
米国向け輸出の通関コストが上昇 MPF上限は670.86ドルに、10月1日適用
米国向け輸出の着地コストが、2026年10月1日からわずかに上がります。米国税関・国境取締局(CBP)は、2027会計年度の通関関連手数料をインフレに合わせて改定しました。特に日本の輸出企業が確認したいのは、正式通関で課されるMerchandise Processing Fee(MPF、商品取扱手数料)の最低額と最高額です。
今回の改定は関税率そのものの変更ではありません。しかし、DDP条件で販売する企業、米国側の輸入者と通関費を分担する企業、少額または高額の正式通関が多い企業では、見積もりや着地原価に反映する必要があります。

米国向け貨物の通関コストを確認するイメージ(AI生成)
何が変わったのか
CBPの一般通知「CBP Dec. 26-14」によると、2027会計年度のCOBRA通関手数料と上限額は、米東部時間の2026年10月1日から適用されます。背景には、2025年6月から2026年5月までの消費者物価指数が比較期間から2.84%上昇したことがあります。
正式通関にかかるMPFの改定額は次のとおりです。
・最低額:33.58ドルから34.58ドルへ(1.00ドル増)
・最高額:651.50ドルから670.86ドルへ(19.36ドル増)
・従価率:0.3464%で据え置き
また、CBPは通関業者の許可手数料を185.38ドルから190.88ドルへ引き上げました。これは通関業者側の許可手数料であり、荷主の全案件に同額が直接課されるという意味ではありません。
どの価格帯の貨物に影響するのか
FedExの実務案内では、新しい最低額34.58ドルは課税価格9,984ドル以下の正式通関に、新しい最高額670.86ドルは課税価格193,665ドル以上の正式通関に適用されると説明されています。中間の価格帯では、従来どおり0.3464%で計算されます。
たとえば課税価格20,000ドルの貨物であれば、MPFは69.28ドルとなり、今回の最低・最高額の改定による影響はありません。一方、少額でも正式通関になる貨物は最低額が1ドル上がり、高額貨物は上限額が19.36ドル上がります。
FTAや米国関税分類表第98類など、MPFの免除が認められる場合もあります。ただし、対象可否は原産地、品目、申告方法などで異なるため、個別案件では米国側の輸入者または通関業者への確認が必要です。
日本の輸出企業が確認したい3つのポイント
1.見積もりと着地原価
DDP条件や輸入諸掛かり込みの価格を提示している場合は、10月1日以降の正式通関についてMPFの新しい最低額・最高額を原価表に反映します。多数の小口貨物では、1件当たりの差額が小さくても年間では積み上がります。
2.契約上の費用負担
Incotermsだけでなく、通関手数料、ブローカー費用、追加請求の負担者が契約書や見積条件で明確になっているかを確認します。米国側の輸入者が支払う場合でも、販売価格の再交渉や請求書への転嫁につながる可能性があります。
3.通関日と申告方法
日本からの出荷日ではなく、米国側でどの時点の手数料が適用されるかを通関業者に確認します。正式通関か簡易通関か、課税価格はいくらか、免除の可能性があるかも合わせて確認すると、見積もりのずれを防げます。
企業が今すぐできる対応
・10月1日以降に米国で通関する案件の価格帯を抽出する
・課税価格9,984ドル以下、193,665ドル以上の正式通関を優先して確認する
・DDP案件と輸入諸掛かり込み案件の原価計算を更新する
・通関業者に申告方法、免除、適用時点を確認する
・見積書や契約書で、関税と通関手数料を区別して記載する
今回の改定は1件当たりの増額が大きい制度変更ではありません。ただし、米国向け輸出では追加関税、通関業者費用、運賃、保険料などが同時に変動しやすいため、MPFだけを単独で見るのではなく、着地原価全体を更新することが重要です。
一次情報と確認先
米国連邦官報(CBP Dec. 26-14/91 FR 48398)では、改定対象の各種手数料と2026年10月1日の適用開始日を確認できます。
CBPのCargo Systems Messaging Serviceでは、通関業者許可手数料の改定額と適用範囲が案内されています。
FedExの実務案内では、MPFの新しい最低・最高額が適用される価格帯と計算例が示されています。
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※本記事は公開情報に基づく一般的な解説です。個別貨物の通関区分、課税価格、免除の適用については、米国側の輸入者または通関業者にご確認ください。





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