サイバー攻撃に備えるために、私たちが今日からできること――英国は「3日分の備蓄」を呼びかけ
スマホが使えなくなったら? 銀行からお金を引き出せなくなったら? そんな「もしも」に備えるために、今すぐできることをわかりやすく解説します。
最近、企業や政府機関へのサイバー攻撃、個人情報の流出といったニュースが相次いでいます。
「自分のスマホは大丈夫だろうか」「銀行のお金は安全なのだろうか」「何か準備した方がいいのだろうか」
そう感じている人も多いのではないでしょうか。
実は、サイバー攻撃への備えには、専門的な知識も高価な機械も必要ありません。
大切なのは、自分の情報を守ること。そして、万が一、社会の一部のシステムが止まっても困らないようにしておくことです。
画像:AI生成によるイメージ。家庭で備える水、保存食、懐中電灯、ラジオ、モバイルバッテリーとスマートフォン。実際のサイバー攻撃現場を撮影したものではありません。
英国政府が国民に「3日分の備蓄」を呼びかけ
2026年10月22日、英国政府は「Be Ready(備えよう)」という新たなキャンペーンを発表しました。
翌23日にはアンディ・バーナム首相も、予期しない緊急事態に備え、家庭に必要な物資を用意しておくことの重要性を訴えました。
英国政府が想定しているのは、自然災害だけではありません。サイバー攻撃によって、電気や通信、買い物など、日常生活に必要なサービスが混乱する可能性も考慮されています。
英国政府が推奨する備えは、少なくとも3日分。
飲料水や保存できる食料のほか、現金、懐中電灯、モバイルバッテリー、ラジオなども挙げられています。
ただし、これは近く大規模なサイバー攻撃が起きるという予告ではありません。さまざまな緊急事態に、日頃から備えておこうという呼びかけです。
では、日本で暮らす私たちは、何をすればよいのでしょうか。
そもそもサイバー攻撃って何?
サイバー攻撃とは、インターネットやコンピューターの仕組みを悪用して、情報を盗んだり、システムを使えなくしたりする行為です。
例えば、次のような被害が考えられます。
個人情報の流出: 名前、住所、電話番号などが盗まれる
アカウントの乗っ取り: メールやSNSが他人に操作される
金銭被害: 偽サイトなどで銀行のログイン情報を盗まれる
サービスの停止: 企業のシステムが攻撃され、予約や買い物、決済などができなくなる
サイバー攻撃というと、大企業や政府だけが狙われると思うかもしれません。
しかし、個人のアカウントも攻撃の対象になります。また、自分自身が攻撃されていなくても、利用している企業のシステムが止まれば、生活に影響が出ることがあります。
だからこそ、私たち一人ひとりにも備えが必要なのです。
まず今日やってほしい5つの対策
1.スマホとパソコンを最新の状態にする
スマートフォンやパソコンには、悪い人に侵入される原因となる「弱点」が見つかることがあります。
メーカーは、その弱点を直すための更新プログラムを配っています。
これが「アップデート」です。
iPhoneなら「設定」から「一般」→「ソフトウェアアップデート」を確認できます。
Androidやパソコンでも、設定画面から更新の有無を確認しましょう。
可能なものは自動更新を有効にしておくことが大切です。
2.メールや銀行の「二段階認証」を設定する
二段階認証とは、パスワードだけでなく、もう一つの方法でも本人確認をする仕組みです。
例えば、パスワードを入力した後に、スマホの認証アプリなどで確認する方法があります。
万が一パスワードを盗まれても、不正ログインを防げる可能性が高まります。
特に優先したいのは、普段使っているメール、銀行、ネット通販、SNSなどのアカウントです。
なかでもメールは重要です。ほかのサービスのパスワードを再設定するときに使われることが多いためです。
利用できる場合は、より安全性の高いパスキーや認証アプリも活用しましょう。
3.同じパスワードを使い回さない
複数のサイトで同じパスワードを使っていませんか?
