top of page

USGS、キラウエア第55回噴火の溶岩を採取 次の噴泉は10月30日~11月5日と予測

9 分前
読了時間: 4分

ハワイ島のキラウエア火山で、10月17日に起きた第55回の溶岩噴泉を受け、米地質調査所(USGS)のハワイ火山観測所(HVO)が22日に火口内へ入り、冷却した溶岩を採取した。23日に公表された現地報告と24日付の最新監視情報を読み合わせると、噴火が「止まった」というニュース以上に、地下のマグマが再び圧力を蓄積し始めたことが焦点となる。

HVOは次の第56回噴泉について、現地時間10月30日から11月5日の可能性を示した。ただし観測に基づく暫定予測であり、確定した噴火日時ではない。危険区域に立ち入ってよいという意味でもない。

写真は10月22日の火口上空から見た溶岩の流路。今回の記事に使用した2枚はUSGSが公開した実写真で、生成画像ではない。

2026年10月22日にヘリコプターから撮影されたハレマウマウ火口の溶岩流路。第55回噴泉は10月17日に終了しており、撮影時に溶岩が噴出していたことを示す写真ではない。Photo: USGS / L. DeSmither(Public Domain)。

 

 

第55回噴泉は10月17日に約6時間で終了

 

USGSの記録では、第55回の溶岩噴泉はハワイ標準時10月17日午前3時19分に始まり、同9時3分に終了した。北側火口の溶岩噴泉は最大約220メートルに達し、噴煙は海抜約7,500メートルまで上昇した。220メートルは溶岩の噴泉の高さ、7,500メートルは噴煙の海面からの高さであり、同じ物理量ではない。

この噴火は2024年12月23日から続く間欠的な山頂噴火活動の一部だ。第54回から第55回までには、断続的な溶岩のあふれ出しなどが続いた。HVOによれば、第55回の前兆は従来より不規則で、噴泉前のオーバーフローが39日続いた点も異例だった。

 

 

10月22日、地質学者が火口で溶岩試料を回収

 

HVOの研究者は10月22日のヘリコプター観測でハレマウマウ火口の底に降り、流路に残る冷えた溶岩片を採取した。公開写真には、灰色と黒色の溶岩地形、採取作業、火口周辺のガス噴出が写っている。公表の新しさは噴火現場を直接調べる試料採取の実施であり、分析結果が確定したということではない。

2026年10月22日にキラウエア・ハレマウマウ火口内で、米USGSの地質学者が冷却した溶岩を採取している様子。
米USGSの地質学者による10月22日の溶岩試料採取。採取した試料は化学組成の分析に使われる。Photo: USGS / L. DeSmither(Public Domain)。

試料の化学組成が分かれば、マグマの供給や混合の履歴を考える手がかりになり得る。しかし今回のUSGS公表は採取作業の報告であり、溶岩の組成変化やマグマの起源について新しい結論を示したものではない。

 

 

地下の圧力を示す「傾斜」、再び膨張

 

10月24日付のHVOの日報では、噴泉終了直後から山頂地盤の再膨張が続いている。山頂のUWD傾斜計は第55回噴泉中に約21マイクロラジアンの収縮方向の変化を記録し、その後、24日の時点で累積約12.4マイクロラジアンの膨張方向の変化を示した。いずれも傾斜計による地面のわずかな角度の変化で、火山そのものの高さがその数値だけ増えたわけではない。

 

マグマの「貫入」と「噴火」は同義ではない

 

9月30日~10月1日には地下へのマグマの貫入が観測されていた。貫入は、マグマが地下の割れ目などへ入り込む動きで、必ずしも地表の噴火を伴わない。10月23日のHVO解説は2020年以降の貫入・噴火の事例を並べているが、両者の時間的な近さだけで個別の因果関係を断定することはできない。

 

 

第56回の予測期間は10月30日~11月5日

 

10月24日午前8時37分(ハワイ標準時)の最新公式情報では、過去の噴泉間隔と傾斜変化のモデルを前提に、第56回の溶岩噴泉が10月30日~11月5日に起こる可能性が示された。HVOは、第55回に至る過程が普段と異なったため、今後も規則的な膨張が続くかには不確実性があると明記している。

10月23日付の週次解説では予測期間が10月29日~11月5日だった。24日付日報では開始日の目安が10月30日に更新されたので、本稿は新しい日報を優先する。この1日差は観測・モデルの更新を示すもので、公式に噴火日を予約したという意味ではない。

 

 

警戒はADVISORY/航空色はYELLOW

 

24日の公式日報では火山警戒レベルはADVISORY、航空色コードはYELLOW。噴泉がいったん止まっても、火口近くの火山ガスやガラス状の火山噴出物、地割れ、落石などの危険は残る。二酸化硫黄の放出量は、休止期間の一般的な範囲として日量1,000~5,000トンと説明されており、これを24日の個別の実測値と取り違えてはいけない。

現時点で東・南西リフト帯の地震・変形率は低く、著しい地表変形は観測されていない。一方、マグマが移動する場所が変われば危険区域も変化し得るため、立入規制や最新の観測情報はHVOとハワイ火山国立公園の公式情報を優先する必要がある。

 

 

今回の観測が重要な理由

 

火山の予測は、噴泉が何回起きたかを数えるだけでは成り立たない。地殻の傾斜、地震活動、火山ガス、流れ出た溶岩の化学組成という別々の証拠を組み合わせて、地下の状況を推定する。実際に採取した試料と連続計測を合わせれば、複数の噴火が同じ供給源から生じたのか、別のマグマの供給が混じったのかを将来的に検証できる。

 

「次にいつ噴火するか」より「予測が変わった理由」を追う

 

次の注目点は、傾斜計の膨張速度が今後も従来の規則性に沿うか、地震やガスの変化が一致するか、採取試料の分析結果が公表されるか、である。10月30日~11月5日の予測は新たな日報で変わる可能性がある。

 

 

一次情報・画像出典

 

USGS HVO、10月24日付最新日報:https://volcanoes.usgs.gov/hans-public/volcano/hi3

カバー/本文の写真:USGS公式サイトの実写真。撮影者L. DeSmither。USGS Public Domain。写真と本文の観測日・予測日を混同しないこと。

コメント

5つ星のうち0と評価されています。
まだ評価がありません

評価を追加

海外の一次情報を、日本語で。

​

海外ニュース、政府公開資料、研究論文、AI・テクノロジー、宇宙など、日本語ではまだ十分に紹介されていない情報を、株式会社アシーマが原文・一次資料から読み解いてお届けします。

Acima Intelligence

bottom of page