
中国、電子情報製造「十五五」計画を公表 2030年に規模以上企業売上30兆元
中国の工業情報化部と国家発展改革委員会は2026年9月15日、電子情報製造業の第15次五カ年計画(「十五五」計画)を公表しました。文書は9月10日付の工信部聯規〔2026〕216号で、2030年までに一定規模以上の電子情報製造企業の営業収入を30兆元超へ引き上げ、産業の研究開発投資比率を3.5%とする目標を掲げています。
重点分野には集積回路、先進計算、消費電子、基礎電子、エネルギー電子などが並びます。計画は法令の新規制ではなく、9月15日に公表された産業政策の中長期計画です。企業に同日から新たな法的義務を課すものではありません。
何が起きたのか
工業情報化部と国家発展改革委員会が共同で策定した今回の計画は、電子情報製造業を中国の国民経済を支える柱の一つと位置付け、17項目の重点任務と9つの重点分野を示しています。
2030年の主な目標は、規模以上企業の営業収入30兆元超、研究開発投資比率3.5%、産業チェーンの安全性向上、算力供給能力の大幅な増強、次世代スマート端末の普及拡大です。集積回路や先進計算などでは、競争力を持つ「長板」技術・製品を育成し、重点分野の核心技術の突破を加速するとしています。
工業情報化部の説明では、重点施策として「集成攻関(共同・統合的な技術攻略)」「国产替代(国産代替)」「生態建設(産業エコシステム構築)」を挙げています。単に市場規模を拡大するだけでなく、電子材料、電子部品、製造装置、計測機器から完成品・システムまで、産業基盤を広く強化する政策です。
半導体・AI基盤を産業政策の中核へ
計画は、人工知能の発展機会を取り込み、AIを支えるハードウェア基盤を強化する方針を明確にしています。9つの重点分野には、電子部品・電子材料の高度化、電子専用設備・計測機器の自主供給能力向上、先進計算、AIチップと端末の重要技術などが含まれます。
一方で、政策文書を『中国市場の閉鎖』と単純化するのも正確ではありません。工業情報化部の公式解説は、産業チェーンの安全性を高めると同時に、対外開放と国際協力を進め、外資企業への内国民待遇を全面的に実施すると明記しています。国産代替と対外開放を同時に掲げている点が、今回の計画を読むうえで重要です。
日本企業への影響
日本の半導体製造装置、電子材料、電子部品、計測機器、産業機械メーカーにとって、中国の電子情報産業が2030年まで大型投資を続ける方向性は市場機会になり得ます。その一方、国産代替と自主供給能力の向上が明示されたことで、中国企業との競争や現地調達への切り替え圧力も強まる可能性があります。
中国国内の補助金・投資支援がどの分野へ配分されるか
半導体装置・電子材料・計測機器の国産化目標が地方政策や調達にどう落とし込まれるか
技術標準、認証、実証・検証制度が日本企業の製品採用にどう影響するか
外資企業への内国民待遇と、産業チェーン安全政策が実務上どう両立するか
こうした中国の産業政策、規制、補助金、標準化、現地企業動向を継続的に確認する場合は、アシーマの海外情報リサーチサービスで一次情報を基に調査・整理しています。
ACIMA WORLD NEWSの視点
今回の計画で見るべきなのは「30兆元」という規模目標だけではありません。中国は、電子情報製造業をAI時代の産業基盤として位置付け、集積回路や先進計算を含む供給網の安全性と自主能力を引き上げる方針を改めて明文化しました。
ただし、計画段階では具体的な補助金額、個別企業への調達条件、輸入制限などは確定していません。日本企業にとって本当に重要なのは、今後この計画が中央省庁の実施策、地方政府の投資計画、技術標準、資金支援、設備検証、調達政策へどう落とし込まれるかです。ACIMA WORLD NEWSでは、計画そのものよりも、その後に出てくる具体策を追跡します。
一次情報・参考資料
中国工業情報化部・国家発展改革委員会:「電子情報製造業発展『十五五』規画」通知(工信部聯規〔2026〕216号、2026年9月15日公表)
中国工業情報化部:「電子情報製造業発展『十五五』規画」解説(2026年9月15日)
中国工業情報化部電子情報司(地方政府掲載):計画概要・全文(2026年9月15日)
記事画像:NASA Glenn Research Center / Clean room of semiconductor manufacturing / Wikimedia Commons / Public Domain。中国国内の特定工場を示す写真ではなく、半導体製造の参考画像です。




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