例えば、ネット通販サイトからパスワードが漏れたとします。
同じパスワードを銀行やメールでも使っていた場合、そこにも不正ログインを試みられるおそれがあります。
大切なのは、サービスごとに違う、長くて推測されにくいパスワードを使うこと。
全部を覚える必要はありません。スマホやパソコンに備わっているパスワード管理機能などを利用する方法もあります。
4.怪しいメールやSMSのリンクを押さない
「銀行口座が停止されました」
「荷物を配達できませんでした」
「本人確認をしないとアカウントを削除します」
こうしたメッセージには注意が必要です。
本物の企業や銀行を装い、偽のサイトに誘導してパスワードなどを盗む詐欺があるからです。
判断に迷ったら、メッセージのリンクを押すのではなく、いつも利用している公式アプリや、自分で確認した公式サイトから調べましょう。
また、ログイン用の確認コードを電話やメッセージで他人に教えてはいけません。
5.大切な写真やデータをバックアップする
バックアップとは、大切なデータのコピーを別の場所に保存しておくことです。
例えば、スマホが故障しても写真が別の場所に保存されていれば、取り戻せる可能性があります。
同じことはサイバー攻撃でもいえます。
パソコンのデータが使えなくなる被害に備え、クラウドや外付けの保存機器などに、大切なデータのコピーを残しましょう。
可能なら、普段はパソコンから取り外しておける保存機器にもコピーを残すと、さらに安心です。
次に考えたいのは「ネットが止まったとき」の生活
ここまでは、個人のスマホや情報を守る方法を説明しました。
しかし、もう一つ重要なのが、私たちが利用しているサービスそのものが停止した場合への備えです。
例えば、スーパーの決済システムが停止すれば、電子マネーやクレジットカードが使えなくなる可能性があります。
通信障害が起きれば、スマホで連絡したり、インターネットで情報を調べたりすることも難しくなるかもしれません。
もちろん、サイバー攻撃が起きれば必ず停電や断水になるわけではありません。
それでも、こうした事態を想定した備えは、自然災害の際にも役立ちます。
家庭で用意しておきたい7つのもの
英国政府は3日分の備蓄を呼びかけています。日本政府も災害対策として、最低3日分、できれば1週間分の食品や飲料水などを備えることを推奨しています。
具体的には、次のようなものです。
① 飲料水
1人1日3リットルが目安です。3日分なら1人9リットル。家族の人数に合わせて準備しましょう。飲むだけでなく、調理などに使う水も必要です。
② 保存できる食料
缶詰、レトルト食品、栄養補助食品、お菓子など。停電しても食べられるものがあると安心です。
③ 少額の現金
キャッシュレス決済やATMが使えなくなる場合に備え、千円札や小銭などを手元に用意しておきましょう。必要な金額は家庭によって異なります。
④ モバイルバッテリー
スマホの充電ができない場合に備え、充電済みのものを用意します。充電ケーブルも忘れずに。
⑤ 懐中電灯とラジオ
停電時には懐中電灯が役立ちます。また、インターネットが使えない場合でも、乾電池式や手回し式のラジオで情報を得られることがあります。
⑥ 薬・衛生用品
普段飲んでいる薬、救急用品、ウェットティッシュ、携帯トイレなど。赤ちゃんや高齢者がいる家庭では、それぞれに必要な用品も確認しましょう。
⑦ 大切な連絡先を書いた紙
家族の電話番号、医療機関の連絡先などを紙に書いておきます。スマホが使えなくなったときのために、家族と集合場所や連絡方法を話し合っておくことも大切です。
ペットのいる家庭では、ペット用の食料や飲料水、必要な薬なども忘れないようにしましょう。
これらを一度に買いそろえる必要はありません。
普段の買い物で少し多めに購入し、古いものから使って、使った分を補充する「ローリングストック」なら、無理なく続けられます。
もしサイバー攻撃の被害に遭ったら?
万が一、身に覚えのないログイン通知や不正な取引を見つけたときは、落ち着いて対応しましょう。
アカウントを乗っ取られた疑いがある場合: 安全な端末から公式サイトにアクセスし、パスワードの変更や不審なログインの確認を行う
銀行やクレジットカードの不正利用が疑われる場合: 金融機関やカード会社の公式窓口に速やかに連絡する
情報流出のお知らせを受け取った場合: 公式発表で流出した情報と必要な対応を確認し、同じパスワードを使っているサービスがあれば変更する
被害への対処方法がわからない場合: サービスの公式サポートや警察のサイバー相談窓口などに相談する
不安を感じたときほど、慌てて届いたメッセージのリンクを開いたり、知らない相手に個人情報を教えたりしないことが重要です。
最後に――今日やることは、たったこれだけでもいい
全部を一度に準備するのは大変かもしれません。
まずは、次の5つから始めてみてください。
☐ スマホの更新がないか確認する
☐ メールや銀行の二段階認証を確認する
☐ 使い回しているパスワードを見直す
☐ 家にある水や保存食を数えてみる
☐ モバイルバッテリーを充電する
これだけでも、今日からできる備えになります。
サイバー攻撃がいつ、どこで起きるのかを、私たちが正確に予測することはできません。
ただ、被害を受けにくくすることも、何かが起きたときに困らないようにすることも、今からできます。
大切なのは、怖がり続けることではなく、少しずつ準備しておくこと。
そして、自分の準備ができたら、家族や身近な人にも声をかけてみてください。
今日の小さな行動が、明日の安心につながります。
主な参考資料
*2026年10月24日時点の公表情報に基づく。*





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