、大学・研究機関・企業などのSMR関連能力が集積した地域を「SMRシステム研究開発特区」に指定できる制度も整備されました。今後、自治体や産業界の意見を踏まえて特区育成計画が作られ、研究開発、実証、企業成長支援などの具体策が決まっていく見通しです。
2035年までの軽水型SMR商用化を目標
韓国科学技術情報通信部は、政府の未来成長戦略「7大SEEDプロジェクト」と連動し、2035年までの軽水型SMR商用化を目標にしています。2027年から官民共同で詳細設計を開始し、大型施設・設備を集約して運用するとともに、デジタルツインなどを活用して検証・実証を加速する方針です。
非軽水型SMRについては、開発初期から官民共同出資の特別目的会社(SPC)など事業化専門企業を育成し、2030年代の建設着手を目指します。用途も発電だけに限定せず、産業団地のプロセス熱、海洋、国防、宇宙などへの展開を想定し、関係省庁が制度上のボトルネックを洗い出すとしています。
法施行=原子炉の建設・運転承認ではない
ここは特に区別が必要です。今回施行された特別法は、SMRの研究開発・実証・事業化を促進し、支援するための制度です。特定のSMR設計、建設計画、運転を一括して承認した法律ではありません。個別プロジェクトの安全審査や許認可は、別途、適用される原子力安全関連制度に従って進められます。
したがって「韓国でSMRが9月11日に商用運転を開始した」「2035年商用化が確定した」と表現するのは正確ではありません。正しくは、9月11日に支援法制が施行され、2035年までの商用化という政府目標を後押しする制度が動き始めた、という段階です。
日本企業への影響
今回の韓国法が日本企業へ直接、新たな法的義務を課すわけではありません。一方、韓国が研究開発支援から実証・事業化・特区・官民企業設立までを一体化したことで、東アジアのSMR産業競争は次の段階に進む可能性があります。
原子力機器、素材、建設、エンジニアリング、デジタルツイン、船舶、産業熱利用などに関わる日本企業にとっては、今後どの地域が特区に指定されるのか、どの官民共同会社が立ち上がるのか、調達・標準化・輸出政策がどう具体化するのかを継続的に確認する価値があります。
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ACIMA WORLD NEWSの視点
今回の動きで重要なのは、韓国がSMRを「研究テーマ」から「産業化するための制度」へ一段進めたことです。法制化によって、政府計画、官民組織、共同出資会社、特区、人材育成を同じ枠組みに置きました。
ただし、本当の競争力を決めるのはこれからです。ACIMA WORLD NEWSでは、最初の5カ年基本計画、促進委員会の構成、特区指定、官民SPCの設立、個別の安全審査、海外案件への展開がどこまで具体化するかを追跡します。
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