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韓国、スパイ罪を「外国」まで拡大 半導体・先端技術流出対策の改正刑法が施行

1 日前
読了時間: 4分

韓国で2026年9月13日、スパイ罪の対象を従来の「敵国」中心から「外国またはこれに準ずる団体」にまで広げる改正刑法が施行されました。韓国のスパイ罪改正は、半導体をはじめとする先端技術や国家機密の国外流出への警戒が強まる中で始まった制度変更です。


韓国国家法令情報センターで確認できる改正刑法は、2026年3月12日に公布された法律第21450号です。新設された第98条の2は、外国またはこれに準ずる団体の指令、教唆その他の意思連絡の下で国家機密を探知・収集・漏えい・伝達・仲介したり、これを幇助したりした者を3年以上の有期懲役に処すると定めています。施行日は9月13日です。


一方、従来の「敵国のためのスパイ」に関する第98条は残ります。今回の改正は、従来条文を単純に置き換えたのではなく、外国向けの行為を対象とする新たな第98条の2を設け、処罰対象を広げた点が重要です。



韓国のスパイ罪改正で何が変わったのか


これまで韓国刑法のスパイ罪は「敵国」を前提としており、実務上は北朝鮮に関係する行為が中心でした。そのため、友好国を含む第三国や外国企業への機密流出に対して、刑法上のスパイ罪を適用しにくいという問題が指摘されてきました。


改正後は、外国や外国に準ずる団体のために国家機密を収集・漏えいする行為について、新設の第98条の2が適用され得ます。対象は単なる企業秘密すべてではなく、条文上は「国家機密」であることが要件です。したがって、あらゆる技術流出が自動的にスパイ罪になるわけではありません。


この点は重要です。報道では半導体やAIなどの先端技術流出対策が強調されていますが、実際の刑事適用では、対象情報が国家機密に当たるのか、外国側との指令・教唆・意思連絡が認められるのかなど、個別の要件が争点になります。



なぜ半導体・先端技術が焦点なのか


韓国はサムスン電子やSKハイニックスを抱える世界有数の半導体大国です。ReutersやFinancial Timesは、今回の改正を、半導体など戦略産業の技術流出に対する警戒強化の文脈で報じています。


Financial Timesによると、韓国では2025年に確認された技術流出事案が過去最多の33件に達し、その半数超が中国に関連していたとされています。こうした状況を背景に、企業秘密の流出を単なる企業間の知的財産問題ではなく、経済安全保障上の問題として扱う傾向が強まっています。


韓国でスパイ罪の対象を外国まで広げる改正刑法が2026年9月13日に施行
韓国国旗。画像:Wikimedia Commons / Public Domain。


中国は施行前に「公平で差別のない環境」を要求


改正法の施行を前に、中国外務省も反応しました。韓国の聯合ニュースによると、中国外務省の毛寧報道官は9月11日、中国企業に各国の法令を順守するよう求めているとした一方、各国は企業の正常な投資・経営活動を保障し、公平・公正で差別のない事業環境を提供すべきだとの立場を示しました。


この反応は、今回の制度変更が単なる国内刑法改正にとどまらず、韓中間の産業競争や経済安全保障にも接続していることを示しています。ただし、改正条文自体が特定国を名指ししているわけではありません。



日本企業への影響 共同開発・人材採用・情報管理に注意


日本企業にとっても無関係ではありません。韓国企業や研究機関との共同開発、技術提携、半導体・AI分野の人材採用、M&A、デューデリジェンス、技術資料の共有などでは、韓国側で国家機密や戦略技術に該当する情報を扱う可能性があります。


特に、退職者の採用、研究者の転職、ソースコードや製造ノウハウの移転、クラウドや生成AIを介した技術情報の共有などでは、従来の営業秘密管理だけでなく、相手国の経済安全保障法制まで確認する必要があります。


海外の法改正や規制変更を一次情報まで確認する必要がある場合、アシーマでは海外情報リサーチを提供しています。



ACIMA WORLD NEWSの視点


今回の改正で注目したいのは、スパイ対策と産業技術保護の境界が薄くなっていることです。半導体、AI、量子、宇宙、電池などの先端分野では、技術情報そのものが国家安全保障資産として扱われる時代になっています。


日本企業が海外企業と共同研究や採用を行う際も、「営業秘密を守れば十分」という発想では足りません。相手国でどの情報が国家機密・国家核心技術・安全保障関連情報に位置付けられるのかを把握することが、国際取引の基本的なリスク管理になりつつあります。ACIMA WORLD NEWSは、今回の改正刑法の実際の適用事例や捜査当局の運用、韓国の産業技術保護政策の変化を追跡します。




一次情報・照合情報



韓国 国家法令情報センター|法律第21450号 改正理由・条文 https://www.law.go.kr/LSW/lsRvsDocListP.do?chrClsCd=010202&lsId=001692&lsRvsGubun=all


Reuters|South Korea's expanded espionage law takes effect amid push to protect chip technology https://www.reuters.com/world/china/south-koreas-expanded-espionage-law-takes-effect-amid-push-protect-chip-2026-09-13/


Yonhap|中国外務省の反応(2026年9月11日) https://www.yna.co.kr/view/AKR20260911151200083


画像:Flag of South Korea / Wikimedia Commons / Public Domain



海外の法改正・規制・経済安全保障の動きを、一次情報から日本語で整理します。


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