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豪州、ガス輸出の国内留保を「最大20%」に 供給義務は2028年開始、法案草案を公開

3 日前
読了時間: 5分

オーストラリア政府は2026年9月10日、豪州国内ガス留保制度(Domestic Gas Reservation Scheme)の法案草案一式を公開し、意見募集を開始しました。今回の草案では、ガス輸出事業者が国内市場へ供給する量を「輸出量の最大20%」とし、国内供給義務の開始を2028年1月1日としています。


重要なのは、これは成立済みの法律ではないことです。政府が公開したのはExposure Draft(公開草案)で、意見募集は9月24日まで。政府は寄せられた意見を反映して最終案を検討し、2026年後半の議会提出を予定しています。


豪州は日本にとって主要なLNG調達先の一つです。制度の対象や既存契約の扱いは、日本の電力・ガス会社、商社、製造業にとっても無関係ではありません。


豪州国内ガス留保制度、何が変わったのか


オーストラリア政府は2026年5月時点で、LNG輸出量の20%相当を国内向けに供給させる設計を示していました。9月10日に公表された法案草案では、表現が「最大20%」となり、国内市場の需給に応じて義務量を調整する仕組みへ具体化されています。


政府発表によれば、輸出事業者から国内市場へ供給される追加ガスは年間最大200ペタジュールとなる可能性があります。政府は、これはAEMO(オーストラリア・エネルギー市場運営機関)が想定する最大140ペタジュールの供給不足を上回る規模だと説明しています。これらは政府側の試算・説明であり、実際の供給量や価格効果が確定したという意味ではありません。


ライセンス申請手続きは2027年1月1日に開始し、Domestic Supply Obligation(国内供給義務)は2028年1月1日から始まる予定です。


固定20%ではなく、需給に応じる設計へ


Reutersは9月10日、当初の一律20%という案から、オーストラリア・エネルギー規制機関(AER)が市場需要に応じて留保比率を決める方式へ軟化したと報じました。東部ガス市場では、予測需要の110%に相当する供給を確保する考えが示されています。


一方で、輸出企業に求めるのは国内市場へ単にガスを『提示する』ことではなく、一定量を実際に『供給する』義務です。政府の狙いは、国内市場を恒常的に小幅な供給超過の状態にし、価格急騰のリスクを抑えることにあります。


ただし、価格低下や投資への影響はまだ確定していません。業界側からは、過剰供給を義務づければ新規ガス開発への投資意欲を損なう可能性があるとの懸念も出ています。


天然ガス貯蔵設備のイメージ。豪州のガス供給政策を解説する記事内画像
天然ガス貯蔵設備のイメージ(写真:Julia Taubitz / Unsplash License。撮影地:オランダ)

既存の輸出契約はどうなるのか


日本企業にとって最も重要な確認点の一つが、既存の長期LNG契約です。オーストラリア政府は制度設計の当初から、2025年12月22日の発表以前に締結された国内・国際契約を尊重する方針を示してきました。


9月10日の制度説明でも、既存契約は大臣裁量を判断する際の要素として扱われています。Reutersも、既存の輸出契約は今回の制度による影響を受けないと報じています。したがって、今回の『最大20%』を、日本向け既存LNG契約が直ちに20%削減される制度だと読むのは正確ではありません。


一方、今後の契約更新、新規契約、スポット供給、投資判断では、最終的な制度設計とAERによる義務量の算定方法を確認する必要があります。


日本にとって豪州ガスはどれほど重要か


オーストラリア外務貿易省(DFAT)によると、2025年の豪州から日本への天然ガス輸出額は194億豪ドルで、石炭196億豪ドルに次ぐ第2位の主要輸出品でした。日本は同年、豪州にとって第2位の輸出市場でもあります。


このため、豪州の国内供給優先政策は、単なる豪州国内のエネルギー政策ではありません。既存の長期契約が尊重されるとしても、将来の契約条件、追加調達余力、豪州LNGプロジェクトの採算性や投資判断を通じて、日本側の調達戦略に影響する可能性があります。


豪州を含む海外のエネルギー政策・規制変更を継続的に確認する必要がある企業向けに、アシーマでは海外情報リサーチサービスを提供しています。


世界的な意味――資源輸出国の『国内優先』


今回の制度は、世界有数のLNG輸出国である豪州が、輸出自由度だけでなく国内供給の確保を制度上の優先事項として明確化する動きです。エネルギー安全保障、国内産業保護、消費者価格、輸出収入、上流投資という複数の政策目標を同時に調整する必要があります。


輸入国側にとって重要なのは、『輸出国だから供給余力は常に海外へ向く』とは限らないことです。今後は契約そのものだけでなく、供給国の国内留保制度、輸出承認、需給調整ルールまで含めた政策モニタリングが必要になります。


ACIMA WORLD NEWSの視点


今回のニュースを『豪州がLNG輸出の20%を止める』と理解すると、実態を誤ります。現時点で公表されているのは法案の公開草案で、比率は固定20%ではなく最大20%。国内供給義務の開始は2028年で、政府は既存契約への配慮も明示しています。


日本企業が注視すべきなのは、最終法案の条文、AERが用いる需要予測と義務量の算定方法、地域別の扱い、既存契約と将来契約の境界です。制度の見出しだけでなく、実際にどの契約・プロジェクトへ、いつ、どの程度の義務がかかるのかを追う必要があります。


ACIMA WORLD NEWSでは、法案が議会に提出された段階や制度設計に重要な変更があった場合、一次資料を確認して続報します。


一次情報・確認資料






画像クレジット:カバー画像 Markus Kammermann / Unsplash License、本文画像 Julia Taubitz / Unsplash License。いずれも記事テーマを示すイメージ写真で、豪州の特定施設を撮影したものではありません。



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海外政府の法案、規制、政策変更、企業発表を一次情報から確認し、日本企業への影響を整理する調査に対応しています。


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